こんな記事を読んだ。全文引用します。

「駅前サロン10年、届かぬ声は増える一方 ひきこもり支援、現場に募る焦り」

【古町区】

古町区の私鉄・古町井荻線「古町」駅前商店街の一角で8月30日、古町高校の部活動「ふれあい部」が運営する居場所「駅前サロン」の10周年記念の集いが開かれた。2016年に当時の顧問だった布施謙一教諭(54)が、不登校を経験した卒業生の相談をきっかけに始めた月1回の活動だが、今年度の相談件数は127件と、前年の106件から2割増えた。10年という節目を祝う場は、支援の限界を映す場にもなった。

サロンは第4土曜の午後、生徒が地域の若者や家族の話し相手を務める形で続いてきた。部長の三雲玲奈さん(17)は「最初は怖かった相手が、半年後に自分から進路の話をしてくれた時は本当に嬉しかった」と振り返る。だが今年は新規の相談者が定員を超え、待機している家族が8組いる。

当日、6年間家から出られない状態が続く息子・悠真さん(28)を持つ遠山悦子さん(58)が会場に姿を見せた。悠真さん本人は結局、駅の改札を出たところで足が止まり、そのまま引き返したという。遠山さんは「10年も続けてくれたことには感謝しかない。でも息子はまだあの改札を越えられない」と声を落とした。

東雲大学の皆川誠治教授(61、社会学)は、内閣府の推計で15歳から64歳の広義のひきこもり状態にある人が全国で146万人に上るとされる現状に触れ、「地域の居場所づくりは重要だが、担い手の多くはボランティアで、支援を必要とする人数の増加に追いついていない。学校の部活動という不安定な枠組みに支えられている自治体は少なくない」と指摘する。

区は今年度、相談員1人分の予算約180万円を新たに計上したが、布施教諭は「10年やってきて、駅から出られない人の背中を最後に押すものが何なのか、正直まだ分からない」と話す。10年前と同じ商店街の明かりの下で、その問いへの答えは、まだ見つかっていない。」

高校の部活動が10年続けてきたひきこもり支援の居場所づくり、記念の集いに行ったら6年間家を出られない息子を持つ母親が来ていて、本人は改札を出たところで引き返してしまった、という記事を読んだ。

「10年やってきて、駅から出られない人の背中を最後に押すものが何なのか、正直まだ分からない」という顧問教諭のコメントが重かった。続けることと、届くことは別問題なんだな。