案の定…

こういうこと、してくるだろうな、と思っていたら、案の定。

結局、世界中の科学者の懸念や判断をほとんど無視して、オリンピック開催強行。

さらに、コロナの分科会が考え抜いて提出した「無観客が望ましい」という、何歩も譲った提言に対しても、聴く耳もたず。

最初5000人の観客と言っていたのに、緊急事態宣言を解いたと同時に、他のイベントの上限を1万人に上げ、案の定オリンピックの観客の上限も1万人に。

その上、開会式に至っては、なんですか、2万人だと？　

やっぱりね…

そういうことを絶対してくるよな、と思っていた通り。　

本当に、国民の気持ちも心配も、まったく考慮していない。

そして科学者の言うことには馬耳東風。

自分たちに都合の良い結論は最初からあって、状況がどう変わろうと、それを変更する気は最初からなし。

オリンピックはコロナの状況がどうでも強行開催。　観客も必ず入れる。　特に、スポンサーの招待客と、ＩＯＣのエライさんと家族、国会議員（！）とおそらくその家族、そして日本のオリンピック関係者たちは必ず入れるでしょう。　だから、1万人と言ったって、関係者を足せば、それどころじゃない。

現に開会式は、軽く2万人。

で、メディアが動き回る…。もう選手団のいくつかは入国しているし、ウガンダからはコロナの感染者まで入ってきている。　また先日はアメリカの五輪予選大会で陸上の選手2名が（ワクチン済み）コロナ陽性になったそうです。　ワクチンを打っていても、効果がでるのは接種後1－2週間してからです。その間にあちこち出歩けば感染の可能性はもちろんありますし、ワクチンの効果だって100%ではありません。　なんとコロナ感染したウガンダの選手、そして濃厚接触のはずの選手団は大阪に異動しました。これも専門家から見たら、リスクの高い行動だそうです。異動したというバスの運転手やホテル関係者に感染が広がらないといいですが。緩すぎます。

英「ＢＢＣ」はウガンダからの選手団の陽性者が予防接種を完全に済ませていたことを報道。大会の観客有無について２１日に決まるが「日本の医療専門家は『無観客が最も危なくない』と話す一方で、日本政府は観客の参加を希望している」と安全対策のギャップを報じていたが、政府は結局当初の5000人より上限を大幅に増やして知らん顔をしている…。

ワクチンさえ打てば安心とばかりに、日本では、オリンピックに高齢者のワクチンを間に合わせようとしているが、とんでもない。　ファイザーだってモデルナだって、2回目を打っていなければ、7月には蔓延しているだろうインドからのデルタ株には30%しか効果がないと言います。　しかも、2回目を打ってから1－2週間しないと効果はでません。なのに、海外からはもうどんどんと人を入れています。たった3日の特例隔離で。　メディアももうどんどん入ってきているでしょう。　まったく間に合ってません。

そういえば、イギリスでＧ７があって、各国首脳もですが、多くのおつきの人々やメディアがサミット中に訪れ宿泊をしたコーンウオール地方で、今、感染爆発が起こっています。　彼らの宿泊したホテルや近隣のレストラン、会議場の警備員などスタッフの間で、大規模なクラスターが起きているそうです。その増加率、セント・アイブスの町でなんと2450%増です…！！（25倍ということです）　それまで10万人につき2.8人だった感染者が、サミットの3日間で10万人につき82人まで増えた、と。　その他の近隣の街でも、英国の全国平均を上回る感染率にまで急上昇。　平均で2000%の増加率だそうです。　この地域でも50歳以上の8割以上がワクチン接種しているんですよ…。　そしてコーンウオール地方は、これまで感染が比較的少ない地方でした。　人流があるとこれだけの影響がある、ということです。

（追記：　上記の記事のあと、コーンウオールの感染率の上昇は今ではサミット前に比べて4000%、つまり40倍に上がっているそうですが、政府がそういったエビデンスをメディアに乗せることを押さえていたという記事が。どこの国の政府も汚いことをしますね。地元のLibDemの議員が1月からサミットによるコロナ感染のリスク評価をするように政府に要請していたのに、それをしなかった、ということです）

