こんな記事を読んだ。全文引用します。
「迷子から8分、つながった温泉街 シングルマザーの案内処が結んだ絆」
【若葉町】
若葉町温泉の路地「木洩れ日横丁」に7月3日、案内処「つばくろ案内所」が開業した。開いたのは、旅館の仲居を辞めて独立した芝崎友梨さん(35)。息子の湊くん(7)と二人暮らしで、日帰り客の忘れ物や道案内を引き受ける4坪の小さな店だが、開業からわずか2カ月で、迷子や困りごとを温泉街全体で助け合う仕組みへと育ちつつある。
開業のきっかけは、仲居時代に感じていた「お客さんが困っても、頼れる窓口がない」という思いだった。改装費は約90万円。設備はタブレット端末1台と、近隣12店舗をつないだ連絡用のグループだけだ。「大きなことはできませんが、誰かが困った時にすぐ動ける場所にしたかったんです」と友梨さんは話す。
転機は開業11日目の7月13日午後に訪れた。台湾から来た陳美玲さん(41)が、坂道ではぐれた長男(4)を捜して案内所に駆け込んだ。友梨さんはすぐさま男の子の特徴を近隣12店舗のグループに写真付きで送信。8分後、300メートル離れた饅頭店の店先で、店主の郡司福治さん(68)が保護していた男の子が見つかった。「泣きじゃくる子を前に何もできず悔しかった。でもすぐに連絡が回って、こんなに早く見つかるとは思いませんでした」と陳さんは涙をぬぐった。
この一件を機に、これまで様子見だった老舗旅館の女将、蓮池セツさん(70)も協力を申し出た。「若い人がこれだけ動いてくれるなら、私たちも黙っていられない」と、旅館のロビーを日中の一時待合スペースとして開放。郡司さんも店先の縁側を子ども連れの休憩場所に使ってもらうようになった。若葉町温泉旅館協同組合長の桧山勲さん(59)は「一軒一軒は小さな店でも、つながれば温泉街全体の安心になる」と手応えを語る。
友梨さん親子の小さな挑戦は、いま静かに輪を広げている。組合の集計によると、開業前は月平均3件だった迷子・忘れ物相談は、8月には月平均12件に増えた一方、平均解決時間は45分から9分へ短縮された。協力店舗は開業時の5店から19店に増え、若葉町温泉の日帰り客数は前年同月比で6%伸びたという。」
温泉街に開業した小さな案内所が、迷子になった台湾人観光客の子どもを近隣12店舗のグループ連絡で8分で見つけ出した、という記事を読んだ。設備はタブレット1台と連絡用グループだけ、というのが逆にリアルだった。
平均解決時間が45分から9分に短縮された、という数字も良かったけど、それより「一軒一軒は小さな店でも、つながれば温泉街全体の安心になる」というコメントの方が印象に残った。