こんな記事を読んだ。全文引用します。
「路地裏に灯る「ただいま」の声 消防団員が見つけた子ども食堂の輪」
【緑ケ丘市】
緑ケ丘市中央地区、消防団詰所から歩いて3分ほどの下町の路地で、消防団員の男性が夜回り中に迷い込んだ子ども食堂が、1年足らずで大人たちを巻き込む交流の輪に育っている。始まりは昨年8月20日の夜、たった一人の出会いだった。
夜8時すぎ、緑ケ丘市消防団第3分団の団員、三浦拓也さん(45)は月2回の夜回りで路地を歩いていた。防犯灯が切れたままの角に、一人で立ち尽くす女の子がいた。声をかけると「お母さんが帰ってこない」と小さな声が返った。8歳の小杉あかりさんだった。手を引いて路地の奥へ進むと、木造の古い民家から明かりと出汁の香りが漏れていた。
食堂「ひまわり亭」を営むのは、近くで惣菜店を営んでいた蓮見多恵子さん(67)だ。昨年11月、空き家だった実家を改装し、毎週水曜の午後6時から2時間、1食100円で夕食を出してきた。「一人で待つ子がいると聞いて、居場所を作りたかった」と蓮見さんは話す。あかりさんを送り届けた三浦さんは、台所の壁際に延長コードが何重にも重なっているのに気づき、「これは危ない」と声を上げた。
三浦さんは翌週の非番の日、工具を持って再び路地を訪れ、コンセントの配置を見直し、子どもたちと避難経路を一緒に確かめた。「まさか消防団員さんが来てくれるなんて」と、あかりさんの母、小杉由紀さん(34)は目を潤ませる。仕事で帰宅が遅れる日が多く、「あかりを一人にする不安がずっとあった」という。今では由紀さんも水曜の夜に食堂へ立ち寄り、後片付けを手伝うようになった。
三浦さんの姿は路地の外にも波紋を広げた。近くの豆腐店主、橋本清一さん(72)は三浦さんが軽トラで食材を運ぶのを見かけ、「自分にも何かできないか」と、毎週水曜の朝に木綿豆腐20丁を無償で届けるようになった。9月からは消防団の若手2人も交代で顔を出し、子どもたちに応急手当を教える時間もできた。ひまわり亭に集まる子どもは、この1年で5人から18人に増えている。
三浦さんは今も夜回りの帰りにひまわり亭へ立ち寄る。あかりさんが「たっくん、来た」と駆け寄ってくるのが、何よりの楽しみだという。「消防団の仕事は、火を消すことだけじゃない。誰かが一人にならないように、路地の明かりを絶やさないことも、同じことだと思うんです」と三浦さんは静かに語った。」
消防団員が夜回り中に一人ぼっちの女の子を見つけ、たまたま近くにあった子ども食堂に連れて行った、という記事を読んだ。そこから配線の安全点検やら豆腐店の差し入れやらが連鎖して、1年で子どもの利用者が5人から18人に増えたらしい。
「消防団の仕事は、火を消すことだけじゃない」という団員の言葉が良かった。防災の話のはずなのに、最後は地域の見守りの話になってる。良い偶然というのは案外こうやって連鎖するんだな、と思った。