話を聴くこと ~心理士が実践していること、日常でも取り入れられること | 心理士ここらびの まったりぶろぐ

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子を持つお母さん臨床心理士・公認心理師のゆるーいブログです。

 

私たち心理士は、心理士になるために勉強をする中で「話を聴くこと」を徹底的に学びます。

 

普段、誰かとおしゃべりをする中で、人の話を聞いて、自分もそれにこたえておしゃべりをして、と

 

誰でも話を聞いてはいるのですが、心理士が学び、実践している「話を聴く」のは、普段私たちがしているおしゃべりとはちょっと異なります。

 

ただ、「話を聴くこと」のポイントを知っておくと、心理士のお仕事をしている以外、私生活でも大変役に立つものですから

 

今回ご紹介をさせていただきたいと思います。

 

 

*「聞く」 と 「聴く」

 

上記もさせていただきましたが「聞く」と「聴く」では、ちょっぴり意味が異なります。

 

辞書にもございますが、内容としては

 

「聞く」 … 音、声が耳に入ってくること。内容を知ること。

「聴く」 … 理解しようと注意深く耳を傾けること。

 

こんな感じです。

 

「きく」という場合、広く一般に使われるのは「聞く」ですが、より意識を向けて、注意を向けてきく場合に「聴く」という表記を用います。

 

音楽を聴く、聴講(講義を聴くこと)というように使われるのも、そういう意味からきているみたいですね。

 

私たち心理士は、この「聴く」ことを徹底的に学び、日々実践しながら研鑽に努めています。

 

注意を向けて相手の話を聴くというのは、出来そうなようで、なかなか難しく、案外エネルギーを使うものです。

 

なので、仕事以外でもやるなんてしんどいわ!となるのももっともなのかもしれません。(笑)

 

 

*「聴く」ということ

 

それでは「聴く」ということについて、どのようなことに注意を向けているのでしょうか。

 

以下にいくつか紹介させていただきたいと思います。

 

 

①人の”声”を聴くことで、体調、感情、気分を知る

 

これは一番心理士が気を付けていることかもしれません。

 

声は非常に様々なメッセージを含んでいます。

 

声の調子、話し方、速さ…

 

そういったひとつひとつが、話しているその人の今の状態を教えてくれます。

 

同時に、それに合わせて、心理士も自分の話し方を調節します。

 

これはひょっとすると、日常の中でも【あ、今相手が怒ってるから、荒げないように落ち着いてしゃべろう】と関わるのとイメージとしては近いかもしれませんね。

 

 

②話のテンポ、間、沈黙も利用する

 

実際の言葉を用いた会話による交流をバーバルコミュニケーションと表現するのに対し、非言語的な交流をノンバーバルコミュニケーションと呼び、区別しています。

 

バーバル(verbal)とは『言葉の、言葉による』という意味です。

 

テンポ、間、沈黙というのは言葉を用いない交流ですから、ノンバーバルコミュニケーションと考えられます。

 

相手の表情や仕草、態度もノンバーバルな情報になり得ます。

 

会話してないなら、交流していないような気もするかもしれませんが、心理学の世界では言葉以外の交流も大切なコミュニケーションと考えます。むしろ、こっちを大切にする考えの方も少なくないかもしれません。

 

話をするにも、【雰囲気】を気にされたことはありませんか?

 

『今なら話していい気がする』とか『いや、今はなんか話しにくい雰囲気だからやめとこ…』とか。

 

話をするにあたって、このような雰囲気というのはとても大切な要素です。

 

話のテンポをゆったりさせるのか、楽しい会話の時のようなリズムよくぽんぽんとやりとりをするのがいいのか、そのときの話の相手や内容などによって変わってきます。

 

また、バラエティ番組、お笑い芸人さんなど観ていても【間】の取り方でしらけたり爆笑したりしますよね。

 

話の中で生まれる【間】については、それを感じさせないように間を埋めたほうがいいのか、それとも【間】を利用したほうがいいのか、これもそのときの会話によってさまざまですが、大切なコミュニケーションです。

 

沈黙も同様です。

 

沈黙が苦手な方もおられるでしょうが、たとえば治療やカウンセリングの場などではこの【沈黙】は非常に大切です。

 

沈黙というのは必ずしも”なにもない”わけではありません。

 

沈黙が心地よい空間を作ることもあります。

 

仲の良い友人関係や恋人同士でいるときに、沈黙が辛くないことってあるかと思います。

 

逆に、沈黙が苦手な人、心理士や専門職でもそうですが、沈黙が耐えられずに自分からしゃべってしまうことがよくあります。

 

おしゃべり上手だったり、それでなんとか楽しい雰囲気になることももちろんあって、決して悪いことではなく長所と考えられることもありますが、一方で、自分が耐えられないから沈黙を破ってしまう、となるとこれは雰囲気を作る、心理士など専門職としては治療的関りという点ではペケでしょう。

 

人によって話すスピードや、考えてから話し始める、ストーリーを構成して確認してから話しだすなど、話し方も様々ですから

 

”言葉を待つ”という点においても、沈黙は大切なコミュニケーションです。

 

ただし、気まずい沈黙、相手にプレッシャーになるような沈黙であるとすれば、その沈黙は逆効果になるかもしれません。

 

 

③相手はどんな言葉を使っているか

 

人によって話し方には大なり小なり癖があります。

 

その癖の良し悪しというよりも、その人の発する言葉が、どのようなときに、どのような意味で発せられているか、そこを知ることが大切です。

 

 

 

 

本当にざっくりとですが、「聴く」というのは上記のようなイメージと考えていただけたらと思います。

 

バーバル・ノンバーバルなメッセージを受け止めながら、注意深く会話を行う。そんな感じでしょうか。

 

心理士はこれを全員完璧にできているかというと、完璧というのはなにか、となりそうです。(笑)

 

それくらい難しく、人によって感じ方は様々なので「聴く」ということ自体、その人らしい「聴き方」もでてきたりして。

 

心理士においても、「聴く」ことが出来ている・出来ていないというのももちろんあるかと思いますが、それに加えて

 

相手にとって「聴いてくれてる」「聴いてくれてない」と感じるという違いも生じてきそうです。(専門職はここは本当に気をつけたいところですね…)

 

 

日常会話でこんなことをしていると、正直疲れちゃうとおもいます。(笑)

 

ですが、「相手はなにを言いたいのかな?こういうことかな?」と考えるというひと手間をちょっと加えてみる、そんな意識をしてみると、人との会話の内容や深さに、更に彩がでてくるかもしれません。