昨年は、実父に中学生のころから強姦され続けてきた19歳の女性の訴えがしりぞけられ、裁判で父親に無罪判決がでたり、伊藤詩織さんのレイプ事件の民事勝訴などがあって、女性の性被害に対してメディアや一般社会からも大きな注目が向けられた年であった。
世界でMeToo運動が起こる中、日本ではほとんどその動きがみられない状況の中で、伊藤詩織さんの勝訴は大きな反響を海外メディアにも与えた。 日本での報道よりも、海外での報道の方が大きかったぐらいである。
日本では伊藤さんの勝訴を受けて、どこかのアホな議員が「これでは少子化がますます進む」などと考えられない発言をしたようだが、子供は女性の同意のない強姦で増えると思っているのだろうか。 あまりの発言に思わず爆笑してしまった。 バカも休み休み言ってほしい。 こういう人間が多いから、痴漢も一向に減らないのではないか? あきれてものも言えない。
政府は、被害数は多いはずなのに統計上上がってこない日本の性被害について、昨年試験的に「Cure Time」という相談窓口を15日間の期間限定で行ったそうである。 これは、SNSを利用したもので、中高生を含む若者を中心に、250件を超える相談が寄せられたそうである。
これにより、改めて女性の性暴力に対する問題が深刻だ、と政府は認識したそうである。 2017年の調査では、「むりやり性交等をされた」被害経験のある女性は7.8%だそうで、13人に一人という数である。そのなかで、被害を誰かに打ち明けたり相談したかという質問に対し、6割近い女性が「相談しなかった」と答えたそうだ。(2017年度・内閣府「男女間における暴力に関する調査)
誰にも相談しなかった理由は、恥ずかしくて誰にも言えなかった、というものが一番多かった、特に身内や知り合いから被害を受けた場合は相談しずらいようである。
「性暴力の被害者は心身に大きなダメージを受け影響も長く続くので、必要な相談を受けられる相談体制の整備が重要な課題」と女性活躍担当の橋本聖子大臣は訴える。(橋本さんが担当、というところがミソだが・・・)
「Cure Time」は、LINEやFacebookのメッセンジャー機能を使って性暴力被害者の支援を行う民間団体に相談できる仕組みだそうだ。 今回の試験的実施では、12月10-24日までの15日間という期間限定だったが、10-20代の若者の相談が多く、中高生の相談も寄せられたという。
確かに、電話などで相談するよりもLINEやFacebookなどから文字で相談するほうが、敷居も低くなるだろう。 レイプや妊娠、リベンジポルノなどの被害の相談が若年層から寄せられており、担当者はチャットを通じて信頼関係を築き、信用できる大人がいることを理解してほしい」と話している。 SNS対応はあくまで、相談の入り口で、そこから支援窓口を紹介し、病院や警察などの機関に行く「同行支援」なども行ったり、相談の先の支援につなげているという。
今回は相談受付の係のキャパシティが小さかったため、対象地域が限られたというが、今後全国展開で行い、知名度が上がってくれば、もっと相談件数も増えるだろう。 そういう中で、未成年に行われる児童虐待、子供相手の性虐待などが早い段階で救済されることを期待したい。 小学生などがもうスマホを持っている時代なのだから、小学校などでもこういったサービスを広報してほしいと思う。
幼いころ性虐待を受けた人は、最初はなんだかわからないまま大人のいうなりになり、罪悪感だけを持つという。それがある年齢になり、その行為の意味が分かった段階で、激しい嫌悪感が加害者にも自分自身にも向けられる。 と同時に、その経験を封印するために自己乖離症状や記憶喪失を起こしたり、うつ病になったり、様々な精神障害を起こすことが多いという。 一生を通じて一人の人間をさいなむため「魂の殺人」と呼ばれるのが性暴力だ。
まずは、その予防、そして起きてしまった性被害に対しては、早い段階での救済と再発防止に努めなくてはならない。 性被害を受けて育った成人男性は、同じことを自分の子供や周りの子供に繰り返すことが多いという。 そういう人たちのセラピーも重要な犯罪予防になる。 そして性被害者は、女性だけではないということも忘れてはいけない。 男性は女性よりもさらに、被害を相談しないという事実もあるのだ。
英国で見学をさせてもらったチャリティでは、小児性愛者たちに対する矯正セラピーのプログラムに対し、地方自治体がかなりの予算を割いて委託していたのを見て、感銘を受けた。 未成年に対する性的搾取は、列車内の痴漢も含めて、厳しい態度で対策を組んでいくことは、行政の責務ではないかと思ったのである。
SNSでの被害相談など、遅すぎるぐらいである。 人手が足りなかったなどと言っていないで、たった15日の試運転でやめないで、予算を投入してあっというまに実現してほしい。
https://www.fnn.jp/posts/00049597HDK/202001071830_IsamuYamada_HDK
