なぜドイツは? | ロンドンつれづれ

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欧米、特にアメリカのコロナ感染者と死者の増加がすさまじい。 ニューヨーク市長がその危機感を画面で叫んでいる様子が日本のテレビでも何度も放映された。

 

アメリカは残念ながら、コロナ発生の時にトランプ大統領があまり興味を示さず、実に軽く甘く考えており、初動を完全に誤った。 

 

また、国民皆保険ではないため、医療保険に入っていない人々が治療を受けられないという状況が今後ますます死亡者の増加に拍車をかけるだろう。

 

欧州、特にイタリアとスペインでは、感染爆発がもう止められない状況になってきている。 フランス、イギリスにおいても、毎日数百の単位で死亡者が増えている。昨日は、アメリカの死亡者565人、イタリア812人、スペイン913人、フランス418人、イギリス180人が1日で新たに死亡している。

 

ドイツでも昨日は新たに104人が無くなっているが、100万人当たりの死亡者の数は、イタリアの192、スペインの165に比べてドイツは8と、圧倒的に少ない。 ドイツは統合前の東ドイツはBCGの接種をしていた、という話も聞いているし、14とこれも少ないポルトガルもBCG接種をしているので、それも影響があるかもしれない。

 

下は本日の状況。

 

 

 

現在のところ、クローズド・ケースでサバイブした人の率が81%。 2割近くが亡くなって病院をでている。 かなり凄惨な数字だ。 

 

 

 
 

ドイツの死者数はなぜ少ないのかを分析している記事があった。
欧州で爆発的に感染者数が増えているが、ドイツの死者数は一桁少ないことにWHOも驚いているという。 感染者数に関してはそれぞれの国の事情や進め方が異なり、集計次第でいくつかの公式発表にかなりのずれはあるにせよ、なぜだろうか。
 
ドイツは検査を大量に行うことで感染者をつきとめて、感染源をトラッキング、検疫と隔離を迅速に行い、さらに早期の外出制限を設けることを優先している。 さらに、 ドイツの人工呼吸器を備えた集中医療室の収容可能なベッド数は2万5000床で、フランスの7000床、イタリアの5000床、イギリスの5000床、スペインの4400床と、はるかに多い。それでもドイツ政府は人工呼吸器と集中治療室の病床数を倍増する計画を進めている。
 
共産主義国、中国と違い、欧州の国々では政府が厳しい規則を設けなければ市民が外出の自粛になかなか応じなかった。 すでにウイルス感染が広範囲に広まってしまったことで、欧州各国の対策は後手にまわりがちではある。
 
政治家の先見性と指導力がいかに感染の急増を防いでゆくのか。 その判断が正しかったのかどうかは、数週間後に明らかになるであろう。
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上記下線部、手際よい検査で感染者を早期に見つけ出して隔離し、市中でスプレッダーになることを予防すること。 その後、適正なレベル分けをして対応し、重症者から集中医療室をうばわないような対策をとることで死亡者を減らすこと。 これをやっているのがドイツなのだろう。
 
日本はなぜか今までは感染爆発は起きていない。 それはBCG接種のおかげかもしれないし、手洗いマスクが欧州よりも徹底しているからかもしれない。 が、政府の諮問をしている医師会が、すでに危機感を公表している。 感染爆発が起きてからでは遅いから、早く「緊急事態宣言」を出してほしいと言っているのだ。 
 
イギリスでは、運休になっている航空会社のCAたちが、この緊急体制の医療システムに入って働くことを決定したそうだ。 イギリスでは募集をかけて24時間以内に40万人以上のボランティアが手をあげ、リタイアした医師、看護師、トレーニング中の医師や看護師も総動員して、この緊急事態に向き合っている。
 
日本もいつまでも「カミカゼ」が吹き続けるとは限らない。 モタモタしないで病院外での検査システム、軽症者の隔離施設の手配、必要な機器を揃え、それを扱える人材をリタイアした人々にも募集をかける、そういった具体的な対策を早急に行い、さらに国民に向かってその対策をしっかり発表することで、緊迫した事態の情報や政府や行政の取っている対策をしっかり知らせることで、国民の協力が得られるのではないだろうか。
 
