8月10日の朝日新聞の記事だが、フィギュアスケートのライター、田村明子さんが良い記事を書いている。
7月19日の羽生結弦さんのプロ転向決断の会見について、海外のジャーナリストがどのような反応を示したか…。
羽生選手は早くからシニア選手になった。ジュニアには19歳までいられるが、彼は16歳になるや、もうその戦いの場をシニアに移したのである。その後の躍進は、2012年の世界選手権銅メダルに始まり、2度のオリンピック金メダル、2度の世界チャンピオンタイトル、4シーズン連続でのグランプリファイナル覇者、そして6度の全日本チャンピオンのタイトルを手にした。
フィギュアスケート自体がマイナーなスポーツだという中で、世界中に膨大な数のファンを持つ天才スケーターの競技生活への終止符を打つ会見は、日本だけでなく英国公営テレビのBBCなどが伝える大きなニュースとなったのである。
田村さんはアメリカのジャッキー・ウオン氏(スケートジャーナリスト)の言葉を伝えてくれている。
「ハニュウは、単なるアスリートを超えた存在です。人々は彼の身体能力、その飽くなき意欲とカリスマ性などに魅せられ、スケーターとしてだけでなく、人としての彼に恋をしてきたのです。私にとっては、彼がこのスポーツに一つ一つ記録を残すたびに、その存在が私の心の中に深く食い込んできました。
彼はこれほど著名でありながらもその一方でプライバシーを重んじ、常にミステリアスな部分を残してきました。それがさらに人々をひきつけ、尽きない興味をわかせてきたのだろうと思います。
プロ転向の宣言は、驚きではありませんでした。彼はフィギュアスケート界においてやるべきことは全て成し遂げて、あとは自分自身を追いかけ、自らチャレンジを課してきていたのです。また過去5年間、苦しんできた足首のけがも理由の一つでしょう。
北京オリンピックの試合の後に彼が会見を開いた時、引退宣言をするのかと思った人も多かったけれど、そうではありませんでした。彼にはまだまだ与えるものがたくさんあり、彼はこれからもスケートを続けていってくれるでしょう。スケートを通して、彼が世界に貢献したものは計り知れません」
また、フィギュアスケートを長年取材してきたもう一人のアメリカ人ライター、リン・ラザフォードさんの言葉も。
「ハニュウのプロ転向宣言は、ちょっとサプライズでした。今季の埼玉世界選手権まで続け、4アクセルに挑むのではないかと思っていたからです。でも考えてみたら、彼は何度も負傷を重ねてきているので、もう十分だと思ったのではないでしょうか。もうこれ以上メダルは必要ないというくらいの結果をすでに残してきました。
オリンピックスケーターとして、彼ほどの成績を残した選手はいません。ディック・バトン(1948年、1952年五輪王者)も2度オリンピックの金メダルを手にしたけれど、ハニュウは3度のオリンピックで戦った。3度のオリンピックで戦い、彼ほどのレベルの演技を見せた選手はかつていなかったと思います。
彼の演技は多くの一般大衆にアピールして、フィギュアスケート人気を、新たなレベルに引っ張りあげました。北京オリンピックでは、一般客は会場に入ることができませんでした。ところがエキシビション終了後に、私がホテルに戻るためにプレスバスに乗ったら、車がいっこうに進まない。何が起きているのかと聞いたら、最後に一目ハニュウを見ようという中国のファンが、何百人、何千人と会場の周辺に押し寄せていたのです。ある大会では、翌朝の公式練習を良い席で見たいというファンが、徹夜で会場前に並んだこともありました。
フィギュアスケートでこんなことが、かつてあったでしょうか。日本だけでなく、アジア、北米、世界中に、熱心なファンが大勢いました。彼のレガシーは、その人気の高さにおいても、ずっと忘れられないと思いますし、これからアイスショーの活動でもきっと成功するに違いありません」
たむら・あきこ 盛岡市生まれ、ニューヨーク在住。ニューヨークの美大を卒業後、出版社などを経て1993年からフィギュアスケートを取材。著書「挑戦者たち――男子フィギュアスケート平昌五輪を超えて」が2018年度ミズノスポーツライター賞優秀賞受賞。
海外記者が語る羽生結弦 「存在が心に食い込んだ」「並ぶ者ない」:朝日新聞デジタル (asahi.com)
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フィギュア・スケーターとしての羽生結弦氏へのジャーナリストたちの評価は、往々にして海外の方が正直で、彼の貢献や業績をそのまま称えるものが多いような気がする。
彼らに言われるまでもなく、ファンは羽生選手のこのスポーツに対する貢献や、そのたぐいまれなる天才を理解しており、それだからこそ、このアスリートを敬愛してやまないのだが、同じ日本人でありながら一部の「アンチ」と呼ばれる人々や一部のガタ―プレスと呼ばれる3流週刊誌は、その貢献や才能を正しく理解せずに、彼の人気を妬んだり利用しようとするところがあって残念なのである。
しかし彼はそういう人らをはるか後ろに置き去りにして、さらに高いところに飛んでいこうとしているように見える。
そう、これまでも、そしてこれからも、彼らは心を砕いたり痛めたりする価値もない対象なのだから、彼らのために使うエネルギーも時間も、無駄なのである…。
それよりももっと大切なことのために、彼は自分の誠実と心を砕き、フィギュアスケートというスポーツをさらにピュアなものに高めていくためのステップを歩んでいくのだろう。
上記に紹介されたジャーナリストだけでなく、インドや南米といったフィギュアスケートがまったくマイナーな国でも彼のことはメディアで記事になっている。 ウオン氏が言うように、彼はスケートというスポーツの枠を超えたアスリートなのに違いない。
彼の作り上げる作品の質の高さだけでなく、彼自身から醸し出されるカリスマ性もまた、彼の大きな人気のひとつだろう。(それがあるゆえにアンチがつく、ということも言えるが…)
彼の演技を一度見たら惹き込まれてファンになってしまった、という人が後をたたないというのも、一度演技が始まったらムードが変わるそのオーラやカリスマ性と無縁ではないだろう。憑依型パフォーマーともいえるかも知れない。
競技生活を引退すると宣言してもなおその人気は衰えないばかりか、世界中が彼が何をやってくれるのか期待に満ちて見つめている。
それは彼の動画チャネルへのアクセス数や登録者数の爆発的な数を見てもわかる。応援コメントは世界中の言語で寄せられており、数えた人によると80か国以上の人からの祝福のメッセージが届いているという。 彼の美しいスケートを待ち望んでいる人が全世界にいる、ということだ。
これは羽生さんにとっても今後の活動へのモチベーションになるのではないだろうか。
双方向のアクションがポジティブなシナジェスティック・エフェクト(相乗効果)を生み出している。 動画サイトの開設は大成功だろう。 誰がどんなに悔しがっても…。
The whole world welcomes you...!
世界は君を待っている~!
不可解なルールや大人の事情など、足かせのある世界を飛び出して、我々の期待を上回る結果を出し続ける羽生さん。
どうか心身の健康だけには気をつけて、ご自身のやりたいことをまっすぐに自由に追い求めることができますように。

