【タイトル】
L.A.コンフィデンシャル(原題:L.A.Confidential)
【概要】
1997年のアメリカ映画
上映時間は138分
【あらすじ】
1950年代のロサンゼルス。マフィアのミッキー・コーエンが逮捕されたことで、多くの死者の出る抗争が繰り広げられていた。
【スタッフ】
監督はカーティス・ハンソン
脚本はカーティス・ハンソン/ブライアン・ヘルゲランド
音楽はジェリー・ゴールドスミス
撮影はダンテ・スピノッティ
【キャスト】
ガイ・ピアース(エド・エクスリー)
ラッセル・クロウ(バド・ホワイト)
ケヴィン・スペイシー(ジャック・ヴィンセンス)
ジェームズ・クロムウェル(ダドリー・スミス)
キム・ベイシンガー(リン・ブラッケン)
ダニー・デヴィート(シド・ハッジェンス)
デヴィッド・ストラザーン(ピアース・パチェット)
ロン・リフキン(エリス・ローウ)
【感想】
ジェイムズ・エルロイが1990年に発表した同名小説の映画化。アカデミー賞では9部門でノミネートされたが、「タイタニック(1997)」の前に、助演女優賞と脚色賞の2部門受賞に留まった。「タイタニック(1997)」と競合しなければオスカーを受賞出来た作品であろう。相手が悪かった。
1950年代のロサンゼルスという、煌びやかな光と、血生臭い闇が混在する世界観を見事に表現できていたと思う。1940年代に流行したフィルム・ノワールの流れを汲んでいる。実際にその当時のロスを知らなくても、「こんな世界だったんだ」という説得力がある。音声解説でも言及されるが、当時帽子を被る流行はあっても全員が被っている訳ではないところも良い。
クレジットではケヴィン・スペイシーが最初だが、事実上の主演と言えるのがガイ・ピアースとラッセル・クロウの2人であろう。後に見慣れた顔になる2人だが、当時のハリウッドでは無名の新人だった。特にこの3人は一筋縄ではいかぬキャラクターで、それぞれが協力し合う展開は胸が熱くなる。
特に多くの観客視点となりうるのがガイ・ピアースが演じたエドだろう。出世のためなら手段は選ばないが犯罪に加担することのない刑事である。ダドリーから「更生の見込みのない犯人を背後から撃てるか」と聞かれて当初は断っており、最後にそれを回収する形となっている。ただ、3人組を追いかける場面でエドはエレベーターに向かう1人の男を背後から撃って外している。終盤の場面と状況は異なるが、この時点でエドの変化を見せたのはやや早い気がした。とはいっても、署内の人間を敵に回しながら、持ち前の頭脳で徐々に認められていく過程は面白い。
そしてフィルム・ノワールにおける女性と言えば、「魔性の女」を意味する「ファム・ファタール」である。その女性リンを演じたのはキム・ベイシンガーで、1940年代にフィルム・ノワールでファム・ファタールを演じた代表格であるヴェロニカ・レイクに似せて整形しているという設定だ。キム・ベイシンガーは当時40代前半で、オスカーを取るほどまでには感じなかった者の男を破滅に導く妖艶な魅力が溢れ出ていた。
エドとバドはタイプの異なる刑事で、リンを取り合って喧嘩までしている。そんな彼らが協力して腐敗した警察と戦うことになる。そんな2人が安易に仲良くなる結末ではなく、再び違う道を歩み出すところで終わるのは良い。
ただ、犯人が判明する過程は見せ方によってはもっと劇的にできたと思うし、ダドリーがエドにあのセリフを言うまでがちょっと早すぎる気はする。
1950年代のロスを味わうには申し分ない作品で、何といってもキャストがとにかく豪華。オチが分かっていようとも、幾度の視聴にも耐えうる傑作。
【音声解説】
参加者
├アンドリュー・サリス(映画評論家)
├ジェームズ・エルロイ(原作者)
├ラッセル・クロウ(バド役)
├ケヴィン・スペイシー(ジャック役)
├ガイ・ピアース(エド役)
├ルース・マイヤーズ(衣装)
├デヴィッド・ストラザーン(ピアス役)
├キム・ベイシンガー(リン役)
├ブライアン・ヘルゲンランド(脚本)
├ジェニーン・オッペウォール(プロダクション・デザイン)
├ダンテ・スピノッティ(撮影)
├ダニー・デヴィート(シド役)
上記12名による音声解説。本作の制作20周年を記念して発売されたBlu-rayにて初めて収録されたものである。評論家、原作者、スタッフ、キャスト総勢12人による音声解説だが、それぞれ別撮りの音源を話に関連する箇所へ当てはめているタイプである。ランダムにそれぞれが話している割には、誰が話しているかを示す字幕が表示されないのはあまりにも不親切であると感じる。俳優は声でわかるし、他のスタッフも話しぶりから誰かは何となく分かるが、Blu-rayのパッケージにも話している12人の名前を記載しているわけではない。
本作の事実上の主演と言えるガイ・ピアースの音源が一番多く使用されている。本作製作前に、オーストラリアに原作者のジェームズ・エルロイが講演に来て、こっそり聞きに行ったエピソード、オーストラリアとアメリカのオーディションの違い、自身のブレイク作「プリシラ(1994)」に関連する話は面白かった。他にも面白い話はいくつかあるが、大人数の音声を適所に当てはめるタイプはやはりまとまりに欠ける。
【関連作品】
「ローマの休日(1953)」…バドとリンが映画館でこの映画を鑑賞している場面がある。
取り上げた作品の一覧はこちら
【配信関連】
<Amazon Prime Video>
言語
├オリジナル(英語)
<Amazon Prime Video>
言語
├日本語吹き替え
【ソフト関連】
<BD>
言語
├オリジナル(英語)
├日本語吹き替え
├ソフト版
├フジテレビ版
音声特典
├アンドリュー・サリス(映画評論家)、ジェームズ・エルロイ(原作者)、ラッセル・クロウ(バド役)、ケヴィン・スペイシー(ジャック役)、ガイ・ピアース(エド役)、ルース・マイヤーズ(衣装)、デヴィッド・ストラザーン(ピアス役)、キム・ベイシンガー(リン役)、ブライアン・ヘルゲンランド(脚本)、ジェニーン・オッペウォール(プロダクション・デザイン)、ダンテ・スピノッティ(撮影)、ダニー・デヴィート(シド役)による音声解説
映像特典
├メイキング・オブ・L.A.コンフィデンシャル
├スクリーンに蘇る1950年代L.A.の風景
├映画を彩る豪華キャストたち
├エルロイ文学・映像化への挑戦
├製作秘話
├写真で見るL.A.コンフィデンシャルの世界
├TV版「L.A.コンフィデンシャル」(2000年)
├ロケーションマップ
├ミュージック・トラック
├予告編&プロモ映像集