こんな記事を読んだ。全文引用します。

「定年の橋守り、最後の点検 老朽化進む虹ノ原大橋、実習生が継ぐ」

【松風区】

松風区虹ノ原ニュータウンを東西に結ぶ「虹ノ原大橋」(長さ86メートル、1978年架設)で8月28日、橋梁点検技術者の戸塚実さん(67)が定年退職前最後の定期点検に立った。橋脚のコンクリートから新たな亀裂が見つかり、区は同日中に大型車両の通行制限を決めた。戸塚さんの技術を引き継ぐのは、ミャンマー人技能実習生のウィン・アウンさん(26)だ。

点検は通勤・通学の車が途切れる午前7時に始まった。橋桁の下に組まれた足場に2人が並んで入り、コンクリートの表面を金づちでたたいて音の違いを聞き分ける「打音検査」を進めると、第3橋脚の付け根に幅3ミリの新しいひびが見つかった。最初に「音が違う」と気づいたのはウィン・アウンさんだった。「28年やってきて、ここまで進んだひびは久しぶりだ」。戸塚さんは険しい表情でノートに書き込み、区は橋の重量制限を20トンから8トンに引き下げ、大型ごみ収集車と路線バスの迂回を決めた。

ウィン・アウンさんが松風区に来たのは2023年6月。「橋のことは何も知らなかった」と振り返るが、戸塚さんの下でハンマー音の違いを聞き分ける技術を3年かけて仕込まれてきた。「先生がいなくなったら、僕一人で判断できるか自信がない」と声を落とす。

国土交通省によると、全国の橋(2メートル以上、約73万基)のうち建設から50年以上たつものは2024年時点で約37%に上り、10年後には約53%に達する見通しだ。一方で自治体の土木職員は2000年比で約3割減ったとされ、松風大学の鹿沼真理子教授(橋梁工学)は「担い手不足を補うため技能実習生への依存が急速に進んでいるが、資格取得や定着支援の制度整備は追いついていない」と指摘する。

戸塚さんが勤める橋梁補修会社「松風橋梁工業」の社長、鴨志田隆さん(56)によると、区内で橋梁点検の資格を持つ技術者はわずか4人で、うち2人が今年度中に退職する。「求人を出しても地元の若者は来ない。実習生に頼らざるを得ないのが実情だ」。区建設課の三雲隆之課長(54)も「区内47橋のうち9橋が建設50年を超えているが、補修予算は年間4200万円で全てには回らない」と明かす。

戸塚さんの最終出勤日は9月30日。ウィン・アウンさんは10月に橋梁点検の研修を受け、来年1月の特定技能試験を受験する予定だ。合格すれば区内で唯一のミャンマー人橋梁点検技術者として最長5年間働き続けられる。ただ虹ノ原大橋の重量制限解除には少なくとも3カ月かかる見通しで、区内に残る老朽橋8基の対策は依然として見通しが立っていない。」

定年退職を控えた橋梁点検技術者が、最後の点検で新しい亀裂を見つけ、技能実習生が「先生がいなくなったら、僕一人で判断できるか自信がない」と漏らした、という記事を読んだ。全国の橋の4割近くが建設50年超という数字も出ていて、他人事じゃない感じがした。

点検予算は年間4200万円で、区内47橋のうち9橋が50年超。単純計算がいちいち重い。技術の継承って人手不足の中だと本当にギリギリの綱渡りなんだな。