こんな記事を読んだ。全文引用します。

「傾いた家に、もう一度水平を 潮見町住宅団地、締め切り前夜のビー玉診断」

【潮見町】

潮見町東部の住宅団地「汐見ケ丘住宅」で、3年前の地震による液状化で傾いた住宅の基礎を直す町の補助金制度が、今年度から申請の受け付け方式を一変させた。これまで随時受け付けていた申請を、9月1日から10日までの10日間限定・窓口受付に一本化し、専門業者による地盤調査報告書の添付を新たに義務付けたのだ。自治会長の塚原源三さん(74)は、変更を知らせる回覧板を手に、対象となる68戸を締め切り直前まで一軒ずつ歩いて回った。

2023年6月の地震で、団地内156戸のうち68戸が液状化の被害を受けた。基礎の沈下は最大で12センチに達し、玄関の扉が数センチ開いたまま閉まらなくなった家も少なくない。補修費用は1戸平均約180万円、町の補助上限は120万円で、残りは住民の自己負担になる。

8月28日夜、塚原さんは一級建築士の蔦木大介さん(58)とともに、目の不自由な御厨サキさん(81)宅を訪ねた。地盤調査報告書の専門用語が読めず、申請をあきらめかけていたという。蔦木さんは居間の床にビー玉を転がして見せ、「ほら、こっちにゆっくり転がっていくでしょう。これが傾きの証拠になります」と説明した。塚原さんが図面の余白に沈下の方角を書き込み、御厨さんの手を取って申請書に印を押す位置まで導くと、御厨さんは「一人だったら、この紙は開かずに捨てていたと思う」と声を落とした。

同じ団地の皆川亮太さん(34)・美穂さん(31)夫妻も、5歳の長女がいる子育て世帯だ。「基礎の傾きなんて図面を見ても分からなかった。塚原さんが一緒に業者を呼んで説明を聞いてくれたから踏み切れた」と美穂さんは話す。この訪問に同行した高校2年の蔦木さんの娘、蔦木さくらさん(16)は、以降も休日に父の調査に付いて回るようになり、「専門の言葉を近所の人に翻訳する仕事があるんだと知った」と将来、建築士を目指すきっかけになったという。

町防災危機管理課の沖矢玲子さん(46)は「随時受付では審査が長期化し、支援が届く前に住民が自費で工事を進めてしまう例が相次いだ。期間と書類を明確にすることで、公平かつ迅速な支給を目指した」と制度変更の狙いを説明する。

受け付け最終日の9月10日、対象68戸のうち申請を終えたのは62戸、申請率は91%に達した。制度変更が発表された昨年度末時点の申請率は44%、戸数にして30戸にとどまっていた。塚原さんが一軒ずつ歩いた距離は、団地内だけで延べ約14キロに上る。」

地震の液状化で傾いた家の補助金申請の締め切り直前、一級建築士が床にビー玉を転がして「これが傾きの証拠になります」と説明していた、という記事を読んだ。専門用語が読めず申請を諦めかけていた高齢者の手を取って印を押す位置まで導いた、というくだりが良かった。

制度が変わって書類が難しくなった分、誰かが隣で翻訳してあげないと届かない、という話だと思う。