こんな記事を読んだ。全文引用します。

「廃部まで、あと1人 引っ越してきた図書館司書が拾った37年目のボール」

【山吹市】

山吹市の市立東体育館を拠点に37年続く「山吹レディースバレーボールクラブ」が、会員の高齢化とけがで公式戦に必要な最少人数6人を割り込み、8月末での解散を検討していたことが分かった。危機を救ったのは、今年6月に夫の転勤で480キロ離れた土地から移り住んだ市立山吹図書館司書、桐生奈緒さん(39)。市民大会まで残り2カ月というところで、思いがけない形でチームに加わった。

クラブは1989年、旧山吹紡績の女子寮の有志が体育館の空き時間を使って始めた。最盛期には20人が汗を流したが、現在の主将、布施富子さん(69)を含む会員は年々減り、今年7月には5人にまで落ち込んでいた。「あと1人揃わなければ、来月のリーグ戦に申し込みすら出せません」。布施さんは8月上旬、そう言って肩を落としていたという。

転機は7月21日の夜だった。布施さんが図書館の返却期限を2週間過ぎたバレーボールの指導本を返しに来て、窓口にいた桐生さんに頭を下げた。世間話のつもりで「なぜこんなに借りていたのですか」と尋ねると、布施さんは体育館の鍵を片手に「実は今夜、うちのチームが消えるかどうかの瀬戸際なんです」と苦笑いした。桐生さんは学生時代にバレー部だったことを打ち明け、閉館作業を終えた午後8時、そのまま体育館まで自転車で駆けつけた。「気づいたらユニホームのサイズを聞かれていました」と桐生さんは振り返る。

新入りの加入は、しばらく足が遠のいていた別の会員も動かした。娘の送迎で観戦していた相良恵美さん(42)は、桐生さんが慣れないレシーブで何度も転びながら笑っている姿を見て、「私も一度きり、やってみようかな」と練習に加わった。相良さんの娘、ひまりちゃん(8)は「ママがボールを追いかける姿、初めて見た」と体育館の隅で声を上げて応援したという。会員は一気に7人に戻った。

全国的にも地域の女子バレーボールクラブは会員数の減少に直面しており、県バレーボール協会によると、県内の登録ママさんチームはこの10年で4割減った。県協会の担当者は「一人が抜けると即座に活動休止に追い込まれる小規模クラブが多い。移住者や現役世代を取り込めた例は珍しい」と話す。

布施さんは新しいユニホームを注文しながら、「来月23日の市民大会予選には、なんとか9人でエントリーできそうです」と目を細めた。桐生さんは早番の日にレシーブ練習を続けるつもりだといい、「まずは1勝、それから来年は後輩を誘ってみたい」と話している。」

37年続くママさんバレーボールクラブが会員6人を割り込んで解散寸前だったところ、図書館の返却窓口でたまたま話しかけた移住者の司書さんが「気づいたらユニホームのサイズを聞かれていました」という形で入部し、廃部を免れた、という記事を読んだ。

県内の登録チームがこの10年で4割減っているという数字も出ていて、一人が抜けたら即活動休止、という小規模クラブの脆さがよく分かる話だった。