体罰、親のあり方 | ロンドンつれづれ

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改正児童虐待対策関連法が19日、参院本会議で全会一致により可決、成立した。一部を除き、2020年4月1日に施行される。 改正法は、しつけとしての体罰を親に禁じるほか、児童相談所(児相)などに対し、虐待をした親の回復支援を求めることが盛り込まれた。また、児童虐待とドメスティックバイオレンス(DV)の関連が深いことから、児相と配偶者暴力相談支援センターなどの連携強化も進める(毎日新聞)ということだが、やっと、という気持ちである。 また、こうやって法が成立しても、社会通念が変わっていかなければ、家庭という閉じられた空間の中でしつけを理由にした暴力が行われる可能性はある。 しかし、法ができれば社会規範も徐々に変わっていくだろう。
 
体罰禁止には罰則がないというが、親だけでなく教育機関、行政機関の中で「体罰は法で禁止されている」そしてそれは親であっても守らなくてはいけないルールだということが周知徹底すれば、学校やスポーツ教育の場においても暴力やリンチが減っていくのではないかと期待したい。
 
先日の記事にも書いたが、日本人の体罰容認の率は6割と高い。すでに体罰を法で禁止しているスウェーデンでは1割だそうである。 民法の親権、特に懲戒権の扱いについても、改正法の施行後2年で検討することになっている。 民法改正に関しては、離婚後の子どもの共同親権についても検討されるべきである。 日本の単独親権では、離婚後に同居しない親(父親の場合が多い)が、子供に面会できなくなることが多く、養育費の未払いや虐待発見の遅れなどにつながっている。

 

また、改正案は、児童相談所で、一時保護など家庭への介入対応をする職員と、保護者を支援する職員に分けることも定めるというが、本来は児相などの行政は保護者支援に回り、司法が介入など親との対峙に回るべきである。 警察などの司法機関が虐待が疑われる家庭に介入、その後の親教育なども法で強制しないと、なかなか言うことを聞かない親が多いのが実情である。

 

改正案では、中核市と東京23区が児相を設置し、人員不足の解消にむける努力をするようである。 施設の整備のみならず、人材育成支援をして専門性を高めることが、虐待情報を正確に分析し、正しい介入をするにはかかせない。 それには地方自治体に任せきりにせずに、中央政府がノウハウや助成金で支援する必要がある。 ハイリスク家庭(DV、依存症、メンタルヘルス問題等)を放置せず、適切な介入をできるよう、方針が実施につながることを願っている。

 

街を歩いていると、子供にひどい叱り方をしている親を見かけることがある。

 

 「お前なんかどっか行けよ!」

 

「うるせーんだよ! 静かにしろ、ボケ!」

 

「あ~!おめー見てるとイライラする!あっち行っとけ!」

 

以上は、私が目撃した例。 

父親でなく、母親である。 ああ、この言葉遣い…。

言葉と同時に、背中をどついたり、頭を叩いたりしたりしたものも入っている。

 
その他にも以下のような例もあるらしい。

「電車とかで落ち着きない子に対して、母親はスマホから目を離さず『座れ!』って叱ってるのよく見るけど、そんな言い方じゃあそりゃ子ども言うこと聞かんわなと思う」

「この前子供を見失ったらしい父親が『オイどこ行ったんだよ!? 許さねえぞオラ!』って怒鳴ってて、驚いて振り返ったら眼鏡かけたどちらかといえば地味な人だったから余計ビックリした。しかも子供はまだ小さい子だったし。人目がある場所であんな感じなら家だともっと酷いんだろうな」

「スーパーでのこと。1、2歳くらいの子に『てめー静かにしとけ』って言いながら平手打ちしてたから、怖いと思って逃げてしまった。スーパーうろちょろしてたらまた遭遇して、また平手打ちしてた。その子の頬は真っ赤だった。通報しました」

https://netallica.yahoo.co.jp/news/20190519-29793087-careercn

 

ただし、私も子育てが一段落して仕事に戻った時・・・・「ああ、仕事ってなんて楽なんだ~~!大人を相手にしているって、なんて楽で楽しいんだ~~!」と心から思ったことを思い出しました。

 

赤ん坊の時は朝から晩まで泣き声に翻弄され、抱きすぎて腱鞘炎になっても家事は待ってくれず。 当時は紙おむつなんてなかったから、1日何十枚の布のおむつを洗っては漂白し、干したことでしょうか。

 

