【作品#0386】アルマゲドン(1998) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

アルマゲドン(原題:Armageddon)


【概要】

1998年のアメリカ映画
上映時間は150分
※ディレクターズ・カット版は153分

【あらすじ】

18日後にテキサス州ほどの大きさの小惑星が地球に衝突することが判明する。NASAはその惑星に穴を掘り、内部で核爆弾を爆発させるしか方法がないとして、石油採掘のプロを呼び寄せる。

【スタッフ】

監督はマイケル・ベイ
脚本はジョナサン・ヘンズリー/J・J・エイブラムス
製作はジェリー・ブラッカイマー/ゲイル・アン・ハード/マイケル・ベイ
音楽はトレヴァー・ラビン
撮影はジョン・シュワルツマン

【キャスト】

ブルース・ウィリス(ハリー・スタンパー)
ビリー・ボブ・ソーントン(トルーマン)
ベン・アフレック(A・J)
リヴ・タイラー(グレース・スタンパー)
ウィル・パットン(チック)
スティーヴ・ブシェミ(ロックハウンド)
マイケル・クラーク・ダンカン(カリーン)
オーウェン・ウィルソン(オスカー)
ピーター・ストーメア(レヴ)
ウィリアム・フィクトナー(シャープ)

【感想】

全世界で5億5千万ドルの大ヒットを飛ばした作品。グレースを演じたリヴ・タイラーの父親スティーヴン・タイラーがボーカルを務めるエアロスミスの主題歌「I don't miss a thing」も大ヒットを記録した。ちなみに、撮影に協力したNASAは本作中に科学的な間違いを少なくとも168か所も指摘している。製作者側も科学的根拠に基づいて製作していたわけでもないようで、エンターテイメントに徹していると言える。また、冒頭のニューヨークのタクシー内で運転手に話す観光客を演じているのは松田聖子である。

ブルース・ウィリスは1997年に製作を開始した「Broadway Brawler」の撮影中に製作側と揉めて、撮影途中ながら製作が中止となってしまった。その負債をディズニーに返済すべく、ブルース・ウィリスは本作に格安のギャラで出演し、「シックス・センス(1999)」と「アンブレイカブル(2000)」への出演を取り決められたのだった。

前半の30分くらいはまあまあ見ていられる。下らない描写もあるが、話の展開はスピーディである。特に多くの隕石がニューヨークの街を襲う様子は当時のCGにしてもよく出来ている。とはいえ、本作の3年後にニューヨークの街をテロが襲うことになるわけで、ワールドトレードセンターが隕石によって被害を受けている様子は実に生々しいものがある。スピード感が大事とはいえ、いくら何でも主人公が宇宙に行く決断をするのがあまりにも早すぎるわ。

そして、NASAにメンバーが集められてから途端に退屈になっていく。心理テストを受ける場面などはキャラクター紹介の意図があるのだろうが、ただ冗長なだけである。その後の訓練シーンも大した訓練などしておらず、せめて本番を想定した訓練シーンを見せておくべきだった。無重力の訓練をするシーンがあっても、後に宇宙に行ってからその訓練が生きる場面など一切ない。また、実際の現場では想定と異なることがあり、それをいかにクリアしていくかで面白くできるはずだ。とはいえ、本番では採掘の様子を真面目に描くつもりはない。そんなこんなで彼らが宇宙に向かうのは映画が始まってから1時間ほどが経過してからである。

その直前にトルーマンはこの作戦が外に漏れたらパニックになると言っているが、割とその後すぐにこの作戦は世間に公表されることになる。そもそも、冒頭にニューヨークを隕石が襲い、おそらく甚大な被害が出たというのにそれに関するニュース映像などが流れないのも違和感がある。

また、宇宙飛行士に採掘を教えるのは無理だからと言って、採掘のプロがわざわざ宇宙に行く話にするんだったら、採掘の場面こそきっちり描くべきだろう。すべて理屈で説明できないにしても、採掘のプロだからできたことであるという説得力は1ミリもない。採掘場所が未知の金属の地で、当初の予定地と異なる場所で採掘を開始して、ほんの少し掘り進めただけで部品交換が必要になるにもかかわらず、その後は特に問題なく掘り進めている。ここで生じる問題は地割れにより採掘をするアルマジロが使えなくなることである。これももう1機に搭載したアルマジロが到着することで解決する。結局、運と気合と根性で解決しましたという話になっているし、宇宙飛行士が気合で採掘の方法を学びましたでもいける話じゃないか。

というか、本作はあまりにも無駄な場面が多すぎる。普通に2時間程度の映画にまとめられただろう。まず、宇宙ステーションのくだりは全部カットでも良いだろう。ロシア人が乗って来る以外に意味は全くない。事故が起こっても全員助かっている訳だし、別にドラマも描けていない。ただ、トラブルにより映画の進行がストップしているだけだし、宇宙ステーションが爆発する画を見せたかっただけだろう(空気のない宇宙で爆発しないことは後に散々指摘されたが)。