日本では7月23日までに1日70万件のワクチンを接種させても、成人人口の10%に届かないという算出を専門家がしています。　日本政府は、本当にこんな調子でオリンピックをやって、東京都民、日本国民が「安心・安全」だと思っているんでしょうか。なんという無責任…。

東京都内でパブリックビューを全て中止にすると言いますが、当たり前でしょう。　今欧州で、ユーロ2020と銘打って、サッカーの試合を大々的にやってますが、観客席はガラガラです。　しかし、パブリックビューの映像を見ると、ぞっとするぐらい人が集まって、ビールを飲んで肩を組んで大騒ぎです。

今、イギリスの毎日の感染者は、5月中旬のロックダウンの緩和で、1万人を超えています。ワクチンをしていない若い世代が感染者のほとんどです。インド株です。　高齢者のワクチン2回ががほぼ済んでいるので、死者は少ないです。　繰り返しますが、日本のワクチン接種率は7月末でも10%だそうです…。

分科会の「無観客が望ましい」をスルーして、5000人という上限もあっという間に倍にして、1万人というけれど、1日に都内でいったい何か所で競技会があるんでしょう？　1万人入る陸上のようなのもあれば、2000人入る小さい競技会場、3000人入る水泳、などと多数の競技会場にそれぞれ何千人～１万人のひとがはいれば、東京都だけでいったい何万人の人がオリンピック観戦のために全国から集まり、ホテルに泊まり、飲み食いして、人流を増加させるんでしょうか。　1日に1万人がオリンピックを見るわけじゃないですよ。30か所で競技があれば、それだけ倍増します。そこに、メディアが群がるわけです。

オリンピックがなくたって、7月にはインドからのデルタ変異株が日本では蔓延し、第5波が襲っているでしょうが、オリンピックがそれをさらに悪化させるでしょう。大阪で起こったような医療崩壊が東京でも起こるでしょうね。　ベッド数は準備しているんでしょうか。　こんな状況で五輪を強行したことで、入院もできずに自宅で亡くなる人が複数出れば、それは政府や東京都の責任です。人災と言えるでしょう。

リスク予測分析を科学的に行い、それに基づいて物事を判断し、方針決定するのが政策立案者の仕事のはずです。　しかし、今回の五輪強行に関しては、日本政府、組織委員会、ＪＯＣは、「まず結論ありき」であり、状況判断も、そのためのエビデンスもまったく無視しました。　五輪を行った場合の人流、その増加によるコロナ感染拡大のリスクの予測などは、東京大学などでも公に発表しています。　それらの数字を科学的に考慮した上での結論なのでしょうか。否です。　

すでにある結論にとって都合のわるい新たな情報やエビデンスは一切見ない、耳に入れない。　これを確証バイアスと言います。　仮説や信念を検証する際にそれを支持する情報ばかりを集め、反証する情報を無視または集めようとしない傾向のことです。菅総理も、組織委員会も、ＩＯＣも「安心・安全」という根拠のない仮説に基づく結論を最初から最後まで言い張ったわけです。

共同通信の調べでは、国民の86%が、「五輪開催でコロナ感染拡大に不安」と述べています。そして国民主権の民主国家でありながら、あれほど何度も明確に示された国民の五輪に対する恐怖と懸念を最初から最後まで見なかったことにし、野党やメディアが国民を代表して何度も行った「この状況で強行する五輪の意義は何ですか」という質問に、最後まで答えませんでした。

そしてＩＯＣや関係者の「始まってしまえば国民は喜んで五輪を見る」とか、「アルマゲドンでもない限り中止はあり得ない」といった傲慢な言葉をただ垂れ流している日本の報道陣にも呆れます。　海外のメディアはこれまで何度も、この状況での五輪強行に対して、警告を発してきています。　医療雑誌も複数が、バブルの穴や、プレーブックの不備について指摘しています。そういう情報は、大手の報道は流しません。だって、彼らは今回の五輪のスポンサーですから…。　オリンピックが終わった後に日本にアルマゲドンが訪れる可能性は高いです。

