【タイトル】
パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち(原題:Pirates of the Caribbean: The Curse of the Black Pearl)
【概要】
2003年のアメリカ映画
上映時間は143分
【あらすじ】
18世紀のカリブ海の港町。エリザベスは少女時代に漂流してきた少年ウィル・ターナーが身に着けていた金貨を彼に内緒でこっそり隠し持っていた。そんなある日、ジャック・スパロウを名乗る海賊の男が逮捕されると、その夜には海賊船「ブラックパール号」が現れ、バルボッサ率いる海賊たちはエリザベスを捕まえて逃げてしまう。
【スタッフ】
監督はゴア・ヴァービンスキー
製作はジェリー・ブラッカイマー
音楽はクラウス・バデルト/ハンス・ジマー
撮影はダリウス・ウォルスキー
【キャスト】
ジョニー・デップ(ジャック・スパロウ)
オーランド・ブルーム(ウィル・ターナー)
キーラ・ナイトレイ(エリザベス・スワン)
ジョナサン・プライス(ウェザビー・スワン)
ジェフリー・ラッシュ(ヘクター・バルボッサ)
ゾーイ・サルダナ(アナマリア)
【感想】
ディズニーのテーマパークで展開される「カリブの海賊」をベースにした作品。全世界で6.5億ドルのヒットを飛ばし、アカデミー賞ではジョニー・デップが主演男優賞にノミネートされるなど合計5部門でノミネートされた。
この内容で143分はいくら何でも長すぎる。エンドクレジットが12分ほどあるので、それを差し引いても131分もある(12分のエンドクレジットの後に続きの映像があるというのも不親切だと感じる)。本作の物語は捕まっては逃げてを繰り返すだけであり、これほどまでに引き延ばす理由は見当たらない。
また、いくらディズニーの子供向け映画とはいえ、全く緊張感がなく、「どうせどうにかなる」感が強い。悪役にオスカー俳優ジェフリー・ラッシュを使っていながら、まるで怖さがない。本作はディズニー映画としては初めてPG-13に指定された(といっても保護者の同伴が絶対というほどのきついものではないが)。にもかかわらず、悪役の怖さでPG-13の指定を受けたわけでもない。
そんな中でもアクションシーンが引き締まっていれば緊張感を引き立てることもできるだろうが、どのアクションシーンもダラダラしていて印象に残るものはほとんどない。なんなら序盤のジャック・スパロウとウィルの刀での戦いですら長い。他にも刀を使ったアクションシーンは全編に散りばめられているが、どのシーンも大きな工夫がなく悪い意味で無難な演出である。ラストも、誰もが無意味と感じる不死身の男同士の戦いが始まり、ジェフリー・ラッシュ演じるバルボッサにセルフツッコミさせる始末。この無難な演出が2時間以上も続けば、そりゃ長いと感じるよ。
結局、この物語で何を描きたかったのかはよく見えない。ちょっと暗い過去を持つ主人公がふと人助けをしたことから始まる本作。ジャック・スパロウはアンチヒーローであることは間違いないのだが、ジャック・スパロウを主人公に据えたことで、海軍提督のノリントンはやや悪役のような描かれ方をしていたのも気にかかる。海賊と対照的な堅物として描くのは問題ないと思うが、海賊撲滅を考える海軍提督がジャック・スパロウに対して敵対するのはもはや当然であり、この辺りのバランスもとれていないように感じる。
また、当時18歳ごろのキーラ・ナイトレイの胸をメイクで大きく見せている。このキャラクターは胸が大きくなければならない理由もないのだが、女性は胸が大きくなくてはいけないという考えの押し付けでしかないだろう。やはりディズニーという保守の会社らしく、「女性はこうあるべき」という姿を描いたのだろう。だったら胸の大きな女優を起用すれば良いのに、巨乳でない女優なら巨乳に仕立て上げればいいという考えが恐ろしい。後にキーラ・ナイトレイはこの胸に関することに関しては不快感を表明しており、2003年という時代においても時代遅れだと感じる。
結局、興行成績の面で見れば大ヒットという結果を残し、合計5つの作品が作られる人気シリーズにはなった。上述のように酷評したが、ヒットしたのだから世の中の多くの人には本作の演出などは気に入られたのだろう。自分には合わなかったと考えればそれまでなのだが、説明セリフのような長い言い回しや、冗長なアクションシーンをもっとコンパクトにすれば、まだ見られる作品だったとは感じる。また、続編がもっと酷いことを考えると、本作は相対的にマシとすら思えるレベルであるのも泣けてくる。
【関連作品】
「パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち(2003)」…シリーズ1作目
「パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト(2006)」…シリーズ2作目
「パイレーツ・オブ・カリビアン/ワールド・エンド(2007)」…シリーズ3作目
「パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉(2011)」…シリーズ4作目
「パイレーツ・オブ・カリビアン/最後の海賊(2017)」…シリーズ5作目
取り上げた作品の一覧はこちら
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