【作品#0551】グレイマン(2022) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

グレイマン(原題:The Gray Man)


【概要】

2022年のアメリカ/チェコ合作映画
上映時間は122分

【あらすじ】

服役中のコート・ジェントリーはCIAフィッツロイにリクルートされて、秘密暗殺者のシエラ・シックスとして生きていくことになった。その18年後、シエラ・シックスはバンコクで暗殺する標的となった男から自分がシエラ・フォーであると教えられ、CIAの裏切り行為の入ったチップを渡され、彼はCIAから追われる身となってしまう。

【スタッフ】

監督/製作はアンソニー・ルッソ/ジョー・ルッソ
音楽はヘンリー・ジャックマン
撮影はスティーヴン・F・ウィンドン

【キャスト】

ライアン・ゴズリング(シエラ・シックス)
クリス・エヴァンス(ロイド・ハンセン)
アナ・デ・アルマス(ダニ・ミランダ)
レゲ=ジャン・ペイジ(デニー・カーマイケル)
ビリー・ボブ・ソーントン(ドナルド・フィッツロイ)
アルフレ・ウッダード(マーガレット・ケイヒル)

【感想】

マーク・グリーニーが2009年から執筆している「暗殺者グレイマン」の映画化。製作費は2億ドルになり、Netflix史上でも最も高額となった。ライアン・ゴズリングとアナ・デ・アルマスは「ブレードランナー2049(2017)」以来、クリス・エヴァンスとアナ・デ・アルマスは「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密(2019)」以来の共演となった。

本作を見て思うのはマイケル・ベイっぽさである。製作費2億ドルは伊達ではなく、とにかくド派手なアクションで展開していく。特に中盤のプラハで繰り広げられる一連のアクションは圧巻である。銃撃、爆破のみにとどまらず、路面電車にスポーツカーまで登場させ、最後にはそれらをもろとも吹き飛ばす。ド派手なアクションがひと段落すると静まり返り、シックスがミランダに一言感謝を告げるところももはや芸術的である。また、「グレイマン」と言われることになる男が登場して「グレイ」のクレジットが出た後、18年後に舞台を移すと色とりどりの花火が撃ちあがっている様子も美しかった。

それから、「007」や「ミッション:インポッシブル」、または「ボーン」シリーズなどを連想させる王道のアクション映画とも言える。世界各地を巡り、殺し屋から命を狙われ、大切な子供(主人公の子供ではないが)を守るために体を張る。

物語自体に意外性はないのだが、「そこはそうするか」といった悪い意味での意外性もある。たとえば、ロイドが呼び寄せた暗殺者はミランダとの戦いの最中、急に戦意を失いチップを返却してくれる。ここは普通に戦いで決着させても良かったと思う。また、ラストでは宿敵ロイドとの戦いを終わらせるのは彼の暴走を止められなかったCIAのスーザンである。さらに、事の発端であるカーマイケルはキャリアに大きな影を落とすことにはなっても生き続けている。結局、グレイマンは顔と名前の一致する敵キャラは冒頭のエージェントを除けば誰一人として殺していないのだ。別に殺せとまでは言わないが、大切な子供と一緒になったところで、なんかモヤモヤした終わり方である。

また、疑問点や矛盾点も多数ある。ミランダがロイドに麻酔銃を撃った後になぜロイドを始末しなかったのか。ケイヒルを助けようと建物に戻ろうとして爆破に巻き込まれたシックスはなぜ警察に問答無用逮捕までされてしまいそうになったのか。その後、警察に捕まったシックスはなぜ広場で拘束されたのか。ロイドが病院に送り込んだ暗殺者はなぜ銃ではなくナイフで勝負を仕掛けてくるのか。他にも疑問点は多数あると思うが、割とシリアスな作風ならこういった疑問点があまり出ない工夫はしてほしかったところだ。

ライアン・ゴズリングはよく演じる役柄だし、クリス・エヴァンスは「キャプテン・アメリカ」卒業後に悪役を楽しんでいる。アナ・デ・アルマスは結局、男性キャラクターに振り回される女性キャラクターという俗っぽい役柄で、あまりおいしくはない。しかも、ハラスメントに関するセリフなどがどうも「時代に合わせて付け加えました」感が強い。また、この手の映画にしては少女があまり印象に残らなかった。あまり湿っぽくし過ぎないようにしたのか、「あの子の命は守らなければ」と思わせる要素がやや乏しかったように思う。

結構否定的な感想を記載したが、上映時間もコンパクトだし、アクション映画としては十分すぎる出来。ただ、Netflix史上最大となる2億ドルの予算と言われると、「その割にはなぁ」という印象は残るだろう。また、Netflix映画全体に言えることだが、特にこの手のアクション作品を大手の劇場でほとんど公開しなかったというのは罪深い。

 

 

 

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