【作品#0977】ミニミニ大作戦(2003) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

ミニミニ大作戦(原題:The Italian Job)

 

【概要】

 

2003年のアメリカ/イタリア/イギリス/ドイツ合作映画

上映時間は111分

 

【あらすじ】

 

チャーリー率いる盗みのチームはベニスで3,500万ドルの金の延べ棒を盗み出すことに成功する。ところが、スティーブが裏切りジョンは殺されてしまった。スティーブには死んだと思われていたチャーリーらは1年後、解錠士でジョンの娘でもあるステラにスティーブからお金を取り戻す話を持ち掛ける。

 

【スタッフ】

 

監督はF・ゲイリー・グレイ

音楽はジョン・パウエル

撮影はウォーリー・フィスター

 

【キャスト】

 

マーク・ウォールバーグ(チャーリー)

シャーリーズ・セロン(ステラ)

エドワード・ノートン(スティーブ)

ジェイソン・ステイサム(ハンサム・ロブ)

モス・デフ(レフト・イヤー)

セス・グリーン(ライル)

ドナルド・サザーランド(ジョン)

 

【感想】

 

マイケル・ケインが主演したイギリス映画「ミニミニ大作戦(1969)」のハリウッドリメイク。エドワード・ノートンは本作がパラマウントとの契約で出演しなければならない映画だったことを認めている。

 

娯楽作としてはボチボチの映画なんだろうが、やはり物足りなさは各所で感じる映画。物語に必然性を感じない箇所が多すぎる。

 

まず、冒頭の盗みの場面。ハンサム・ロブの操縦するモーターボートに金庫を載せたと思わせて、川底に沈む金庫を解錠して金の延べ棒を盗み出す作戦。解錠するチャーリーらの上には警察のモーターボートがやってきている。なのに、彼らは金の延べ棒を金庫から1本ずつのんびり移動させている。ここはスピード感が大事。せっかくモーターボートでスピード感が出ているのに、肝心の金庫から金の延べ棒を出す作業がのんびりしていれば余計に遅く感じてしまう。

 

そして、盗みを終えるとチームのメンバーはなぜか雪山で祝杯をあげている。祝杯も早々に切り上げて雪山を下っていると正面からやってきた車に進路をふさがれ、車内ではスティーブが運転手のハンサム・ロブに銃を向ける。盗んだ金の延べ棒はすべて運び出され、車外に出ようとしたジョンはスティーブに撃たれてしまう。機転を利かせたハンサム・ロブが車を氷がたくさんあるダムに落下させる。盗みの仕事で使った酸素ボンベを使って何とかジョン以外のメンバーは生き延びる。氷の張ったような水中では数分ももたないはずだが、彼らはちょっと水に濡れた程度である。わざわざ雪山に来たことに不自然さしか感じない。しかも、ここで皆殺しにするのではれば真っ先に運転手を殺すか、エンジンを切らせるべきだわ。

 

舞台は1年後。チャーリーはスティーブを発見し、解錠士として働くステラに声をかけ、父の敵討ちを持ち掛ける。最初は断るステラだが、その誘いにあっさり乗ってしまう。解錠士の仕事をしているなんて都合のいい話だし、後にも記すが彼女が解錠士であることが役立つ場面はたったの一箇所である。

 

そこからは各分野のエキスパートらと共に作戦を練っていく。メカに詳しいライルがハッキングして信号をいとも簡単に操作できてしまうというのはずるいわ。こんなことできたら何でもありになってしまう。せめてこのハッキングに至る苦労は描くべきだわ。

 

そして、ステラは修理工のふりをしてスティーブの家に入って下見をすることになる。後述するが結果的にこの場面は不要だったことになる。そして、ステラを気に入ったスティーブは食事に誘い約束することになる。その直前にスティーブの家から盗み出す計画だったがスティーブの隣人がパーティをすることになり、目撃される可能性を考え計画は中止になる(随分と詰めの甘い計画だこと)。

 

