【タイトル】
悪魔を見た(原題:악마를 보았다)
【概要】
2010年の韓国映画
上映時間は144分
※インターナショナルバージョンは141分
【あらすじ】
国家情報院捜査官のスヒョンは婚約者のジュヨンを何者かによって惨殺されてしまう。スヒョンは、ジュヨンの父でかつて刑事だったチャンの協力を得て、独自に犯人探しを始める。
【スタッフ】
監督はキム・ジウン
音楽はモグ
撮影はイ・モゲ
【キャスト】
イ・ビョンホン(スヒョン)
チェ・ミンシク(ギョンチョル)
【感想】
イ・ビョンホンとチェ・ミンシクという韓国のスター俳優の共演作品。ヒューストン映画批評家協会賞では外国語映画賞を受賞するなど、国内外で評価を得たバイオレンス映画。
本作はこれでもかとバイオレンス描写があり、目を背けたくなる描写が多数存在する映画である。被害となるのは女性ばかりであるので、特に心臓の悪い方は観ることはお勧めしない。
ただ、本作のバイオレンスな復讐表現とその後味の悪さこそ最大の狙いであろう。恋人ジュヨンを殺されたスヒョンの復讐に対して、ジュヨンの姉妹が「映画とは違うのよ」と言う場面がある。映画内において、「まるで映画の…」みたいなセリフはご法度だとは思うが、敢えてこのセリフを言わせているのだろう。多くの映画で復讐は描かれてきたし、その復讐行為を肯定する作品も否定する作品も多数存在する。ただ、本作における復讐行為は明らかに度を越しており、ここまで来るとスヒョンの行動も異常だと言わざるを得ない。何と言ってもスヒョンの復讐行為を見た犯人のギョンチョルから「サイコ野郎」とまで言われているのだ。
また、何も知らずに本作を見ていると、スヒョンの復讐行為には意外性がある。スヒョンは被害になった婚約者の父からこっそり捜査資料を貰い、4人の容疑者を自ら当たることにする。そうすると、割と早々にギョンチョルの元へ辿り着き、ギョンチョルが犯行現場で落としたジュヨンの指輪を発見する。そこでスヒョンはギョンチョルを殺してしまうのかと思いきや、死なない程度の、でも確実に激痛を感じるダメージを与えて生かすことにする。そして、ギョンチョルの車にGPSを付けたスヒョンは、ギョンチョルが次の犯行をするところへ再び現れ、またもやとんでもないダメージを与える。これをひたすら繰り返していくのだ。制裁を与えたい相手がいたとして、簡単に殺してしまっては意味がないと考える気持ちは多少理解できるが、ここまで来ると異常と言わざるを得ない。
そして、ギョンチョルはとんでもないダメージを与えられても犯行をやめることがなく、こちらも執念深い。ついにギョンチョルは当初狙っていた若い女性だけでなく、タクシーの運転手と乗り合わせた男性客もめった刺しにして殺してしまう。スヒョンの復讐行為がギョンチョルの意地でも犯行をしてやろうと言う気持ちを目覚めさせてしまい、次々に犠牲者は増えていく。
たとえギョンチョルにどれだけのダメージを与えたところで、彼は死に際まで負けを認めるなかったし、精神的に屈することはなかった。スヒョンは肉体的にギョンチョルを痛めつけてもギョンチョルを屈させることはできなかった。ついにスヒョンはギョンチョルの家族がドアを開けるとギョンチョルを殺すことのできる仕掛けを作り間接的に殺すことになる。その場から立ち去るスヒョンは涙を流している。スヒョンが始めた復讐劇。ある意味殺したら終わりの戦いでスヒョンはギョンチョルを事実上殺害してしまった。スヒョンは負けたのだ。
今までに描かれて来た映画における復讐行為のすべてが甘っちょろく見えてしまうほどに嫌な、嫌な復讐描写を真正面から描いている。この共感できない、血みどろの復讐に嫌悪感を感じたなら、それこそ製作者側の狙いだろう。復讐映画としてもバイオレンス映画としても他と一線を画する韓国映画の傑作。
取り上げた作品の一覧はこちら
【配信関連】
<Amazon Prime Video>
言語
├オリジナル(韓国語)
<Amazon Prime Video>
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├日本語吹き替え
【ソフト関連】
<DVD>
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├日本語吹き替え
<DVD(スペシャル・エディション)>
言語
├オリジナル(韓国語)
├日本語吹き替え
映像特典
├未公開シーン(監督コメンタリー付)
├別エンディング(監督コメンタリー付)
├インタビュー集(キム・ジウン/イ・ビョンホン/チェ・ミンシク)
├監督来日時オフィシャルインタビュー
├予告編集
├キャスト・スタッフ プロフィール
├ビジュアル・パンフレット
<BD>
言語
├オリジナル(韓国語)
├日本語吹き替え
<BD(2枚組)>
本編
├劇場公開版(Disc1)
├インターナショナルバージョン(Disc2)
言語
├オリジナル(韓国語)
├日本語吹き替え
※日本語吹き替え版は劇場公開版にのみ収録
映像特典
├未公開シーン(監督コメンタリー付)
├別エンディング(監督コメンタリー付)
├メイキング~2人の悪魔の物語~
├インタビュー集(キム・ジウン/イ・ビョンホン/チェ・ミンシク)
├監督来日時オフィシャルインタビュー
├アクションシーンの殺陣メイキング
├コスチュームとヘア&メイクアップについて
├二人の男~ポスター撮影の記録~
├韓国での試写舞台挨拶(イ・ビョンホン、チェ・ミンシク、監督)
├予告編集
├キャスト・スタッフ プロフィール
├ビジュアル・パンフレット
※下線部は上記DVD(スペシャル・エディション)に収録されていないもの