もはやタイトルと内容が一致しないがお気になさらぬよう。
筆者は何故か時折チリコンカルネが食べたくなる。その存在を初めて知ったのは「刑事コロンボ」でコロンボが街のダイナーで食べるのを観た時のことだ。もっともそれは筆者が小学生の頃のことで、実家の周辺にメキシコ料理店などあろうはずも無かったので、実際に初めて食べてみたのはそれから10年以上過ぎた後のことだった。
南の島の空港で時間が空いてしまい、ハンバーガー店で時間を潰した。一番安かったのがポテトフライにチリソースと溶ろけたチーズソースをかけたものだったのでそれを食べた。あっと言う間に食べてしまい、俄然チリコンカルネが食べたくなり帰着した羽田空港から自宅近くの業務スーパーへ直行し豆の缶詰を買った。
気になって「刑事コロンボ」を見始めた。もちろん筆者は大ファンで全話BDでコンプリートしている。コロンボがチリコンカルネを食べているのはシリーズ化される前のパイロット版だ。街のダイナーでチリコンカルネを頼むと決めているのにメニューをしげしげと眺めた挙句チリを頼む。「他の字は読めないのかね?」店員と軽妙な会話が交わされる。
超人気シリーズとなり制作期間は長大なものとなったが、70年代の初期シリーズが絶品だ。テレビシリーズとは思えない程、当時の名優がずらりと出演している。当然吹替も70年代に行われた。台詞のイントネーションがザ・昭和なもので、感慨深い。特に女性の口調はまるで小津安二郎を観ているようだ。筆者のミステリー好きに多大なる影響を与えた作品で、今もなおその輝きを失わない。