(承前)
ボルヘスの「ドン・イシドロ・パロディの六つの難事件」を読み始めた筆者の眼は一人の登場人物の名に釘付けとなった。40年近く前に夢中になった「グレート・ブルー」の封印を解きしばらくぶりに観てみるかと動画サイトに行ってみた。違法なのか合法なのよくわからないのだが、在る在る。
早速いそいそと再生を開始した。オープニングの海上を滑空する画面に早くもグっと来る。しかし、何かが違う。この違和感はなんだろうか?しばらく観て気がついたのだが、音楽が違う。クレジットを確認すると音楽はビル・コンティとなっている。えー!何これ?こんなバージョンが存在したの?
筆者の驚きは、まるで数十年ぶりの同窓会で会うのを楽しみにしていた美少女が普通のオバさんになっていたような驚きに匹敵する。ビル・コンティは好きな作曲家だが「グレート・ブルー」はエリック・セラでなければいけない。さしずめアメリカ公開時にスタジオから差し替えを要求されでもしたのだろう。これはいただけない。早々に観るのを止めた。
オーバーマーケティングとでも呼ぶべきか。こんな大きなお世話が40年も前から存在していたのかと思うと、昨今のオーバーマーケティングされた作品群にゲンナリするのも、さもありなんと腑に落ちる。最近の作品にあまり深みを感じられない筆者はそれでは昔の映画でも観るかと久しぶりに検索をかけてみた。(続く)