【作品#0731】アサシン(1993) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

アサシン(原題:The Assassin/米題:Point of No Return)

【概要】

1993年のアメリカ映画
上映時間は109分

【あらすじ】

薬中のマギーは警官を殺してしまい死刑判決を受けるが、政府機関から来た男から死刑を受け入れるか、秘密工作員として生きるかの二択を迫られる。

【スタッフ】

監督はジョン・バダム
音楽はハンス・ジマー
撮影はマイケル・ワトキンス

【キャスト】

ブリジット・フォンダ(マギー)
ガブリエル・バーン(ボブ)
ダーモット・マローニー(J・P)
アン・バンクロフト(アマンダ)
ハーヴェイ・カイテル(ビクター)

【感想】

アメリカでは「Point of No Return」というタイトルで公開されたが振るわず、以降に公開された他の地域では「The Assassin」というタイトルが用いられた。ちなみに、日本では「アサシン」というカタカナ表記がタイトルとなったが、なぜかソフト発売時には「アサシン/暗・殺・者」という一見するとコメディに取られかねない副題が付けられている。これに関してはマジで理解に苦しむ。

「ニキータ(1990)」の監督リュック・ベッソンはハリウッドリメイクの監督のオファーを受けたが断っている。また、主人公はジョディ・フォスターとウィノナ・ライダーが断った後にブリジット・フォンダが演じることになった。もしウィノナ・ライダーとガブリエル・バーンが本作で共演していたら本作の翌年の「若草物語(1993)」のキャスティングに影響が出たかもしれない。

キャスティングについては、主演したブリジット・フォンダは悪くはないが、オリジナルのアンヌ・パリローほどではないというのが正直なところだ。明らかにきれいでスタイルの良い女優を用意してきた感が出てしまっている。

それから、ガブリエル・バーンについてはオリジナルのチェッキー・カリョと甲乙つけがたい良さがある。特に当時のガブリエル・バーンは弱さと優しさを含んだ目をしながらも大人の色気がある。この役にはもってこいの役者であると感じる。

本作は割りとオリジナルに忠実なリメイクである。改変箇所は探せばキリはないのだが、大枠はほとんど同じである。特に序盤から中盤にかけての展開はほとんど改変を加えていないので、オリジナル通り筋をなぞりましたと言わんばかりの事務的な展開に見えてしまう。薬中の人間を暗殺者に仕立て上げるにしては軽々しい(オリジナルもそこまで丁寧に描いている訳ではないが、この描写についてはオリジナルに軍配)。リュック・ベッソンがアンヌ・パリローを徹底的に追い込んだのが伝わってきたオリジナルと比べると、本作には「そこまでした」感じはない。

その違いが明らかになってくるのは中盤以降である。ホテルでウェイターになりすましてルームサービスの品を客室まで届けるのはほとんど一緒なのだが、ホテルを出た主人公が車に乗り込もうとすると、ホテルの上層階で爆破が発生し、自分が届けた品が爆破したのだと分かる。主人公の表情を見るに、自分の行いでとんでもないことになってしまったという風に感じていたのだろう。オリジナルは客室に届けて仕事が終わり、こんな簡単な仕事でお金までもらえてラッキーという描写であった。

以降は、よくあるハリウッドのアクション映画のごとく展開していき、オリジナルの良さもリメイクだからこその良さも見られなくなっていく。オリジナルは主人公を愛した二人の男が対話しているとプツッと切れるように終わるラストだった。本作では一応その後も描いているのだが、「だから何だ」と言わんばかりの蛇足にしか見えない。

オリジナルはエリック・セラ節全開の音楽だったが、リメイクである本作は90年代のハリウッド映画節全開の音楽である。これも本作を90年代のハリウッドのアクション映画たらしめているところだろう。オリジナルとリメイクがある以上、どちらが好きかは好みの問題だが、少なくともオリジナルにあった製作過程と監督と主演女優の関係性から生じる「演じる」という意味合いは全くなくなっている。

 

【関連作品】

ニキータ(1990)」…オリジナル
「アサシン(1993)」…リメイク



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【配信関連】

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言語

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映像特典

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