【作品#0865】サイクロンZ(1988) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

サイクロンZ(原題:飛龍猛将/英題:Dragons Forever)

【概要】

1988年の香港映画
上映時間は94分
※日本公開版は97分

【あらすじ】

水質汚染によって養魚場から訴えを起こされた工場の弁護を担っていた弁護士のジャッキーは、友人のウォンに養魚場の女社長のイップを説得するように依頼する。ところが、ウォンはイップに、ジャッキーはイップのいとこのメイリンにそれぞれ惚れてしまう。

【スタッフ】

監督はサモ・ハン・キンポー
音楽はジェームズ・ウォン
撮影はリョウ・ジイメン/チョウ・イウゾウ

【キャスト】

ジャッキー・チェン(ジャッキー)
サモ・ハン・キンポー(ウォン)
ユン・ピョウ(トン)
ユン・ワー(ファー)

【感想】

ジャッキー・チェン、サモ・ハン・キンポー、ユン・ピョウのトリオが揃って出演した最後の作品である。

「プロジェクトA(1983)」みたいに、クライマックスでラスボスをジャッキー・チェン、サモ・ハン・キンポー、ユン・ピョウの3人でやっつけるみたいなことはないのだが、クライマックスに一番の盛り上がりを用意しているところはさすがだし、3人にしっかり見せ場があるのも良い。また、ヒロインを演じたポーリー・ヤンにもアクションの見せ場が用意されており、これまたすべてではないがちゃんと彼女が演じているとわかるように撮られているのも好印象。これは「ポリス・ストーリー/香港国際警察(1985)」の女優陣にも通ずるところである。ちなみに、クライマックスのアクションシーンではガラス・ストーリーとも呼ばれた「ポリス・ストーリー/香港国際警察(1985)」でのガラスを使ったアクションを彷彿とさせるくらいに、スタントマンがガラスに突っ込みまくっている。

何といってもベニー・ユキーデ。「スパルタンX(1984)」でもジャッキー・チェンと激闘を繰り広げたアメリカの元キックボクサー。今回はアイラインを引いている不気味な存在。香港の工場にたった一人だけいるアメリカ人という違和感はさておき、ちゃんと強い者同士が戦っているという臨場感を感じさせてくれる。見ているだけで痛みが伝わってくるし、この駆けるようなスピード感は爽快である。ちなみに、ジャッキーによるラストの回し蹴りはスタントを使用している(ジャッキー映画お馴染みのスローリプレイもあるのでわかると思うが)。

また、中盤の見せ場はジャッキー・チェン、サモ・ハン・キンポー、ユン・ピョウによる仲間割れアクションシーンである。本来このような仲間割れは退屈になりがちだが、さすがはアクションのできる3人。しっかり見せ場として機能しているし、それぞれのアクションの強みも表現できていたように思う。

では物語はといういとやや平凡かな。クライマックスでは何とかして敵をやっつけなければならない状況になる。できればドラマ面でもそのボルテージを上げていってほしいところだが、メインストーリーとそこまで連動していない。仲間割れした3人も仲直りしたようにも、あるいはクライマックスのアクションにかけて仲を取り戻していく感じでもない。ジャッキーとウォンがそれぞれ裏切ってしまった女性たちの信頼を取り戻すドラマもいまいちかな。スパイ映画とかでよく見かける設定だが、特に明確な利害関係者であるジャッキーとメイリンの関係はいまいち。特にメイリン側がジャッキーに惚れる要素がないんだよな。監督のサモ・ハン・キンポー演じるウォンと養魚場の女社長イップの方がよっぽど良かったと思うわ。

結局、汚水を排出していた工場の側の弁護士だったジャッキーが裏切る形になるのだが、そちらもあくまで養魚場の女社長イップのいとこのメイリンに惚れたからであり、正義に目覚めたからではない。裁判中にメイリンの信頼を取り戻したジャッキーが工場に駆けつける流れも強引というほかない。

こういうメインストーリーとアクションがあまり連動していないとなると、アクションシーンだけ見ていれば良い映画という位置づけになりかねない。アクションシーン以外が退屈というわけでもないが、もう少し脚本面で頑張ってほしかったという思いもある。とはいえ
クライマックスのアクションシーンは彼らの映画の中でも屈指。



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