おかげさまで久ーしぶりに出品したフリマで順調に売れている。まあ、売れやすいモノから売れて行くので、後は店晒しだろうなと思う。そこそこの金額になるので、それはそれでありがたい。長らく本棚で眠っていた本もあるので、良書はまた新しい読者と出会うのもいいだろう。

 

順次旅立っていく愛書を梱包していると、なんだか娘を嫁に出すような暖かい気持ちに… なるはずがない。断腸の思いと言うが、もう切る腸が無いよ!内臓を抉られるような辛さだ。しかし、背に腹は代えられずそれも仕方ない。面白いように筆者の大切な本から売れていく。全てを手放すわけでもないし発想を切り替えるしかない。

 

友人がインスタを始めたと言うので、これもまた久ーしぶりにインスタを立ち上げた。最後の投稿は22年の3月だからほぼ4年お休みした。もっと長文を書きたくなって、ちょうどこのブログと切り替わりくらいか、と思ったがそうでもなかった。

 

せっかくなので、旅立っていく本たちの門出を祝って写真をアップした。なんだか遺影のようだ。いやいや、筆者の性格的にどうしても手元に欲しい本は買い直すのだろう。経済的に復活出来ればの話だが。遺影に並ぶ4年前の写真を順に眺めてみると、このあたりから人生下り坂になったなぁと思い知る。

三度目の経済的苦境に陥った。またあの隙間風吹きすさぶ実家に戻ることを想像すると憂鬱で仕方ない。これまで二度のウルトラCで復活を遂げてきたが、さすがに三度目は難しいだろう。60歳を過ぎれば仕事探しも覚束ない。第三者から見れば結果的に「我慢が足りない」ということなのだろう(実際に言われた)が、筆者にも言い分はあるし今更それを言ったところで何にもならない。

 

今回は想定外のタイミングでやってきた。これは筆者の想定が甘かったことに他ならない。いずれその時期がやって来ることは予見していたが、病み上がりの身体を癒しつつじっくり考えようとしていた矢先の想定外だ。さらに言えばそれは他律的な要因だ。

 

そこで焼け石に水ではあるが、家財をフリマに出品し始めた。高額品は手続きが必要なので後回し、まずは出品しやすい書籍などからだ。と言っても古本などは二束三文、棚ごと売ったところで2、3万にも届かないだろう。仕方なくこれまでせっせと収集してきた美術本や比較的高額で取引されている書籍の出品を断腸の思いで進めている。

 

ところが情けないことに筆者もなかなかに小人である。本来良き兆候のはずの「いいね」ボタンが押されると、やはり惜しくなって出品を取り下げたりしている。価格設定も強気になったり弱気になったりのまるでダイナミックプライスだ。我ながら、何をやっているのやら。身ぐるみ剥がされる事態ともなれば文字通り二束三文なのに。

 

趣味や小遣い稼ぎの出品者も多いだろう。しかし、日本全国に断腸の思いの出品者はどれ程いるのだろうかと、ふと気になる。

ある所で「アート」と「エンタメ」の違いについて問われたので筆者なりに考えてみた。

どちらもどこからどこまでがその領域なのか明確ではなく、またその言葉を使う人によっても意味合いが異なるのでなかなか扱い難い言葉だ。それは何故か?割と答えは明快だ。

どちらも人が生きていくのに必要であるが、そのあり様、受け取り方によってどちらにも当てはまり得るのである。

 

エンタテインメントとは、どちらかといえば娯楽色が強く人を楽しませるモノであり場合によっては対価として金銭が発生する。人々はそれを受け止め日々の暮らしの彩りとする。

一方、アートとは人の心に長く残り心の糧となるモノである。音楽、絵画、映画、造形などが一般的だが、場合によっては路傍の野草さえもアートになりうる。多くの人が認め、さらに超長期に渡って認められるものが古典と呼ばれる。

 

例えば軽いミステリー小説はどうだろう?読んでいる間はドキドキハラハラさせられ時には涙腺崩壊さえする。ところが読み終えれば、さっさと忘れられ古本屋に山と積まれることとなる。一方である読者はその作品のどこかにピンと来るものを感じ一生座右の書となるかもしれない。

またレオナルドのモナリザはどうだろう?あー、冥土の土産にルーブルでモナリザ観てきたぜ!人がいっぱいだった!で終わる人もいれば、あの謎の微笑に一生魅せられる人もいるだろう。

 

二例ともに前者はエンタメであり、後者はアートだ。つまり同じ創作物でも受け取り手の受容感覚によってエンタメになりアートにもなり得るのである。

 

さらに厄介なのは作り手側の問題もある。アートのつもりで作ってもエンタメとして受け止められたり、その逆もある。また商業的な成否や知名度などがさらに拍車をかけて混沌とする。

一生懸命いいモノを創ろうと壮絶な努力をしてもたいしたモノが出来ない場合もあれば、テキトーにやっていても凄いモノが出来てしまう場合もある。

 

であるからアートとエンタメの間に単一、共通の一線を引くことなど不可能であり無意味なのである。また両者は不可分であり状況によってどちらにもなり得るのである。

余談だが筆者も長くエンタメに関わったが人の心に長く残るものを作りたいと思っていた。

まあ本稿は言葉遊びの感がなくもないが、今年も長く心に残る作品に出会いたいものです。