こんな記事を読んだ。全文引用します。

「十五夜の綱、22年ぶりに戻る 学生と長老、藁を編んで村祭り復活」

【蓑輪村】

蓑輪村の蓑輪八幡神社で8月30日夜、22年間途絶えていた伝統行事「十五夜綱引き」が復活した。太さ20センチ、長さ12メートルの藁綱を、氏子ら約60人と近くの蓑輪学院大学の学生ボランティア18人が引き合い、境内には久しぶりの歓声が響いた。

行事を絶やさぬよう動いたのが、地域ボランティアの蓑輪甚平さん(78)だ。十五夜綱引きはかつて豊作を祝う秋の名物だったが、村の人口減少で綱を編める男手が足りなくなり、22年前に途絶えた。「毎年、誰かが『今年こそ』と言いながら結局立ち消えていた」と甚平さんは振り返る。転機は今年6月、村の広報誌に載った古い写真を見た村役場生涯学習課の桧原美咲さん(45)が甚平さんに声をかけ、地元の蓑輪学院大学に協力を打診したことだった。

準備は簡単には進まなかった。8月23日夜、公民館での藁編み作業中、乾燥しすぎた藁で綱が二度も途中で切れた。集まった住民はわずか7人。甚平さんが肩を落としかけたところに、大学のボランティアサークル代表・竹村奏太さん(20)が仲間4人を連れて飛び込んできた。サークルのSNS投稿を見た学生が次々と加わり、日付が変わる頃には作業部屋に22人がひしめいていた。「藁の匂いも綱の結び方も知らなかったけど、甚平さんに手を握られながら教わったら、なんだか自分の村みたいに思えてきた」と竹村さんは笑う。

当日、最後の一本を引いたのは、22年前の最後の開催を覚えている蓑輪ヨネさん(83)だった。「あの頃と同じ掛け声が聞こえて、涙が出た」とヨネさんは目を潤ませた。甚平さんも「学生さんたちがいなければ、綱一本編めなかった。村の外から来た力で、村の中の記憶がつながった」と語った。

この夜をきっかけに、隣接する十日市地区でも途絶えていた盆踊りの復活を検討する声が上がり、竹村さんのサークルには新たに9人の学生が加入を申し出た。桧原さんは「一つの行事が動くと、周りも『うちも』と言い出す。地味だけど、これが一番効く処方箋かもしれません」と話す。

もっとも、綱引きの舞台となった神社境内の一角は、来春から大学の学生用駐車場に姿を変える計画がすでに決まっている。甚平さんは「来年もここで綱を引けるといいんですがね」と、駐車場の測量杭が立つ隅を見やりながら、まだ笑っていた。」

22年間途絶えていた村の伝統行事「十五夜綱引き」が、大学生ボランティアの力を借りて復活した、という記事を読んだ。SNSで広まって深夜に22人集まって藁を編んだくだり、単純に良い話だった。

ただ最後の一文が引っかかった。復活の舞台になった神社の境内は、来春から大学の駐車場になる予定が既に決まっているらしい。良い話に水を差すようだけど、これが一番リアルな終わり方な気がする。