大坂なおみさんの強さ(追記あり) | ロンドンつれづれ

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大坂なおみさん、全米オープンでの優勝、本当に快挙である。 

それも、セリーナ・ウイリアムズというテニス界の女王ともいうべき選手を相手にして、である。

 

日本人テニスプレイヤーで初の快挙。 

 

 

試合全部を見ていたわけではないが、ニュースやスポーツ番組でのダイジェストを見る限り、試合は大坂さんにとってはアウェイの雰囲気で、コーチから試合中にアドバイスを受けたことでペナルティをくらったセリーナは、審判に暴言を吐いてさらにペナルティをくらい、雰囲気としては緊張感のただよう、最悪の試合だったのではないかと思う。

 

セリーナはラケットを投げつけて壊したり、審判に文句をつけたり、せっかく憧れの選手との初試合だったというのに、なおみちゃんにとってみれば、大変に怖かったりしたのではないだろうかと思っていた。

 

しかし、インタビューで彼女は、「セリーナがものすごく24回目のグランドスラム優勝を手にしたいことは分かっていた。でも私はコートに足を踏み入れたら、(セリーナに憧れていた私ではなく)別の人間のような気持ちになる。セリーナファンじゃない、ただのテニス選手に。でも、試合後にネットのところで彼女とハグした時に、彼女に憧れていた子供の頃の気持ちになった」と話した彼女に、ものすごく強さを感じた。

 

また彼女はインタビューで、セリーナに勝ってうれしいけれど、淋しくもあるとコメントした。

 

表彰式では、まだ観客がブーイングをしている中で、「皆がセリーナを応援しているのはしってました。こういう結果になってごめんなさい。でも全米オープンでセリーナと対戦するのは私の夢でした。対戦ができて、うれしかった。ありがとうございました」とセリーナにお礼をいったなおみちゃん。

 

そして、それに応えるように、「ナオミは素晴らしいプレイをした。優勝おめでとう!そしてNo more booing...!(だから、ブーイングはもうやめて!)」と観客に呼び掛けたセリーナも・・・。 自分にあこがれていると素直に話すなおみちゃんには、セリーナも勝てませんね。

 

 

それにしても、会場がセリーナの勝利一色になっているときに、彼女にペナルティを課したポルトガル人の審判も、公平といえば公平、そして勇気があるなあ。 あんな大きなセリーナが「あんたはうそつきだ!謝れ!泥棒!」などと暴言を吐いて迫ってきたら、怖くて、はい、ごめんなさい、って言っちゃいそうだけれど。

 

感情的になってプレイが乱れたセリーナに対し、なおみちゃんのプレイはプロとしてあっぱれだった。 憧れの選手が試合でああいう態度を取れば、動揺してしまってもおかしくはないのに,大坂選手はそうならなかった。

 

あくまでも冷静に、自分だけに集中して心を乱されないように努力をしていた。 感情が一気にでてしまったのが、勝利後のインタビューの時だろう。

 

あの素直な涙で、セリーナ側についてブーイングしていた観客の心も、一気につかんじゃったんじゃないかな。

 

 

BBCニュースでは以下のように報道。

 

 

 

US Open 2018: Naomi Osaka wins after Serena Williams outburst

(USオープン:セリーナの癇癪の後、ナオミ・オオサカが勝利)

 

 

セリーナの暴言などを書いた後・・・。

 

Osaka, 20, kept her focus to become the first Japanese to win a Grand Slam.

(オオサカはそれに集中を切らされることなく、グランドスラムを優勝した初めての日本人となった。)
 

Williams refused to shake hands with umpire Carlos Ramos after the match.

(ウイリアムズは、試合後に審判のカルロス・ラモスと握手することを拒んだ)

 

BBCによると「セリーナは、違反はしていない、違反するぐらいなら負けるといって怒ったが、ウイリアムズのコーチは「たしかに試合中にセリーナにサインを送って指導をした。でもセリーナは見ていなかったと思う。それに、ナオミのコーチだってやっていた。コーチなら誰だってやる」と話したそうだ。

 

セリーナはラケットを投げて壊したことでもペナルティを取られたが、チェンジオーバーでまた審判に近づき、暴言を吐いた。これでまたペナルティを受けた。 会場はブーイングの嵐になった・・・。」

 

こんな状況で、大坂選手が試合に集中をすることはとても大変だっただろう。


The American, 36, graciously congratulated Osaka at the net after the 20th seed completed an extraordinary victory and, although Williams' behaviour will grab the attention, nothing should detract from a classy and composed display from Osaka at Flushing Meadows.

(36歳のアメリカ人(セリーナ)は、20番目のシード試合後のネット際で、オオサカのすばらしい勝利を優雅にたたえた。この試合では、ウイリアムズの態度が注目を集めるだろうが、今回フラッシング・メドウズでオオサカが見せた品格ある落ち着いた試合ぶりは、なにがあっても見落とされるべきではない。)

https://www.bbc.co.uk/sport/tennis/45462014

 

 

まさに、その通り。 大坂選手の今回の試合運びは、彼女のメンタルがすごく強いことを証明して見せた。 少なくとも、試合中の彼女はプロに徹しており、相手の様子や観客の反応に、自分の感情をかき乱されることのないだけのメンタルの強さをしっかり見せたのである。

 

 

強くなればなっただけ、風当たりも強くなるし敵も多くなる。 すべての人に好かれる必要もなければ、すべての人に味方になってもらうことも不可能だ。 それを理解して自分のするべきことを強い気持ちでやり通す、それだけに集中することが必要になってくる。 それには、自分のしていることに自信を持つことが大切だ。

 

自信とは、自分を信じる気持である。

 

彼女はその強さを身に着けたのだろう。

 

 

優勝、おめでとう、なおみちゃん!

 

きっとあなたはこれからますます強くなるね!

 

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(追記)

 

アメリカのメディアの記事が良かったのでコピーします。

自国民の態度をきちんと批判する。 ニューヨーク・ポスト、好きですねえ。

こういうことを書けるところが、アメリカのジャーナリズムはまだ健全さを保っていると思うところです。

BBCもいち早く指摘していましたが、ウイリアムズのことばかりが話題になるのでは大坂にとって失礼ということもあります。 

 

 

「USAトゥデー紙は、表彰式で観客のブーイングを聞いた大坂が、サンバイザーのつばを下に引いて顔を隠して涙を流す写真を掲載し、「スポットライトが大坂でなくウィリアムズに当たって残念だ。多くの人は大坂への祝福が奪われたと感じている」と同情した。


 このほか、タブロイド紙ニューヨーク・ポストは論評で「全米オープンが大坂にしたことは恥ずべきことだ」と酷評し、全力を尽くして番狂わせを起こした大坂に肩身の狭い思いをさせ、「これほどスポーツマンシップに反した出来事を見たことがない」と批判した。」

 

https://www.msn.com/ja-jp/sports/tennis/全米テニス大坂優勝、米メディア速報-異例の試合展開も/ar-BBN6P1w?ocid=spartanntp#page=2