【作品#0808】おつむて・ん・て・んクリニック(1991) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

おつむて・ん・て・んクリニック(原題:What About Bob?)

【概要】

1991年のアメリカ映画
上映時間は99分

【あらすじ】

精神科医をたらい回しにされていた極度の恐怖症患者ボブは、新たな主治医レオ・マーヴィンを訪ねて受診する。レオは診察が終わると休暇に出かけるが、ボブは不安になり何とかしてレオの休暇場所を突き止めようとする。

【スタッフ】

監督はフランク・オズ
音楽はマイルズ・グッドマン
撮影はミヒャエル・バルハウス

【キャスト】

ビル・マーレー(ボブ・ワイリー)
リチャード・ドレイファス(レオ・マーヴィン)

【感想】

撮影中は決して仲が良くなかったそうだが、ビル・マーレーとリチャード・ドレイファスの見事な絡みによって本作は見事なブラックコメディに仕上がっている。まともな人物が信じてもらえず頭のおかしな人間が周囲に受け入れられるという作品はジャンルこそ違えど多く存在する(ホラーやサスペンスに多い印象)。その中でも本作はキャストの魅力で1本のコメディとして十分な作品だと感じる。

偉そうな精神科医レオ・マーヴィンが精神病患者ボブ・ワイリーにどんどん追いつめられていき、最終的に立場がそっくり逆転してしまう。

マーヴィン一家がボブを受け入れる過程やレオを嫌うコーヒーショップの老夫婦がいる設定はややご都合主義的にも映る。また、これほどレオが嫌な人間なら家族や他の登場人物(クリニックの秘書など)からももう少し嫌われていても良さそうな気もする。最終的に別荘が木端微塵に破壊されてしまうと、レオに対しては「ざまあみろ」と思うが、彼の家族が可哀そうに思えてしまうところはあるので痛快とまでいかない。

レオが別荘でテレビ取材を受けることは映画内で何度も言及され、それに向けて準備する場面もたくさんあった。なので、このテレビ取材がぶち壊されるところに観客の期待も高まるところだが、やや拍子抜けだった。ただ、オチはここではないのでしょうがないか。

追いつめられたレオはついにボブを自殺を装って殺そうと考えダイナマイトを仕掛ける。何とか拘束を解いたボブはレオの家に戻ってくる。ダイナマイトが本物だと知らないボブはダイナマイトをレオの家に置いたままにし、家の外でレオがボブが生きていることに驚いているとレオの別荘は大爆発する。人から奪った土地に建てたレオの別荘が木端微塵に破壊される。土地を奪われたコーヒーショップの老夫婦が湖に浮かぶボートからその様子を眺めているショットも良い(こんな夜にボートに乗っているとは)。

最終的にレオは精神を患ってしまい精神病院送りになってしまう。そして、オチはボブとレオの妹リリーの結婚式である。1シーンしか登場しなかったリリーとボブがいきなり結ばれるという突飛なオチには笑わせられる。彼らの結婚に異議を唱えるためにレオが発した「No」を聞いた周囲がレオが話すことが出来て歓喜するところもブラックだ。

精神科医がたら回しにするほど面倒な患者であるボブがレオの知り合いのいる精神病院に入っても問題なくレオが引き取らざるを得なくなる流れももう少し工夫がほしい。なぜ前任の精神科医は匙を投げたのにレオの知り合いのいる精神病院は何の問題もなかったのか。ここもボブのさりげない行動や一言が相手にとって偶然にも善意であるなどの流れがあると良かった。

にしても自由でやりたい放題のビル・マーレーと、真面目に向き合えば向き合うほど精神をきたしてしまう精神科医リチャード・ドレイファスの両者が見事であった。なにげにビル・マーレーよりもリチャード・ドレイファスが小柄なのも構図的に面白い。インパクトある邦題であることは間違いないが、にしてもこの邦題はどうにかならなかったものか。



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