【作品#0306】窓・ベッドルームの女(1987) | シネマーグチャンネル

【タイトル】

 

窓・ベッドルームの女(原題:The Bedroom Window)


【概要】

1986年のアメリカ映画
上映時間は114分

【あらすじ】

テリーと不倫関係にあったシルビアは、夜中テリーの家の窓から男性が女性を襲っている現場を目撃する。シルビアの姿に気付いたことで犯人はその場から走り去った。ところが翌日の朝、その事件から30分後に別の女性が殺される事件が発生したことをテリーらは知る。証言すると不倫関係がバレることを恐れたシルビアを庇ってテリーは犯人を目撃したとして警察に出頭する。

【スタッフ】

監督/脚本はカーティス・ハンソン
音楽はマイケル・シュリーヴ/パトリック・グリーソン
撮影はギルバート・テイラー

【キャスト】

スティーヴ・グッテンバーグ(テリー・ランバート)
エリザベス・マクガヴァン(デニス)
イザベル・ユペール(シルビア)

【感想】

ソフトが出るたびに、「ベッドルームの女」「ベッドルームの女「窓」」など邦題の改変があったようだが、「窓・ベッドルームの女」というタイトルで現在は落ち着いている(にしても変なタイトル)。ちなみに原題は「The Bedroom Window」となっている。また、監督のカーティス・ハンソンは本作から「L.A.コンフィデンシャル(1997)」まで5作品連続でサスペンス映画を撮ることになる。また、「天国の門(1980)」でハリウッドデビューしたイザベル・ユペールにとってハリウッドでの2作目になった作品でもある。

どう見てもヒッチコックっぽいお話であり、監督のカーティス・ハンソンも脚本を書き始めた時に、ヒッチコック監督の「サボタージュ(1936)」「裏窓(1954)」「知りすぎていた男(1956)」「めまい(1958)」「サイコ(1960)」を参照したことは公言している。

主人公のテリーを演じたスティーヴ・グッテンバーグはプロデューサーのディノ・デ・ラウレンティスによる希望らしい。当時のスティーヴ・グッテンバーグは「ポリス・アカデミー(1984)」や「コクーン(1985)」といったコメディ映画に出演していた俳優である。スティーヴ・グッテンバーグの間抜けっぷりが良くも悪くも本作を動かす力になっている。

元も子もない話だが、最初から正直に事実を言っておけば良かっただけの話ではある。その事実を「言えない」ために用意された設定は、目撃したシルビアがテリーと不倫状態であるという筋書きである。ただ、終始ポンコツとも言えるテリーがシルビアがわざわざ不倫するほどの人間に見えないところは痛いところだ。テリーにはシルビアが不倫してでも関係を持とうとするほどの容姿も性格もない(このポンコツっぷりが母性をくすぐるのだと好意的に解釈しておこう)。

シルビアはどう見てもテリーよりは頭が働くキャラクターには見える。ただ、シルビアは目撃したレイプ犯が釈放されると、警察に「目撃したのは私です」と言うのではなく、夫に不倫していた事実を白状して、自分が疑われ始めたテリーに「もう付きまとうな」と言い放つことになる。レイプ犯に顔を見られた以上、口封じに自分の命が狙われてもおかしくないのに、不倫関係を正直に話す方を選択しており、このシルビアもテリーに並んでなかなかのポンコツっぷりを発揮していく。そして案の定シルビアは劇場で、しかもテリーの前で殺されてしまう。これは不倫をしていた女性の末路として捉えることも可能だが、テリーが孤立無援になるための筋書きでしかない。

ではテリーはどうやって真犯人を捕まえようとするかと言えば、レイプされかけた女性デニスと協力して犯人をおびき寄せる作戦に出るのだ。この手の映画では、レイプされた、もしくはレイプされかけた女性は怯えて表に出たがらないように描かれがちだが、このデニスは活発なキャラクターとして描かれ、レイプされかけたのにその件で後を引くような場面もない。この描かれ方自体は新鮮に映ったが、所詮は事件解決のための設定でしかないようにしか感じられないのが残念だ。

また、真犯人側の描写があまりにも乏しい。デニスを襲った30分後に別の場所で女性を襲って殺害までしているのだ。このレイプの件で警察に通報されたかもしれないと思って、「今日はやめておこう」と犯人が思ってもおかしくない。そもそもデニスが襲われた現場には近隣住人が家を飛び出してデニスを助けている。その時警察は呼ばなかったのなら、目撃して警察に連絡しなかったテリーよりもたちが悪い気がする。ちなみに警察に通報されたかどうかなんて犯人側は調べようもないだろう。そして犯人は殺した女性が働いていたバーで再びターゲットを探している。同じ場所でレイプ相手を探すなんてこの犯人もなかなかのアホである。

主人公のテリーが孤立無援になっていくことだけが目的のごとく話が作られている印象で、話としておかしなとこだらけである。主役がスティーヴ・グッテンバーグというコメディ畑の俳優だからギリギリのところで成立しているだけであって、どのキャラクターも何を考えているか分からず、行動がアホすぎて話にならない。1980年代のサスペンス映画ということで、携帯電話というアイテムがないだけで1つのシーンが出来上がるんだから、現代のサスペンス映画は大変だと感じてしまうくらい呑気な感想を抱いた作品。




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