1時間も抱いてゆすって、やっと寝た子供をベッドに入れたとたんに目を覚まして泣かれた日には、ああ~・・・としばらく放心状態。 やっと寝てくれた、とほっとしたのもつかの間、夫の帰宅でドアの音に起きてしまった時。 「もっと静かにドア閉められないの!!」とキレ、「せっかく寝かしたのに~~!」と布団に突っ伏して泣いたこともあったっけ。 夫婦で抜き足差し足の生活でした。

 

熱があっても、おなかが痛くても、子供は待ってはくれない。 基本自宅で仕事をしていたとはいえ、小学校に上がる前までは、やっぱり子育てはとっても大変でした。 フルタイムで仕事をしながら子育てをするママの苦労はひとしおでしょう。

 

歩くのが遅い、しゃべるのが遅い、おむつがなかなか取れない、しっしんができた、夜泣きがひどい、人と比べては、一喜一憂するのが親です。 真面目にやろうとすればするほど、疲れ果ててしまい、つい子供を怒ってしまうこともあるかもしれません。 お漏らしをしたり、おねしょをしたり、ミルクや食べ物をこぼして、家の中は片付きません。 家事も育児も一生懸命…となると、キーッとなってしまうかも。

 

抱けばいいけど、下ろしたとたんに泣く我が息子も、「スイッチがあったら切りたいな~…」と思ったことが何度かあります。 そんな時、子供を乳幼児突然死で失くした友人から「どんなに手がかかっても、騒いでも、生きてそこにいてくれるだけでいいのよ…」と言われ、言葉を失くしたのを覚えています。

 

そう、子供は、生きてそこにいてくれるだけでいいのだ、と。 子供に手がかかるのはほんの数年。 あとは、親は子供の人生になるべく干渉しないようにして、子供が幸せに成長できる環境を用意して見守るだけでいいのです。

 

しかし、育児のさなかは毎晩夜泣きする赤ちゃんをかかえて、これが毎日、いつまで続くんだろう・・・と不眠の頭で考えるのです。 あと何か月、あと何年?と考えるだけで育児ノイローゼになり、つい赤ちゃんの口をふさいだり、落としたりしてしまうのかもしれません…。

 
子供と二人きりで毎日を過ごすお母さんたちは、つい子供につらくあたったり叩いたりしてしまう「虐待」を、他人ごとではない、私もやってしまうかも…と思ってしまうでしょう。
 
核家族化、夫の転勤など、実家にたよれない若い親が増えています。 自分の実家はおろか、夫の実家に暮らすという選択肢は今の若い人たちにはほとんどないでしょう。 専業主婦なら1日こどもと家にこもって煮詰まってしまう。 共稼ぎの家なら、へとへとになって帰ってきても、家事のほとんどは女性の肩に重くのしかかる。 また子供を産んだ後でも仕事を続けられることはラッキーと言える世の中です。保育園が見つからず、仕事を辞めざるを得ない人たちもいるのですから。 
 
そういう状況で仕事を辞め、自宅で子供と孤立して子育てしている場合、子供に対して恨みのような気持ちを持つこともあります。 また運よく保育園が見つかって仕事を続けても、子供が熱を出すたびに、仕事先に「迷惑がかかり」ます。 子供の病気のたびに会社を休んでいては、「非正規雇用」の人は、首になるでしょう。
 
親も本当に大変な思いをして子供を育てているのです。
 
しかし、だからと言って先述のようなやりかたで子供をしかりつけるのは、子供の発達にもたいへんにダメージが高いことです。 ましてや体罰を行ういいわけにはなりません。
 
女性の社会進出を進める政府であるならば、お母さんたちが追い詰められないような環境をつくることが喫緊の課題、そしてそれこそが少子化を改善する環境になるのではないでしょうか。
 
子育てのしやすい社会は、親がイライラしないですむ社会です。
そこでは、親が子供に怒鳴りつけたり、体罰をしたり、虐待までエスカレートすることの少ない環境が整っているはずです。 そして、子育てが母親だけの仕事であるという社会通念を変えるためにも、父親の育児休暇取得を企業にも父親本人にも義務化することで、社会に定着させることができれば素晴らしいと思います。
 
企業の努力により、男性も父親としての役割を果たし、子育ての楽しみを持つことで、子供たちの健やかな成長がはぐくめます。 また子どもの幼い時に十分にかかわることは、父と子の親子関係を深めるためにも重要です。
 