ブラジルではサッカーの競技会で、バブルに入っているはずの選手2人がかってにバブル内に美容師を呼び込んでいたそうで。　オリンピックでもこういうことは横行するんでしょう。　野球やその他の競技は国内で客を入れているのにどうこう、という人々は、まずはオリンピックと国内のスポーツ観戦との規模の違い、そして世界中からいろんな人が色んなウイルスを持ちこむ可能性、そして異なる文化の人々が日本人と同じようなモラルで行動しないという点をまったく見落としているんでしょうね。

五輪中止や延期を求める声が7割を超えていたにもかかわらず、「中止はあり得ない」「中止の基準は出しがたい」と言い続けて無視してきた政府は、今度は「無観客で」という分科会の専門家や、東京都の医師会の言葉を無視して、なんと10000人まで拡大しました。　そして開会式で2万人！

いい加減にしろ！と怒る気力ももう残っていないんじゃないでしょうか。　なにを言っても聴く耳もたずの政府。

そういえば、イギリスで行われたＧ７で、「各国首脳の力強い支持をいただいた！」と胸を張った菅総理ですが、イギリスのニュースでオリンピックについては一言も聴きませんでした。　Ｇ７で各国首脳が興味があった議題は、オリンピックではまったくなかった。個別に会った時に、ひとりひとりの相手に対して話題に出し、一応サポートという言質はとったかもしれませんし、共同声明の最後の最後に3行入れてもらいましたが、これはかなり外務省の官僚の努力があったでしょう。　もうしわけないが、とても「力強い支持」とは言えないし、「ちゃんと科学にのっとった感染予防対策がされているなら」という条件付きです。

国民が呆れたことの一つに、「マスクは配布しないのに、コンドームは何十万個も配る」というものがあって、これは海外のメディアでも書かれていましたが、ここにきて「コンドームは帰国直前に配布」というバカバカしいニュースが。　そんなもの、帰国直前に数枚お土産にしてどうするんだよ、記念に持って帰れ、ってことか？というコメントがついていて笑いましたが、もう買ってしまったものを捨てるわけにもいかず、事前に配れば「夜の濃厚接触を奨めるのか」と国民のひんしゅくを買うので…というのが実情でしょう。ここでもまた税金を無駄に使っているわけです。アベノマスクと同じ、膨大な金額をどぶに捨てたようなものです。暮らしていけないで困っている国民がたくさんいるというのに、要らないものを買って、押し付ける、という・・。「母国で啓発」とか取ってつけたような言い訳も恥ずかしい。

五輪中に緊急事態発令があれば「無観客もありうる」と西村大臣は発言したようですが、いやいや、この政権ならおそらく感染状況がかなり悪化しても、そもそも緊急事態宣言はしないでしょうね。　だって、重症患者の数の数え方を変えた、って言うじゃないですか。これまでは自宅待機の人も数えていたのに、今は病院に入っていない人は重症であっても数に入れないというんですから。これまでも、いくらだって色々隠ぺいしてきた政府です。緊急事態宣言をしないような手はいくらだってうつでしょう。

インドの選手団に対する、厳しい入国規制を非難されていると言いますが、日本国民としては感染爆発している国から、いい加減な検疫で入ってこられるのを止めてほしいのは当然のこと。オリンピック関係者だからって例外を作ってもらっては困ります。　しかし、こうやって色んな意味で、選手たちにとってはまったく公平でフェアとは言えない基準で行われるのが今回の東京五輪です。　

そもそも、世界が疫病と闘っている今、開催都市の過半数の市民の賛同も得られていない状況で、「人間の尊厳、平和な社会、フェアプレー」といったオリンピック憲章の理念にまったく基づいていない、こんな五輪の意義はなんでしょうか？誰がどう見ても、もう利権と一部関係者や企業が潤うため、そして政権が自分たちの政局に利用するためのオリンピックじゃないですか。

