大学に「社長学部」という学部があったとしたら、何が履修科目になるのだろうか?
「あらゆるジャンル」
20数年社長業をやっての私の答えです。
↓は「社長になろう」の演題で講演(授業)をするときに使う資料です。
一般に社長業に適した学部は、商学部、経営学部、経済学部あたりだと考えられますが、実際には様々なルートから登れる職業で、成功の王道たる学部はありません。
昭和の頃までは企業は文系社長が多数でしたが、IT革命後その傾向は変わりました。プログラマーなど理系人材が起業し社長になりました。この流れで大企業でも理系出身社長は珍しくなくなりました。
教育学部は一般に教員になるための学部だと思われがちですが、組織を動かすスキルは教育理論に根差したものです。また文学部が得意とする歴史学や哲学は、驚くほど経営判断に役立つ学問です。
社長業をやってみるとわかりますが、日々様々な角度から経営課題であるボールが飛んできます。その対応には法律の知識が必要であったり、会計学が求められたり、データサイエンスの理解が不可欠であったりと、幅広い分野の素養が求められます。
これら一つ一つのボールを受け取り、それぞれ最適な方向に打ち返す仕事が社長業ですが、この受け取りと打ち返しの間に重要なプロセスがあります。
「腹落ち」です。
それはどんなボールなのか?
なんの意味があるのか?
この深い理解無くしては、打ち返し(正しい経営判断)はできません。
この「腹落ち」のための学問こそが、「社長学」だと思います。だから「あらゆるジャンル」の学部科目にまたがります。
「学際性」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
法学部、経済学部、文学部、理工学部・・・と縦割りに専門的に学ぶ手段(狭く深く)に対し、「あらゆるジャンル」をある程度の専門領域まで学ぶ手段(広くそれなりに深く)を言います。したがって「学際性」は社長業における課題発見や解決に有効です。
私の後継者である長男がこの「学際性」を強みにする学部(社会科学部)に合格し、4/2に入学式がありました。
どんな経営者に育ってくれるか?
社長業の先輩として、親として、遠くから見守ってあげたいと思います。