いつの間にか夏の陽射しだ。日課のスーパー巡りの信号待ちの間にも日焼けしそうだ。夏になると自転車の信号待ちでなぜかいつも「サマータイム・ブルース」を思い出す。それも本家のWHOではなく日本語で歌う子供ばんど版だ。ギターのリフが印象的で、というかそんな生やさしいものではなくイントロから超絶イカしている。

 

その次に印象に残るのは曲の合間に繰り出される「あんたはまだまだ子供だよ」という台詞のような歌詞だ。暑い夏が来てわらわらと海や山へ行きイカした女の子に声をかけると、その台詞を吐かれるという、ただそれだけの曲だ。ただそれだけ故にシンプルなロックの持つ暴力的なまでのエナジーを感じる。

 

昨今ではロックミュージシャンの素行の悪ささえ糾弾され、当の本人たちもすぐに謝罪する。中途半端にワルぶるのは愚の骨頂だがなんとも不寛容な世の中になったものだ。(ちょっと話が逸れている気もするが)やれやれ、と思うのは筆者だけだろうか。元来ロックは不良の演るものだ。酒癖が悪く、借金を踏み倒し、平気で他人の女を寝とる。そんな不良たちに普通の良い子は近づいてはいけない。有難がってTVに出してもいけないし、出てもいけない。

 

そう言えば、イギリスの伝説的バンドのドキュメンタリーを扱った際にリーダーのギタリストを宣伝イベントに招聘したことがる。時間になっても現れないので楽屋に呼びにくと、どこで調達したのか昼からウイスキーをボトルからグビグビと飲んでいた。「時間でーす」と声をかけると「今か?」とまたグビり。ロックだなぁと感心するやら呆れるやらだった。

 

どうやら再々就職が決まった。転居からほどなくして生活が暗転したので、晴れやかな気持ちで自転車に乗ったことが無かった。心にのしかかる重石が外れてみると、やはりその分心なしか景色が違って見える。こんなにトントンと決まってしまうと、まだまだ隠居には早いとの思し召しのようにも思える。すっかり自転車オジサンとなったうじきつよしに「あんたはまだまだ子供だよっ!」と言われているようだ。

 

サマータイム・ブルース 子供ばんど 1982