The Foreign Office said the leak of the memos to the Mail on Sunday was "mischievous" but did not deny their accuracy.
英国極右政党UKIPの元リーダーで今ブレクジット党の党首のナイジェル・ファラージは「キム・ダロックは大使に適さない。すぐにも辞めさせるべきだ」と騒いだが、法務大臣のDavid Guake氏は「大使が正直で率直なアドバイスを本国に送ってくることは大変に重要だ。漏洩があったことは誠に遺憾だが、我々は大使たちが見たままの真実を伝えてくることを期待している。」と話した。
https://www.bbc.com/news/uk-48898231
1954年生まれのダロック大使は、キャリア外交官として42年間の経歴を持つ。国家安全保障と欧州連合(EU)政策を専門とし、「イスラム国」(IS)やロシアのクリミア半島侵攻、イラン核問題などについてデイヴィッド・キャメロン政権の安全保障問題顧問を務めた後、2016年1月に駐米大使として着任した。 外務省内でも尊敬をあつめるエリート外交官であり、ハント外務大臣からも信頼が厚い。
アメリカ、ワシントン・ポストのウイリアム・ブースは、英国大使がホワイトハウスをuniquely dysfunctional, 「他に類を見ないほど機能不全」で、トランプは無能で不安定、そして彼の政権は不名誉な崩壊をするかもしれない、と報告したと書いた。
The British ambassador to the United States described the White House as “uniquely dysfunctional,” told his counterparts back home that President Trump was “inept” and “insecure,” and warned that his administration could collapse in “disgrace.”
英国外務省は、「英国民は大使からはホスト国の政情について正直でありのままの分析を報告することを期待している。彼らの見解は必ずしも大臣や政府と一致しないかもしれないが、我々は彼らの正直な意見を聞くために雇っているのだ。 ロンドンに滞在するアメリカ大使がウェストミンスターの政治を観察して本国に送るのと同じように。 世界中の外交官は本国の本庁に、ニュースやゴシップの分析を送り返しているのだ」と話した。
トランプは、「我々は特にこの大使を気に入っているわけではない。彼は本国の役に立っているとは思えない」と話した。
ニューズウイーク誌のジェイソン・レモン氏は、「英国外務省のスポークスマンは、トランプ大統領を無能で不安定、政権は類を見ないほど機能不全、と本国に報告したダロック大使を弁護した」と書く。
"The British public would expect our ambassadors to provide ministers with an honest, unvarnished assessment of the politics in their country," the spokesperson said, Politico reported Sunday. "Their views are not necessarily the views of ministers or indeed the government. But we pay them to be candid. Just as the U.S. Ambassador here will send back his reading of Westminster politics and personalities."
それにしても、メイル紙はさすがタブロイド紙、ダイアナ妃の時も付きまとってスキャンダルを書き散らしていたが、今回も自国の外交機密をすっぱ抜くとは…。 誰が得をするというのであろうか。 ダロック大使の報告を聞いて、その通りだよと胸のすく思いをした英国人は、中上流階級や知識層には大変に多いと思うが、機密漏洩については本当に困ったものだと頭を振る人も大勢いただろう。
日本の駐米大使だったらどうだろうか。 ここまで率直に書くとも思えないが。 そして日本のメディアはおそらくリークがあっても記事にしないような気がする。 さらに、もし記事になったとしたら、日本政府はその大使を即刻呼び戻し、アメリカにへいこら謝り、そして大使を首にするであろう。 なので今回の英国外務省の態度、そして法務大臣の言葉は、大使の率直な観察、分析、報告に続いてあっぱれ!と思うのである。
しかし、メイ首相が去った後は、元ロンドン市長、ブレグジット強硬派のボリス・ジョンソンが英国の首相になるとみられているが、彼の予測不可能な言動、ポピュリズム、自己中な性格は、トランプと親和性が高いだろうから、ボリスが首相になったらサー・キム・ダロック大使は、任期である年末を待たずに英国に送り返されるかもしれない。 しかし、ダロック大使は英国でヒーローのように迎えられるだろうことは、予測がつくのである…。
(追記) ・・・・・・・・・
日本時間の7月11日、速報が入って、ダロック大使は辞任したようですね。
残念ですが…。
メイ首相は、ダロック大使の外交官としての英国への貢献をたたえた。
Sir Kim has given a life-time of service to the United Kingdom, and we owe him an enormous debt of gratitude. Good government depends on public servants being able to give full and frank advice, and I want all our public servants to have the confidence to be able to do that. And I hope that the House will reflect on the importance of defending our values and principles, particularly when they are under pressure. (サー・キムが英国に生涯をささげる献身をしてくれたことに対し、我々は多大な感謝の気持ちを持たなくてはなりません。 良き政府とは、心から率直な意見を述べる公務員がいてこそ可能であり、すべての公務員がそうできると確信を持っていてほしいと思います。議会は、このような圧力を受けている時にこそ、我々の価値感や主義を守ることの重要性を改めて真剣に考えることを期待したい。)
英国政府の偉いところは、これまで「リークした人物」について非難はしているけれども、トランプ政権について率直な見解を述べたダロック大使を全面的に支持し、その優秀さとこれまでの貢献を讃え、さらにリークをすっぱ抜いたメイル紙に対しての批判をまったく行っていないところだ。
メイ首相や法務大臣、外務省のスポークスマンが明確にしたいところは、英国の外交官および政府は権力におもねることもしないし、また政権は報道規制も行わない、ということだろう。 情報を得たから、メディアはそれをスクープする。 それに対しては(苦々しく思っていても)、政府にとって都合のわるい情報がすっぱぬかれたとしても、批判はしないのである…。 ジャーナリストとはそういうものだ、と思っているのだろう。 これはどこかの国のリーダーたちにも見習ってほしいところである…・。
Sir Kim Darroch has resigned as UK ambassador to the US, amid a row over leaked emails critical of President Trump's administration.
The ambassador was branded "a very stupid guy" by the US president, after emails emerged calling his administration "clumsy and inept".
The Foreign Office praised Sir Kim's "professionalism and class".
The ambassador said he wanted to put an end to speculation, adding the leak had made it "impossible" to do his job.
In a letter to the Foreign Office, Sir Kim said: "Since the leak of official documents from this Embassy there has been a great deal of speculation surrounding my position and the duration of my remaining term as ambassador."
"I want to put an end to that speculation."
"The current situation is making it impossible for me to carry out my role as I would like."