またか・・・・ | ロンドンつれづれ

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まったく、いいかげんにしてほしい。


東京の都議のヤジの話である。


「自分が早く結婚すればいい」「産めないのか」。18日の都議会で、妊娠、出産、不妊に悩む女性への支援の必要性を訴えた女性都議に対し、議場からこんなヤジが飛び、所属会派が抗議する騒ぎになったというではないか。


晩婚は、たしかに不妊につながる。だから、早く結婚した方が種族の再生産には、適していることは確かだ。


だからといって、35歳の独身女性の同僚に向かって、自分が早く結婚しろだの、産めないのか、だの、あまりにも品性がゲレツで、いったいどのオヤジがどんな顔をしていったのか見てみたい。


酔っ払って、都議会室に座っていたのだろうか。


しらふでそういうことを言ったとしたら、おそらく常日頃そういう考え方で行動する人だということだろう。


そういう人がどんな顔で、どんな公約を述べて、選挙に通ったのだろうか。


そして、そういう人を自分たちの代表に選んだ人たちは、何を考えていたのだろうか。



あまりにあきれ果てて、あいた口がふさがらない。



そういえば、昔、日本のお役所に勤めていた時にこういうことがあった。(ロンドンでの話です)


日本から地方議員が数名挨拶にきたので、英国人の秘書がエレベーターでお客を迎えに行って、つれてきたのである。 そこに同乗していた若い日本人の男性役人が、議員が帰った後で、顔を真っ赤にして憤懣やるかたないといった表情で私に訴えた。


「あいつら、ジョアンナの後ろに立って、品定めをしたんですよ」と。


金髪の魅力的な秘書のでん部について、「日本語だからわからないだろう」と、野卑なコメントをしていたらしいのである。 議員さんですよ・・・。


さて、この役所は、日本語のわかる英国人スタッフも大勢働いているので、これは要注意である。


あ、じゃなかった。そんなことはポイントじゃなかった。



女性とみると、すぐに胸やでん部をじろじろ見て、しかも色々と仲間内で評価をする。なんて、野卑で、粗野で、おゲレツなんでしょう。


そりゃあ、男性だったら自然と魅力的な女性を見てしまうのは、無理はないかもしれない。しかし、少なくとも、見ていないフリをするとか、仲間内で話題にしないとか、文明国家で育った人間として、最低限のマナーがあるでしょう。


ちなみに、このジョアンナは退職のあいさつ回りをしたときに、ある男性職員から Are you pregnant? (妊娠ですか?)と聞かれたといって、大変にフンガイしていた。日本人的には、「おめでたですか?」のつもりで言ったのだろうが。 これは、欧米では受け入れられるマナーではないのだ。


それを考えれば、公衆の面前で、1人の女性に対してこの侮蔑的発言。 野蛮、野卑すぎて、恥ずかしくてイギリス人の夫に話せない。また、Japan is so pre-historic...! (日本って、石器時代なの?)っていわれちゃうから。


しかも、この考えられない行動に対し、抗議をし、発言の主を特定し、処罰をしてほしいという彼女の提訴を、議会は退けたと言う。


そこが、日本社会の情けないところである。



バカな男が、愚かで恥ずかしいことを言うことは、防げない。バカで愚かなやつはいっぱいいるからね。


しかし、少なくとも、彼は職を失うべきである。 口から出した言葉の責任をとるべきだからだ。


その責任をとらせるのは、社会ではないのか。



議長は、「発言が不明で調べるのが難しい」といったそうだが、参加していた議員全員に無記名で「誰が言ったか」を書かせればすむ話である。隣近所に座っていた人は大勢いるんだから、わかるだろう。その上で、本人に「言いましたか」と聞けばよいのだ。


本人が認めれば、処罰をすればよいし、認めなければ、皆からウソツキの烙印を押されるであろう。



「みんなの党」では、声紋分析をするというが、おおいにやったら良いと思う。


女性の社会参加だの、女性による労働力だの言っているが、都議会がこれでは、語るに落ちる。本当に情けない。




そういえば、昔こんなこともあった。ある大臣が渡英したときである。時は夏休み、イギリスの国会は休みだから、エライ人はみんな地方に帰っている。


だから、苦労して、3番目ぐらいにエライ人とのアポをやっととることができたのだ。そうしたら、アポのある3日前ぐらいになって、その相手が「女性で、しかも35歳」ということを発見したらしいのだ。「こんな小娘には会えないから、キャンセルしてくれ」と彼は言ってきたのである。


その小娘は、しかし、あっというまに偉くなって、文部大臣など閣内大臣をその後、4,5年続けたのである。あ~あ、あの時会っておけばねえ。


そして、この日本の大臣はその後も女性蔑視の発言をして、国民のヒンシュクを買っていた・・・・。でも、その時も、職を追われることはなかったな・・・。



今回の都議会のヤジの件はインターネットで市民から抗議の声があがり、発言者の処分を求める署名をしているというが、政界よりも、市民社会の方が健全だと言う証拠であろう。


少なくとも、市民社会は、政界のように男社会じゃないからね。




「自分が早く結婚しろ」 「産めないのか」


全ての女性を敵に回すような、こんな発言をして、イギリスだったら、あっというまに政治生命をたたれるだろう。処分があるとして、どんな処分だろうか。「謹慎」程度だろうか。


いつも思うことだが、本当に日本の社会って、政治家に甘いから・・・・。