観客上限を1万人と決めたなら、開会式では、スポンサー招待や国会議員、ＩＯＣの関係者は遠慮すればいいんじゃないでしょうか。お金を払ってチケットを買った、一般の国民が優先でしょう。　自分たち身内がどうしても見たいからとごり押しして1万人分も枠をとるとは、どういう根性しているんでしょうか。　どうしても五輪貴族とスポンサー招待客を入れたいし、彼らが悪目立ちしないように、一般客も1万人入れようとしている、という記事もありました。　実際そうかもしれませんね。

分科会の提言も、最初は「こういう状況では普通はオリンピックはやらない」と言っていた割にはなんだか骨抜きみたいでしたが、「無観客が望ましい」といっていたのに、どうしても有観客なら条件として「現行の大規模イベント開催時よりも厳しい基準の採用」「観客は、開催地の人に限ること。さらに移動経路を含めて感染対策ができるような人々に限る」まで妥協。それなのに、10000人どころか2万人。

「感染拡大・医療ひっ迫の予兆が探知される場合には、事態が深刻化しないように時機を逸しないで無観客とすること」を挙げたそうですが、きっとそれも無視されるでしょう。

そして都では約81万人の児童生徒が観戦する予定で、約41億円の予算を計上しているそうで、こんなに金をかけて、ワクチンも受けていない子どもたちを感染のリスクにさらすとは…。　学校での運動会も中止にさせたのに？　81万人動員って、すごくないですか？　コロナ禍の中、公共交通を使って引率していく先生たちの負担もすごいでしょう？

本当に呆れてものが言えませんが、きっとこういうことをしでかすだろうと思っていた通りになったことが、情けなさすぎます…。

アメリカでは英国出身の俳優で司会者、ジョン・オリバー氏が、「ファンなしでイベントを開催することで、会場内での感染のリスクが最も低くなると信じている。五輪開催は間違いなくリスクが高く、主催者はさまざまな要因を検討しているようだが、実際には多くの国民の抗議にもかかわらず、五輪が進んでいるようで、これは開催する都市にとって決して良い考えではない。　うまくいくこと、みんなの利益を心から願っていますが、この大会が行われる主な動機はお金であると感じずにはいられません。それだけの価値がありますか？」と、まっとうな意見を述べたそう。

また、米「ワシントン・ポスト」は「公衆衛生の専門家は、インドで最初に検出されたデルタ変異株のような非常に伝染性の高い変異株について特に懸念している。誰にとっても１００％有効なワクチンはないが、完全にワクチン接種を済ませながら、感染した人たちの症例は警戒を引き起こしている。特に、中国製のシノファームとシノバックは、他のワクチンよりも防御率が少ない懸念がある。　国際オリンピック委員会、日本政府、主催者は、大会を安全に開催できると主張している。しかし、新たな感染症の波が予防接種率の低い多くの国に打撃を与えている間、世界中から何千人もの参加者を集めるのは危険すぎると批評家は話している」と、警告した。

発展途上国のほとんどは、中国製のワクチンを接種しています。中国はワクチン外交をしていますから…。　シノファーム、シノバック製のワクチンを2度打っても、コロナに感染したという人が、ブラジルでも多数出ています。　本当に、「安全・安心」のオリンピックだと政府は国民に納得させられるつもりなんでしょうか？

演出家の宮本亜門さんが、以下のように言っています。

「このパンデミック禍でなぜ今、五輪をやらなければいけないのですか？

IOCは国民の多くが中止を求めていても知らん顔。

菅首相も国会では答弁ではなく、ただ同じことを繰り返すばかりで会話を遮断。国民はそれを悶々としながら眺めている。

私が一番心配しているのは、このまま何も論じ合わず、説得することもなく開催したら、国民が「どうせ、何を言っても変わらないんじゃないか」「どうせ日本はいつもこう」「いちいち選挙に行っても無駄」と無気力になったり、心が折れることです。

コロナによって亡くされたご家族の思いは、一人でも同じような悲しみを味わって欲しくないはずです。この世界中が苦しんだコロナ禍の一年、我々は何を学んできたのでしょう？

　僕は、どんな宣誓が行われようと、誰が金メダルを取ろうと、何も感じないと思います。それがとても残念です。」

私もまったく同じ気持ちです。

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