マキューアン 贖罪 初読感想 | ごろごろねこの仕事と結婚

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自分の感性を信じろ

わたしは普段本をあまり読まない人間なので 
この読みがあってるか全然自信はありませんが
感想を書きます。

まず、イアン・マキューアンめっちゃ政治的な小説書いたな。って印象。
(彼はその時々の時代状況で社会意識が向けられていることを題材に選ぶところがあるとおもうので、政治的な姿勢を持っているのはあながち間違いではないとおもう)

本小説は、
主人公ブライオニーが自らに都合よいような贖罪物語(ロマン小説)を執筆する動機、その執筆過程、そして執筆の後記を読者に見せるものである。

姉と使用人息子の恋愛と
使用人息子の戦争従事経験
が本作品のメインストーリーとみせかけておいて、
(マキューアンのものすごい技巧によって描かれておりここ読むだけでも価値はあるが)
そこが本作品の重きではない。
ここで感動してると後々マキューアンに騙されます。

筆者が伝えたいのは以下のことだとおもう。

英文学の伝統は世界的名著を生み出してきた。
だが、書き手は意識的にも無意識的にも、また善意でも悪意であろうとも、真実の操作を行ってきたのではないか。真実の操作により感動を生み出しては来なかったか。特に、戦争と、恋愛が主題の作品においては。読者はそれに気づく必要があり、小説家はその危険性を倫理的にとらえ創造を行う必要がある。

最後、晩年のブライオニーに対するマキューアンの一歩引いた、視線が印象的です。
この視線の意味を考えたとこ以上のメッセージを含んだ小説なのだと理解しました。