【作品#0370】街の野獣(1950) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

街の野獣(原題:Night and the City)

 

【Podcast】

Podcastでは、作品の概要、感想などについて話しています。


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【概要】

1950年のイギリス映画
上映時間は101分※アメリカ版は96分

【あらすじ】

酒場の客引きをしているハリーは、ある晩、かつて活躍していたレスラーに出会い、得意の口八丁で気に入られる。一獲千金を夢見て、ハリーはプロレス興行を計画して資金集めを始める。

【スタッフ】

監督はジュールズ・ダッシン

音楽はベンジャミン・フランケル
撮影はマックス・グリーン

【キャスト】

リチャード・ウィドマーク(ハリー・ファビアン)
ジーン・ティアニー(メアリー)

【感想】

アメリカで生まれ、ハリウッドで映画を監督していたジュールズ・ダッシンが、共産主義者だったことによりブラックリストに載せられてしまう直前に、アメリカを離れてイギリスで何とか完成させた作品である。プロデューサーのダリル・F・ザナックは、作品を何とか完成させるために一番お金のかかるシーンから撮影を指示したとされている。

イギリス版フィルム・ノワールと称される作品。主人公が破滅に向かう物語で、序盤から主人公の行動が実を結ぶ気配はない。俯瞰で街を見下ろすショットから始まり、煌びやかな活気ある街が映される一方で、夢見る男の孤独がカメラワークやロケーションで見事に表現されている。こんな男に愛する女性と、理解ある伝説のレスラーが現れたことで夢に近づいたと思ってしまう。本来彼のような人間は一生詐欺師のような人生を送って終わってしまうはずだ。

フィルム・ノワールに欠かせないのはファム・ファタールである。男を破滅に導く美女という意味合いだが、確かにメアリーとの関係でハリーは破滅に向かうのだが、メアリーとハリーの関係はフィルム・ノワールにおける男女関係とはやや異なる印象である。恋心というよりは母性でハリーを気にかけている印象はある。

また、ハリーが声をかける伝説のレスラーは、スタニスラウス・ズビシュコという実在した伝説のポーランド系のレスラーである。本作の20年以上前に引退していた彼は、監督の指名で映画でも引退した伝説のレスラー役で出演している。しかも彼は当時70歳ぐらいでありながら、現役レスラーさながらの肉体と技を披露している。確かに伝説のレスラーだが、年齢と共に若者に取って代わられる抗えない部分が彼の醸し出す雰囲気と肉体で表現されていた。

アメリカ発のフィルム・ノワールと言いながらも、イギリスのロンドンロケであり、ロンドンのランドマークやアメリカとは微妙に違う景観がアメリカのフィルム・ノワールとは異なる雰囲気を醸し出している。フィルム・ノワールが好きな人なら見るべき一本。

【関連作品】


「街の野獣(1950)」…オリジナル
ナイト・アンド・ザ・シティ(1992)」…上記作品のハリウッドリメイク



取り上げた作品の一覧はこちら
 

 

 

【配信関連】

 

<Amazon Prime Video>

 

言語

├オリジナル(英語)

 

【ソフト関連】

 

<DVD>

 

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