【作品#0919】リーサル・ウェポン3(1992) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

リーサル・ウェポン3(原題:Lethal Weapon 3)

 

【概要】

 

1992年のアメリカ映画

上映時間は118分

※ディレクターズ・カット版は122分

 

【あらすじ】

 

リグスとマータフはビリーという強盗を逮捕するが、取調室で何者かによって殺されてしまった。またある日、麻薬取引の現場を目撃したマータフは犯人を射殺するが、その犯人が息子の友人であることが判明する。そしてその二つの事件を調べるうちにある人物が浮上する。

 

【スタッフ】

 

監督はリチャード・ドナー

音楽はマイケル・ケイメン/エリック・クラプトン/エルトン・ジョン

撮影はヤン・デ・ボン

 

【キャスト】

 

メル・ギブソン(リグス)

ダニー・グローヴァー(マータフ)

ジョー・ペシ(レオ・ゲッツ)

レネ・ルッソ(ローナ)

スチュアート・ウィルソン(ジャック・トラヴィス)

 

【感想】

 

人気シリーズの3作目となる本作は、全世界で3億2千万ドルと前作の売り上げを1億ドルほど上回る好成績を残した。

 

本作にジョー・ペシ演じるレオ・ゲッツは必要だろうか。取って付けたような出演だと思っていたら、調べるところによると当初の脚本では出演予定がなく後から付け加えられたそう。いかにも重要そうな役割を与えられていそうで別にいなくても成立する。中盤は本当に居場所がなかったのか、リグスによって2日間入院させられるという設定になり、終盤近くまで画面内に登場することはない。ジョー・ペシがレオ・ゲッツを再演することが決まって脚本が一部書き直しになったことだろうと思うが、前作に引き続いて脚本家は頭を悩まされたようだ。

 

また、基本はシリーズ2作目となる前作と同じ路線を辿っている。1作目で妻を亡くした孤独なリグスを包み込むようなマータフとその家族という存在がせっかく機能していたのに、前作はリグスとマータフをしばらく離れ離れにし、マータフの家族は序盤以降登場することはないという悪手を打ってしまった。そういうマイナーチェンジをしてヒットしたのだから仕方ないが、本作もこの辺りは前作とほとんど同じである。リグスとマータフが前作ほど離れ離れにならないのは良いとして、マータフの家族にはほとんど出番が用意されていない。

 

しかも、本作はマータフが自分の息子ニックの友達ダリルを撃ち殺すという設定まで用意しているのに、本作はマータフの家族にはまるで興味がないかのようにほとんど出番はない。せいぜいマータフがニックにカミソリの使い方を教える場面くらいであり、ニックが友人のダリルを父親に撃ち殺されたことで怒ったり悲しんだりすることもない。

 

ニックの友人ダリルがギャングになり麻薬取引で銃撃戦を起こし自動小銃をぶっ放しているところをマータフに撃ち殺されたのだ。これは自分の家族にも命の危険が迫っていることを示す場面としてこのような設定となったのだと思うが、だとしたらマータフの家族にフィーチャーしていかないのは納得しがたい。レオ・ゲッツの登場なんて見送ってこの家族の場面をしっかり描くべきじゃないのか。

 

そんな本作の一押しポイントはレネ・ルッソの登場だろう。彼女が演じたのは内務調査部のローナ・コールである。割とリグスに似たようなタイプで格闘技の達人という設定である。レネ・ルッソ頼みとも言えるキャラクターだが、彼女が演じているおかげでこのキャラクターには説得力があるし、複数の男たち相手にローナが次々にやっつけていくところをリグスが見守るように観客も安心して見ていられるキャラクターである。

 

かの有名な「ジョーズ(1977)」オマージュの傷の見せ合いっこをしたリグスとローナはキスをして体の関係を結んでしまう。呆れて笑ってしまうほどバカバカしいシーンだが、メル・ギブソンもレネ・ルッソもちゃんと演じているからこそ成立しているシーンである。ただ、彼らが体の関係までいくのはちょっと早すぎる気もする。なんて言ってもリグスは妻を亡くし、前作は愛した女性を殺されたのだから。愛した女性がまた死んでしまうのではないかなんてまるで考えておらず前2作品で何を描いてきたのか。一度は本気で自殺を考えた狂ったリグスなんてもういない。目の前の相手に何の曇りもない気持ちで楽しんでいる。これはさすがに違うんじゃないの。

 

というか、このローナというキャラクターこそかつてのリグスのようなもっと狂った感じにしておけば、彼女と一緒にいることでリグスが導く立場として成長するというドラマに仕上げられたようにも思う。

 

本作はレネ・ルッソの魅力にかなり助けられているが、シリーズ3作目にしてシリーズ始まりの頃の気持ちを完全に忘れたお気楽な作品になってしまっている。息子の友達を撃ち殺したマータフにこそリグスやマータフの家族が寄り添うべきなのに、そういった描写はほとんど見られず残念である。映画的にはマータフの家族を「捨てた」時点でこのシリーズ自体が終わってしまったのかもしれない。シリアスなドラマとコメディは決して共存できないとは思わないが、本作は前作に引き続いて中途半端と言わざるを得ない。

 

というか、タイトルが出るときに炎の演出がなされているが、本作こそ邦題の副題に「炎の~」を付けるべきだったんじゃないの。

 

 

 

【関連作品】

 

リーサル・ウェポン(1987)」…シリーズ1作目

リーサル・ウェポン2/炎の約束(1989)」…シリーズ2作目

「リーサル・ウェポン3(1992)」…シリーズ3作目

リーサル・ウェポン4(1998)」…シリーズ4作目

 

 

 

取り上げた作品の一覧はこちら

 

 

 

 

【配信関連】

 

<Amazon Prime Video>

 

言語

├オリジナル(英語)

 

【ソフト関連】

 

<BD>

 

言語

├オリジナル(英語)

├日本語吹き替え

映像特典

├未公開シーン集

├ミュージッククリップ

├予告編/特報

 

<BD(5枚組)>

 

【リーサル・ウェポン】

 

言語

├オリジナル(英語)

├日本語吹き替え(テレビ朝日)

音声特典

├リチャード・ドナー(監督)による音声解説

映像特典

├未公開シーン集

├ミュージック・クリップ

├予告編

 

【リーサル・ウェポン2/炎の約束】

 

言語

├オリジナル(英語)

├日本語吹き替え

音声特典

├リチャード・ドナー(監督)による音声解説

映像特典

├未公開シーン集

├撮影風景

├予告編

 

【リーサル・ウェポン3】

 

言語

├オリジナル(英語)

├日本語吹き替え

音声特典

├リチャード・ドナー(監督)による音声解説

映像特典

├未公開シーン集

├ミュージック・クリップ

├予告編

 

【リーサル・ウェポン4】

 

言語

├オリジナル(英語)

├日本語吹き替え

音声特典

├リチャード・ドナー(監督)による音声解説

映像特典

├ドキュメンタリー

├予告編

 

【特典ディスク】

 

収録内容

├伝説の名作誕生秘話

├「リーサル・ウェポン」がもたらしたもの

├世界中で愛される「リーサル・ウェポン」

├「リーサル・ウェポン」の影響力