日本の今の状態がどうなっているのか、医師会が訴えるまで政府は国民に知らせない。だから首相や知事が「外出の自粛をしていただきたい」などとぬるいことをいっても、人々は平気で花見をし、パチンコ屋に通い、集まって飲み会をし、カラオケに行くのである。 日本だけは、自分だけは、なぜか大丈夫だと思っているのだ。
 
医療崩壊は、検査を増やすことで起きるのではない。 ドイツを見ればわかるだろう。
 
多くの検査をし、正しく隔離して無自覚あるいは無責任なスプレッダーを市中に歩かせない、病院は重篤患者のためにとっておき、イギリスのようにあの手この手を使って医療人員を充実させ、現場の疲弊を防ぐ、そういう対策をとらないから医療崩壊が起きるのだ。
 
感染者の数が、政府の発表の数どころでないことは、いまは一般人でも知っている。 市中に放たれて平気で歩いているコロナ・キャリアのコントロールに失敗すれば、医師会が心配しているようにある日閾値を超えて、制御不能になるのだ。 うすうす分かっているだけでなく、本当の感染者の数を知れば、日本人だってもっと用心するようになるだろう。
 
早期に発見すればアビガンなど適正な薬で治療できるのがコロナなのだから、そうやって治癒者を市中にたくさん戻すことで彼らが「集団免疫者」になり、コロナの蔓延を防ぐ盾になってくれる。 簡易で安価な検査法はもう民間企業が開発して売り出している。 多くの人を安全に検査するやり方は、ドイツや韓国に学べばよいのだ。 
 
これは、時間とのたたかいなのだということをよく考えて、政府にはスピーディな対策を次々と打ち出してほしいのに、民間企業やひっ迫している個人に対する補償すらまだ決まらないのはなぜだろう。 国民の協力を得るためにはそこもしっかりやらなくてはならないだろうし、国がはっきりしたことを言わない限り、在宅勤務など夢のような話だ、という人々が満員電車に乗って通勤しているというのに…。
 
ぜひ、安倍首相は医師会の悲鳴のような「専門家の間では緊急事態宣言はもう発令していただいた方がいいのではないかという意見がほとんど。感染拡大の状況を見れば、もう発令していい」という言葉を真剣に受け取ってほしいと思うのである。 これはかなり控えめに言った発言で、本音は「なにをモタモタしているんだ、もうギリギリだと言ってるんだ! オーバーシュートが起きてからじゃ遅すぎるんだぞ! 日本の医療は持ちこたえることはできないぞ!」ということだろう。
 
政府は人の命と景気の維持を天秤にかけているのだろう。 経団連などからの圧力もあるのかもしれない。 しかし、家族が亡くなってしまった人たちは、そういう政策をとった安倍首相を許さないだろう。 
 
志村さんのお兄さんが言っていたように、コロナで亡くなった人々は、隔離されてから死んでも家族に会うことはできない。 イタリアなどでは、両親が収容されてから亡くなるまで、どこに収容されているのかもわからないまま、焼かれて骨になるまで会うことはできなかった、と泣いている青年がニュースになっている。 日本だって同じことだ。 日本のメディアは、コロナのそういう悲惨さをもっと伝えるべきではないだろうか。
 
今日は、60歳の会社員と同居していた20代の娘、そして0歳児の感染をニュースで報道していた。 若い人なら感染しないというわけではない。 また人から人へ移る際に変異をして毒性などを変えていくウイルスだという研究もあったりする。 一度感染したら、死ぬ人が5%。 これはかなり高い致死率だ。 軽い人が8割だといっても20%は重くなり、重症化すれば、何か月も入院する場合も、肺に重い後遺症が出る場合もあるという。 かかってはいけない病気だ、という気持ちでいた方が良い。