【タイトル】
デジャヴ(原題:Déjà Vu)
【Podcast】
Podcastでは、作品の概要、感想などについて話しています。
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【概要】
2006年のアメリカ映画
上映時間は127分
【あらすじ】
ニューオリンズで大規模なフェリー爆破テロが発生。また、その現場近くで発見された女性の死体は殺人によるものでこの爆破テロより前に殺されていたことが分かる。連邦捜査機関のダグはテロ事件の捜査を行っていると、FBIから協力要請される。
【スタッフ】
監督はトニー・スコット
製作はジェリー・ブラッカイマー
音楽はハリー・グレッグソン・ウィリアムズ
撮影はポール・キャメロン
【キャスト】
デンゼル・ワシントン(ダグ・カーリン)
ポーラ・パットン(クレア・クチヴァー)
ヴァル・キルマー(ポール)
ジム・カヴィーゼル(キャロル)
アダム・ゴールドバーグ(デニー)
ブルース・グリーンウッド(ジャック)
【感想】
トニー・スコット監督とデンゼル・ワシントンが生涯5回タッグを組んだ内の3回目のタッグ作品。また、多くの娯楽作を世に送り込んだトニー・スコット監督にとって唯一のSF作品。そして、女優ポーラ・パットンにとっては初の大役となり、デンゼル・ワシントンとは後に「2ガンズ(2013)」でも共演している。
この「デジャヴ」というタイトルは結構チャレンジングでもある。この映画自体がよくある映画、既視感のある映画になってはいけない。それを感じさせない場面がいくつかあるところは評価したい。
本作の一番の驚きは、映画が第2幕に突入すると、サスペンス映画からSFサスペンス映画に様変わりしていくところだろう。確か予告ではSFであることは伏せられていたと思う。国が開発した「白雪姫(スノーホワイト)」という装置を使えば4日と6時間前の映像を見ることができるという設定だ。ちなみに、本作の監督トニー・スコットが撮った「エネミー・オブ・アメリカ(1998)」で監視カメラの映像でバッグの中を覗くことができる場面を思い出す。さらに、この装置はタイムマシンで過去に行くこともできるという突拍子もない話になって来る。過去の映像を見ることができる装置だけでもなかなかだが、タイムマシンまで出てくるとさすがに「おいおい」と思った観客も多かったことだろう。この設定を受け入れられるかどうかで評価も大きく変わって来るはずだ。ちなみにデンゼル・ワシントンの息子ジョン・デヴィッド・ワシントンはクリストファー・ノーラン監督の「TENET テネット(2020)」で過去へ行く扉を行き来する主人公を演じた。
このダグはタイムマシンを使ってメモを送るだけでなく、ついに自分自身を過去に送る決断をする。フェリーの爆破テロで何百人もの命が失われた。そして、もうこの世にはいないクレアの美しい姿を見てダグは明らかに恋に落ちている。このクレアが、よくヒロインを演じる女優ではなく、初の大役になったポーラ・パットンの起用であるに意味があり、新鮮味がある。ちなみに、すでに起こってしまった出来事を繰り返して男が女に恋する様は、後の「ミッション:8ミニッツ(2011)」を思わせるところもある。さらには相棒のラリーは殺されてしまった。これらの条件が揃っても、死ぬ可能性のあるタイムマシンを使う動機としてはあまりに不十分だが、ダグは差し迫った状況もありタイムマシンを使う決心をする。彼に家族や恋人などが描かれない孤独な人間であるのもそういったジレンマを極力なくすためだろう。
いつものタイムトラベルものの映画のごとく、登場人物によるタイムパラドックスやパラレルワールドについての説明こそあるが、なんか有耶無耶にされた印象はある(というかSFだし完璧に説明はできない)。ダグが過去に行ったことで、クレアの死もフェリーの爆破事故もなくなることになる。一応変わる前の過去はなくなっていくと説明されていたので、ダグがループするというわけではないようだ。また、この説明部分や設定に関しては今までのタイムトラベルものの映画と同じようなもので新鮮味は感じない。
本作はアクション映画でもある。そのアクションの見せ場は、ジェリー・ブラッカイマー印の爆破シーンももちろんだが、ダグがゴーグルを装着して車を運転するシーンだろう。片目は現在、もう片目で過去の映像を見ながらのチェイスと言うのはなかなか新鮮である。これだけでも過去に見たことのないシーンの実現に成功しているが、画的な迫力はもう少し出せたとは思う。カークラッシュする時だけスローになる演出などがいつものジェリー・ブラッカイマー映画っぽくて残念である。また、言ってしまうと誰かに運転してもらうか、助手席に誰かを乗せてその人にゴーグルを装着してもらえば良かっただけの話ではある。
また、テロの犯人がクレアをわざわざあの場所に遺棄しなければならない理由はない。フェリー爆破発生前に遺棄しなければ間に合わないのは明らかで、案の定その前に通報されているのだから、まるで捕まるのが前提のような感じすらする。ラリーと同じくワニに食べさせていれば済んだ話である。
20世紀のうちに書き始められた脚本が911の同時多発テロを経て作られ、フェリーという飛行機に比べれば爆弾持ち込みが容易な場所であることや、監視システムなどのメッセージなどあるにはあるが、あくまで娯楽作である。細かいツッコミは入れたが、かなり楽しめたのは事実だ。「デジャヴ=既視感」というタイトルの映画において、見たことのない設定や映像の実現を1箇所でも出来ている点で評価したい。
取り上げた作品の一覧はこちら
【配信関連】
<Amazon Prime Video>
言語
├オリジナル(英語)
<Amazon Prime Video>
言語
├日本語吹き替え
【ソフト関連】
<BD>
言語
├オリジナル(英語)
├日本語吹き替え
映像特典
├監視の窓
├未公開シーン(トニー・スコット監督による音声解説付き)
├追加シーン(トニー・スコット監督による音声解説付き)
├ムービー・ショーケース