【作品#0862】ドラキュラ(1992) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

ドラキュラ(原題:Bram Stoker's Dracula)

【概要】

1992年のアメリカ/イギリス合作映画
上映時間は128分

【あらすじ】

1897年のロンドン。弁護士のジョナサン・ハーカーはルーマニアのドラキュラ伯爵から仕事の依頼を受けて城に向かうが…。

【スタッフ】

監督はフランシス・フォード・コッポラ
音楽はヴォイチェフ・キラール
撮影はミヒャエル・バルハウス

【キャスト】

ゲイリー・オールドマン(ドラキュラ)
ウィノナ・ライダー(ミナ/エリザベータ)
アンソニー・ホプキンス(ヴァン・ヘルシング/司祭)
キアヌ・リーヴス(ジョナサン・ハーカー)

【感想】

ブラム・ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」の映画化。アカデミー賞では衣装デザイン賞、メイクアップ賞、音響効果編集賞の3部門を受賞した。ちなみに、ウィノナ・ライダーはフランシス・フォード・コッポラ監督の「ゴッドファーザーPART3(1990)」を土壇場で降板しており、本作はウィノナ・ライダーが持ち込んだ企画である。

「ドラキュラ」関連の映画はA級からZ級まで様々あるが、その中でもメジャーな一本。この手の題材はプレーンもありだが、作家好みの癖があった方が良いと思うので、フランシス・フォード・コッポラ監督が好きに撮ったんだなというのが伝わってくる。

ただ、複数回鑑賞しているが、どうも焦点が定まらないボヤっとした映画という印象を受けた。ゴシックテイストのロマンス映画ということなんだろうが、物語自体が散漫な印象を受けた。ある程度の分かりやすい骨格のある序盤は除けば、中盤以降はずっと散漫というか冗漫というか。

アカデミー賞を受賞した衣装デザインやメイクアップはさすがに印象に残る。血の色である赤はあらゆる場面で存在感を放っていた。ただ、繰り返しになるが映画自体の散漫さ冗漫さに映画自体のルックも間延び感を帯びてくる。人によっては映画独特の流れる時間と感じるのだろうが、私にとっては上映時間が経てば経つほど長くて退屈という印象に繋がってしまった。

演者ではキアヌ・リーヴスがとにかく批判に晒されたようだ。ただ、本作のゲイリー・オールドマンの怪人ぶりや彼の花嫁の癖を考えると、ストーリー進行を担うジョナサンこそ癖のないキアヌ・リーヴスが合っていたのだと思う。ただ、そんな彼も序盤以降は終盤近くまですっかり姿を消すことになってしまう。

もちろん万人受けを考えて作られた作品ではないので合わなかったと言えばそれまでだが、コッポラ監督は評価に困るなぁ。しかも、後述するが音声解説の方がよっぽど面白い…。

【音声解説】

参加者
├フランシス・フォード・コッポラ(監督)

監督のフランシス・フォード・コッポラによる単独の音声解説。

「ゴッドファーザーPART3(1990)」を体調不良で降板したウィノナ・ライダーがフランシス・フォード・コッポラ監督に企画を持ち込んだ話、キャストに3日かけて原作全編を読み合わせた話、原作の非現実的世界観を映像で表現しようとした話、過去のドラキュラ映画との決別、「フランケンシュタイン(1994)」の監督をケネス・ブラナーに託して製作総指揮としてある提案をした話、ゲイリー・オールドマンと意見が合わずに衝突した話、CGに頼らずに過去の技術で実現した視覚効果、他の映画や本作に出演していない俳優(ジャック・ニコルソンやトム・クルーズ)の話などしてくれる。

やはり映画の音声解説の語り手としてフランシス・フォード・コッポラはやはり凄い。聞き手が知りたい話をしてくれるし、映画人としての拘りが言語化されていて聞き応えがある。仮に本作がそれほど好きでなくても音声解説は聞いても良いのではないかと思うレベル。

【関連作品】


「吸血鬼ノスフェラトゥ(1922)」…ブラム・ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」のドイツでの映画化。
「魔人ドラキュラ(1931)」…ブラム・ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」のハリウッドでの映画化。ベラ・ルゴシ主演。
「吸血鬼ドラキュラ(1958)」…ブラム・ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」のイギリスでの映画化。
「ドラキュラ(1979)」…ブラム・ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」を元にした舞台の映画化。舞台にも出演していたフランク・ランジェラがドラキュラ役を演じた。
「ノスフェラトゥ(1974)」…「吸血鬼ノスフェラトゥ(1922)」のリメイク。ヴェルナー・ヘルツォーク監督。
「ドラキュラ(1992)」…ブラム・ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」のハリウッドでの2度目の映画化。ゲイリー・オールドマン主演。
「ダリオ・アルジェントのドラキュラ(2012)」…ブラム・ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」のイタリアでの映画化。
「ドラキュラ/デメテル号最期の航海(2023)」…ブラム・ストーカーの「吸血鬼ドラキュラ」の第7章「デメテル号最長の航海日誌」の映画化。



取り上げた作品の一覧はこちら



【配信関連】

<Amazon Prime Video>

言語
├オリジナル(英語/ルーマニア語/ギリシャ語/ブルガリア語/ラテン語)


【ソフト関連】

<BD>

言語
├オリジナル(英語/ルーマニア語/ギリシャ語/ブルガリア語/ラテン語)
├日本語吹き替え
音声特典
├フランシス・フォード・コッポラ(監督)による音声解説
├フランシス・フォード・コッポラ(監督)、ロマン・コッポラ(第二班監督)、グレッグ・キャノン(特殊メイク)による音声解説
映像特典
├メイキング・ドキュメンタリー
(6種)
├未公開シーン(12種)
├予告編

 

<4K Ultra HD+BD>

収録内容
├上記BDと同様