しかし虐待の中でも悪質なものは、子供の精神を生涯にわたって蝕み、あるいは子供を死に追いやる場合があります。 こういうハイリスクの家庭には、国家権力をもって介入し、親子の分離ができるよう、法的根拠を明らかにしたうえで司法の関与と介入が求められます。
 
まずは、虐待が起こりうる家庭のリスク要因を支援によってとりのぞき、それが間に合わなくなって虐待が起こってしまったら、厳しい態度で介入を行うこと。 複数のリスクが同時多発しているハイリスク家庭には、関係諸機関は油断をせずに見守り、タイムリーな介入が必要です。

 

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1997年の『日本一醜い親への手紙』(メディアワークス)は、親から虐待を受けた人の手紙を公募し、100人分をまとめており、児童虐待関連本では異例の10万部超が売れたという。
 
2017年に、同書を企画したフリーライターの今(こん)一生さんは再び虐待経験者の手紙を公募し、100通を『日本一醜い親への手紙 そんな親なら捨てちゃえば?』(dZERO)にまとめたそうだ。
 
「両親へ。できることなら、あなたたちを惨殺したい」 これは、収められている手紙の一節だ。
 
今さんは言う。
「この20年、虐待件数は一度も減っていない。防止策が根本的に間違っているからだ。改めて広く虐待の深刻さを知らしめる必要があると考えました。最大の敵は親権です。虐待する親から子どもを長期間引き離すには親権者の同意が必要で、同意が得られなければ家庭裁判所に申し立てる必要がある。親権の壁は高く、子どもはいつまでも主従関係を強いられる。虐待防止策を改めない限り、今後も子どもは親に殺され続ける。虐待を受けた人が声を上げ、当事者目線の防止策を考えていくことが必要です」
 
 少年院出院者を支援するNPO「セカンドチャンス!」の中村末子さん(43)は、ドキュメンタリー映画の制作に取り組む。女子少年院にカメラを入れ、6人の人生を追った。 1人は、小学5年生の時に母親の恋人から性的虐待を受けていた。母親はそれを知り、「そそのかしたお前が悪い」と、叱責した。義理の父からも虐待を受け、児童相談所に保護された。しかし、生活になじめず、児相を抜け出し、万引きしたところを捕まった。 
 
前出の今さんはこう話す。
「学校教育の持つ役割は大きい。例えば親やクラスメートに知らせないことを条件に『親への手紙』を書く行事などを設けてはどうか。子ども目線の対策が必要です」
 
※AERA 2019年1月28日号より抜粋

 

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子どもにとっては、親は絶対的存在なのだ。

 

親から受けている仕打ちが、「虐待なのだ」と子供が気が付き、助けを求めるにはどうしたらよいのだろうか。 たとえ性的虐待を繰り返し受けても、子供はそれを「普通のこと」として我慢している場合もあるのだ。

 

学校教育の中で、子供たちに虐待とはなにかを教え、自らの身を守り助けを求めることを教える必要があるのではないか。 「あなたたちは悪くない。 叩かれたり、蹴られたり、怒鳴られても良い存在ではない。 あなたたちは、ひとりひとり、みな尊い存在なのだ」と子供たちに信じてもらうための手立てが必要なのではないか。 

 

虐待も、いじめも、体罰も、根っこのところは同じなのだ。 自分は強いと思いたい人間が、自分より弱いと決めつけている人間をいたぶることで安心したいのだ。 誰もそんなやつらの犠牲者になって我慢している必要はないのだ、ということを子供たちに分かってもらいたい。 そして、自分たちは絶対にそんな人間にならないように・・・。

 

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児童虐待防止のための活動をしている社団法人を応援するために、2019年5月のISUアダルト世界選手権に出場しました。 このチャリティ・チャレンジの募金活動にご協力いただける方は、下のリンクに飛んでください。  募金の締め切りは6月30日、あと2日です!

 

集まった募金で、児童虐待予防のための動画やパンフレットの制作を視野にいれています。 1)親になる人たちへ虐待防止のDVD, 2)子供たちが虐待とはなにかの知識を得るため、そして誰に報告すればよいかの啓発のDVD, 3)子供たちが性的虐待から自分を守るためのDVD, また欧米で広く使われているアセスメントシートの紹介、導入など。

 

子供の虐待を問題だと考える方のご支援をお待ちしています、どうぞよろしくお願いいたします!

 

https://japangiving.jp/supporter/project_display.html?project_id=40000234