それからプランBがあり、小惑星の地表であっても核爆弾を爆発させる計画が進行する場面もなくてもいい。ここで核爆弾が爆破しないのは分かりきっているわけで、こんなところに時間を割く必要はない。仮にシャープとハリーのドラマを描きたいのならもっと他に描けたはずである。というか、ベースはハリーとトルーマンの交流として描いているが、どっちかというと現場で仕事をすることになるハリーとシャープをベースに話を作るべきだったのではないか。当初の脚本ではハリーとトルーマンのドラマを前面に押し出していたそうだが、「タイタニック(1997)」の成功を受けて、A・Jとグレースのロマンスの話を膨らませたそうである。あと、映画が長くなっているのは登場人物の多さも要因だろう。大作映画だし、大所帯の方が盛り上がるのだろうが、彼らそれぞれを描くことで話が進まない場面もある。

また、基本的に政府やNASAの人間は、「無能な人間」か「間違った人間」として描かれ、どんな状況においても基本的に主人公の判断が正しいという映画になっている。ここはやはりハリーとシャープをベースに描くべきだったと思う。プロの宇宙飛行士とプロの採掘屋が反目しつつも信頼関係を構築し、互いの弱点を互いが補うような話に出来たと思う。そういう無駄や登場人物を減らして、ハリーとシャープ、またはハリーとグレース親子の話に焦点を当てていればそれなりに評価できる娯楽作になったと思う。

久しぶりに鑑賞してみたが、特段褒めるポイントは見つからない。どう考えたって153分も賭けて描く内容ではない。強いて言うならスティーヴ・シェミの演じたロックハウンドのキャラクターが面白かったところくらいか。宇宙に行ったことで頭がおかしくなり、味方相手に銃を乱射するというとんでもない行動に出る。この娯楽作にしても賭けのようなキャラクターだとは思うが、映画を面白くする要素にはなっていたと思う。

【音声解説】

参加者

├マイケル・ベイ(監督)

├ジェリー・ブラッカイマー(製作)

├ブルース・ウィリス(ハリー・スタンパー役)

├ベン・アフレック(A・J役)


上記4名による音声解説だが、それぞれ別撮りの音源を繋ぎ合わせたものである。ただ、それぞれが映像を見ながら話しているので、挿入箇所に違和感はない。

マイケル・ベイとジェリー・ブラッカイマーは、いかに観客が喜ぶ娯楽作を作ったかという話を中心にしている。「それはどうかな」と思う話もあるが、彼らなりに観客に受ける娯楽作に仕上げるための努力をした話を聞くことはできる。

中でも面白いのはベン・アフレック。皮肉屋だというベン・アフレックは本作の設定など割と茶化しており、ビリー・ボブ・ソーントンが画面に映ると、彼が監督、主演した「スリング・ブレイド(1996)」の役を真似て皮肉っている。「スリング・ブレイド(1996)」を見ていないと分からないと思うが、なかなか似ている。ただ、皮肉ってばかりではなく、本作のような作品に出演したからこそ俳優として映画人として得られたことを語っており、非常に好印象である。一方で、ブルース・ウィリスは真面目に淡々と語っており、話自体も面白みに欠ける。

【関連作品】


ディープ・インパクト(1998)」…本作と同時期に製作されたパニック映画。本作では惑星が地球に衝突するのに対し、「ディープ・インパクト」では彗星が地球に衝突する話である。



取り上げた作品の一覧はこちら

 

 

 

【配信関連】

 

<Amazon Prime Video>

 

言語

├オリジナル(英語/ロシア語/インドネシア語)

 

<Amazon Prime Video>

 

言語

├日本語吹き替え

 

【ソフト関連】

 

<DVD(2枚組/コレクターズ・エディション)>

 

本編

├ディレクターズ・カット版

言語

├オリジナル(英語/ロシア語/インドネシア語)

音声特典

├マイケル・ベイ(監督)、ジェリー・ブラッカイマー(製作)、ブルース・ウィリス(ハリー・スタンパー役)、ベン・アフレック(A・J役)による音声解説

映像特典(Disc2)

├撮影の舞台裏

├未公開シーン

├視覚効果

├プロダクション・デザイン

├ストーリーボード

├ミュージック・クリップ

 

<BD>

 

本編

├劇場版

言語

├オリジナル(英語/ロシア語/インドネシア語)

├日本語吹き替え

映像特典

├オリジナル劇場予告編

├ミュージック・クリップ

 

【音楽関連】

 

<主題歌: Aerosmith「I Don't Wanna Miss A Thing>

 

 

<CD(サウンドトラック)>

 

収録内容

├14曲/57分