夫からメールが来た。
なんでもイタリア人解説者が、今回の世界選手権のジャッジングに対する、歯に衣着せぬ感想を述べているというのだ。
「今回の審判はひどい。 ほとんどエッジエラーも回転不足も見逃している。(それも、見逃したいと思う選手だけ) GOEもPCSも、その採点方法に一貫性がない」というものだ。
確かに、「ミスはなかったかもしれないが、あんまり切れのない、スピード感のない演技だった」というものに、高いパフォーマンス点がついていたり、ジャンプ前に長ーいテレグラフをして、「難しい入り」という項目を果たしていなかったり、降りた後もつなぎがあまりなかったり、つまりジャンプ自体は高さや失敗がなくとも、前後に難しいことをなにもしていない場合でも、そういう努力を行った選手とGOEがあまり差がないのである。 これじゃあ、なんのためにGOEの幅をプラスマイナス3点から、プラスマイナス5点に広げたのかわけがわからない。
回転不足やエッジエラーに関しては、スローモーションで見ればシロウトのファンだってわかるものを見逃されて高いGOEをもらっている選手がいたり、かたやしっかりコールされている選手もいる。 昨日の女子のフリーも、演技の質が大変にたかく、ひとつでもミスをすれば大きく順位に差が出るような状況の中、URを見逃された選手と、しっかりコールされた選手では、順位に大きな差がでたことだろう。 これに関して、イタリア人コメンテイターたちは、"tech panel abdicated their responsibilities"... と手厳しい批評をしている。 つまり、テクパネルは自分たちの責任を放棄している・・・と。
よく、「審査の批評をするな、シロウトのくせに」という声を聴くが、URにせよ、ISUのルールブックを読むと実に細かく決められており、回転不足は何度以上から・・・などとなっており、選手やコーチはみな、コールをとられないよう、毎日必死で練習をしているのである。 自分がとられたことはしかたがない、あいまいなランディングをしたのなら・・・でも、別の選手も同じようなランディングで、見逃されていたら? やはり、それはまずいだろう。 GOEを重く見ることが、ジャッジがバイアスをもって審査する自由度をさらに押し上げているとしたら、今季からのルール改正は失敗だったことになる。
やたらに難度の高いジャンプをイチかバチかで跳ぶよりも、ジャンプの前後の動きも音楽を表現しつつ、演技の一部としてジャンプを美しく組み込んでミスなく跳ぶこと、というのが意図であったはずで、そうであればそのコンセプトにあった跳び方のジャンプに対し、+5という大きなGOEで報いることが必要だろう。 しかし、今のところ、テレグラフの長いジャンプと、前後の複雑なトランジションの入っているジャンプのGOEに大して差のないのが実情である。
PCSに至っては、公式練習で見ていても明らかにスケーティングのレベルが低いと思われる選手に対しても、その項目に高いポイントがついていたり、ジャンプなど、ちからいっぱいよいしょ!と跳んで着氷で例のコップにキツツキのおもちゃのように上半身が前のめりになる選手にも、高いGOEがついていてパフォーマンスに高ポイント、まさに???なのである。
そんな会話を夫としていたら、ネットニュースでも、イタリア人解説者のことが書かれていた。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190323-00055884-theanswer-spo
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190322-00055712-theanswer-spo
羽生選手、公式練習で40分が終わった後もリンクサイドでコーチとイメトレを熱心に行っていたという。
選手たちのこういう努力を無にしない、公正でなるべく正確に選手の演技の出来栄えやミスのコールを行う努力を審査員たちにはしてほしい。
もちろん、たった4分の演技の中で見極め、点数をつけるのはものすごく大変だということも、審査員たちはボランティアでやっている、ということも分かったうえで、ぜひお願いしたいのである・・・。
選手たちが、不当にジャッジされた、不本意な結果になってしまった、と思わないためにも・・・。