花の形のカマキリが | 田舎よりお送りしています

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かっこいい自分になるべく
かっこわるい日々を書き連ねていく

小さいころ、壁が一面本棚になっている廊下で
寝転がって過ごしたのを思い出す。
子ども百科事典(全20巻)をつまみ食いのように読み続けていた。
お父さんがメキシコに行って帰ってこない話と
イースターの楽しみ方、小石でスープを作る話が
特に好きだった。
父親がこれを読めといってくるのは
海底2万マイルや江戸川乱歩の少年探偵シリーズ
名作SFや子ども向けのミステリーだった。
与えられれば読むがあまり熱中しなかったのは
きっと目の前の事実というか、この世界の常識に
魅力を感じていたからだと思う。
小さな私には、通学路の汚い犬やおばあちゃんのくれる黒飴
新品の黄色い傘やセーラームーンの枕、そんなもので十分世界がキラキラして見えた。

SFやミステリーを好んだり
ましてや書いたりする人は
この世界はこの程度でない筈だ、と思い込んでいるのかも。
目の前の世界にうんざりしている人なのかもしれない。
これは悪口ではない、それが魅力。