再々就職の面接のために東京へ向かう。残念ながら地元にいては筆者のキャリアやスキルが多少なりとも役立つ仕事は限られる、いや、ほとんどない、いやいや皆無に近い。ましてや筆者の年齢だと、少しでも間口の広い東京に向かわざるを得ない。

 

靴を磨き、スーツにブラシをかけ、ネクタイを選ぶ(もうネクタイの締め方も忘れたが)。あまり気乗りのしない作業を粛々と進める。東京まで2.5時間、各駅停車の旅だ。特急に乗れば半分近い時間で移動できるが、今の筆者にはそれは贅沢である。少しでも手元に現金を残しておかなければならない。慣れればなんと言うこともない時間だ。ひょっとして通勤できるのでは?と思わないでもない。

 

何がどうしてそういう選択なのかわからないのだが、筆者の利用する最寄駅の発車サイン音は、ルパン三世のテーマ曲だ。しかし、なぜか今日はZARDの「負けないで」が流れておりハッとする。ZARDの飛躍のきっかけになった曲の1曲で受験や就職を控えた若者への応援ソングだ。

 

♪ 負けないで もう少し

  最後まで 走り抜けて

 

♪ 負けないで ほらそこに

  ゴールは近づいてる 

 

今回の苦境も様々な人に助けられている。電車の無味乾燥で電子的な発車音さえ応援してくれているようで、今日は乾いた心に響いてくる。

 

知人の紹介故に書類選考で不採用になることはなくここまではフリーパスだ。だいたいは想像していたが色々と説明を聞き、自分の話をする内に「この仕事何が楽しいんだ?」と緊張するどころかどんどん冷めて興味が持てなくなっていく自分を持て余す。

いやいやいやいや、そんなことを言ってる場合ではない。今の状況では面接を受けられるだけでもありがたい、この仕事をなんとしても手にしなければいけないのだ。こういうのをアンビバレンスと言うのだろう。それを決して悟られてはならない。