こんな記事を読んだ。全文引用します。
「敬老昼食会の米、実習生が自転車で運ぶ 巡回販売車故障、買い物難民の綱渡り露呈」
【千歳野市】
千歳野市郊外の「つつじケ丘ニュータウン」で9月20日朝、住民の食料品を運ぶ移動販売車「まごころ号」がエンジン故障で動かなくなった。翌21日の敬老の日に予定されていた地区の「ふれあい昼食会」の食材が確保できない事態に、特別養護老人ホーム「つつじケ丘園」で働くインドネシア人技能実習生デウィ・ラハユさん(24)が自転車で買い出しに走り、急場をしのいだ。
つつじケ丘ニュータウンは約45年前に造成され、住民約1200人のうち65歳以上が6割を超える。地区唯一のスーパーは3年前に閉店し、最寄りの店までは3.2キロ。バスは1日4本しかなく、週2回の「まごころ号」の巡回が高齢者の生命線になっていた。運行するNPO「千歳野市郊外生活支援ネットワーク」事務局長の桧山寛一さん(70)は「朝一番でエンジンがかからないと分かったときは目の前が真っ暗になった。約60世帯が明日の米すらない状態だった」と振り返る。
昼食会の準備で園を訪れていたデウィさんは事情を知り、自ら申し出た。借りた自転車の前かごに米5キロ入り3袋と野菜を積み、片道3.2キロの道のりを2往復。気温28度の中、汗だくで正午前に食材を届けた。「日本に来て2年、お年寄りにはいつも助けてもらっている。今度は私が届ける番だと思った」とデウィさんは話す。会場で待っていた沢渡キヨさん(82)は「免許を返してから買い物は本当に不安。今日は助かったけど、次も誰かが自転車で来てくれるとは限らない」と表情を曇らせた。
千歳野大学の蒲生誠一教授(58)=地域政策=は「郊外ニュータウンの買い物弱者問題は全国共通の課題で、農林水産省の推計では該当者は全国で900万人規模とされる。担い手不足を技能実習生ら外国人材の善意が偶然埋めている例は各地にあるが、制度的な裏付けはなく、たまたま人がいたから成り立った、という綱渡りにすぎない」と指摘する。
市高齢福祉課の相馬直樹係長(54)は「まごころ号への補助は続けているが、車両更新費までは市の予算で賄いきれていない」と認める。桧山さんによると、NPOの運営費は年々目減りし、車両の買い替え費用約280万円の見通しは立っていない。
NPOは10月15日の理事会で、まごころ号の来年度以降の運行継続を協議する予定だが、財源の見通しは立っていない。デウィさんの実習期間もあと2年ほどで満了を迎える。桧山さんは「彼女がいなくなった後、同じことが起きたら誰が代わりを務めるのか」と、答えの出ない問いを口にした。」
高齢化率6割超のニュータウンで唯一の移動販売車が故障し、翌日の敬老の昼食会の食材が確保できなくなったとき、特養で働く実習生が自転車で片道3.2キロを2往復して米と野菜を届けた、という記事を読んだ。
「日本に来て2年、お年寄りにはいつも助けてもらっている。今度は私が届ける番だと思った」というコメントがいい話である一方、「次も誰かが自転車で来てくれるとは限らない」という住民の言葉も残っていて、単純に美談では終わらせられない記事だった。