予定通りにステラはスティーブと食事をすることになり、つい父親の口癖を口走ったことでスティーブに正体がバレてしまう。すると、そこへチャーリーらメンバーがスティーブの前に現れて宣戦布告して、チャーリーはスティーブを殴ってしまう。馬鹿にも程があるでしょ。チャーリーらがあの場にいる必要もないし、ここで殴ってしまうというのも違うだろうに。

 

チャーリーが宣戦布告したことでスティーブは装甲車を三台用意し、金庫は入れ替え、自らはヘリで装甲車の様子を見守ることにする。こういった予想外の出来事にもチャーリーらが何とか乗り越えていくという展開になるのだが、こうなるのなら今までの準備とかあんまり必要なかったんじゃないのかという話になってしまう。どうせスティーブにバレるという展開ならもっと早い方が良いわ。

 

装甲車の車高から金庫が乗っている車を特定したチャーリーらは信号を操作しとある場所に車を止めさせることに成功する。すると、冒頭の作戦でもやったように爆破によって装甲車を丸ごと地下に落とすという作戦だ。なるほどと思わせる作戦だが、そこまで車を誘導するのはいくら何でも無茶な話でしょ。

 

そこでいざ装甲車の金庫を見ると、想定していた金庫ではなく、スティーブが金庫を入れ替えたことが判明する。チャーリーはスティーブに宣戦布告していたわけだから金庫が入れ替えられているなんて想定の範囲内のはずなのに、まるでその用意がなされていない。金庫内のガラスが割れたら絶対に開かない金庫だと分かっているのに電動ドリルを盛大に突っ込むステラ。ガラスにひびが入ったので電動ドリルをやめて、父親のジョンと同じく手動で開けることに。というか、装甲車を丸ごと地下に落とした衝撃でガラスが割れてるんじゃないの⁉

 

ステラは手動で途中までやって「スコープがないとできない」と言うと、チャーリーが手を握って「君ならできる」と励ます。すると、ステラは金庫を解錠することに成功する。別に金庫を解錠する手順をすべて見せろなんて思わないが、こんなシークエンスになるなら想定通りの金庫を手順通りに解錠するで良くないか。

 

ようやく金庫を開錠したチャーリーらはミニ・クーパーに金を移して逃げることにする。邦題にもなっているミニはここでようやく登場する。というかここだけなんだが。そして、追いかけてきたスティーブがチャーリーに銃を向けると、映画内で定期的に描かれたギャングが登場してスティーブを捕まえ映画は終わる。

 

このギャングに関する物語があまりにも不自然で映画内で完全に浮いていた。しかも、チャーリーはそのギャングの一味を殺したと疑われる描写があるのに、友人に依頼してからその件は映画内に登場しない。こんな中途半端な登場のさせ方をするくらいなら、自分たちの手で解決させる方法を考えるべきだわ。しかも、スティーブがギャングの一味を殺さなければ成立しないし、そもそもスティーブがあの一件から一年後にお金を移動させるというのもよく分からんし。

 

エンドクレジットの流れる横の小さい画面にメンバーたちのその後が描かれる。車を買ったり豪遊したり…そして、チャーリーはステラと結ばれましたって。そんな感じを予感させる描写こそあったものの、別になくてもいい展開だわ。

 

上述のように不自然な描写があったり、登場人物の行動に納得感がなかったりでどうも雑な映画と言う印象。

 

【関連作品】

 

「ミニミニ大作戦(1969)」…オリジナル

「ミニミニ大作戦(2003)」…リメイク

 

「アルフィー(1966)」…スティーブがテレビをつけると流れている映画で、「ミニミニ大作戦(1969)」でも主演したマイケル・ケインの主演映画。

 

 

 

取り上げた作品の一覧はこちら

 

 

 

【配信関連】

 

<Amazon Prime Video>

 

言語

├オリジナル(英語/ロシア語/イタリア語)

 

【ソフト関連】

 

<BD>

 

言語

├オリジナル(英語/ロシア語/イタリア語)

├日本語吹き替え

映像特典

├メイキング

├未公開シーン集

├予告編