徒然なる枕草子VII 38「満開」(心の中へ476) | isaoのブログ

03:31
10:42
またまた事件が起こった。
世の中は容易な事では私を
平穏な日々の中で生かしてはくれない様だ。
憂鬱の渦に飲み込まれ、
今にも深海に沈んで行きそうな
苦悶と絶望の中で私は必死に手を伸ばし
娘の名前を何度も叫んだ。
けれども終ぞ私を助けてくれる者など現れなかった。
誰も救済の手を差し伸べてくれる
奇特な人など居なかったのだ。
今も、この先もずっと
私は己の身に降り掛かって来る様々な火の粉を
自分一人、痩せ細ったこのたった二本の腕だけで
払い除けて行かなければならないのだ。
そう思うとやはり残りの人生は寂しい。
人は所詮、
生きて来た様にしか死んで行けないのである。
と、言う事は
自覚している。していないに関わらず
私は今日までに
たくさんの罪を作って生きて来た事になる。
鏡に映る
老いさばらえ皺だらけの老人の顔を見て
私は思わずゾッと身を仰け反った。
それは
長年にわたって罪を犯し続けて来た
罪業深き、この世では救われないであろう
人間の年老いた成れの果ての顔だった。
彫刻刀で彫った様な深き皺の一本一本に
その罪状が刻まれている。
そうなのだ。
それこそが今の私の顔なのである。


幕は突然降ろされて(心の中へ476)
04:06
00:33
岐阜の堤防には多くの桜並木が見える。
今が満開である。
今日、誘われて花見に行って来た。
のんびりと桜の花を見るなんて
何年ぶりの事だろうか。
堤防の草むらに腰を降ろし、
豪華な手作り弁当をつつきながら
冷酒を喉に流し込み、

そしてしたたかに酔いしれた。
娘が亡くなって丸7年が過ぎた
丁度その辺りから
面白く無い事ばかりが連続して起き始めている。
まるで娘からの守護期限が切れ
後ろ盾を失ったかのような心細さである。
04:09
09:13
生憎今日は雨模様の天気で肌寒い。
満開の桜も今日で皆散ってしまうのかと思うと
何だか心が痛む。
世間では年度が変わり
新しい職場、新しクラス、
新しい友達に出会って
きっと慌ただしい日常を
開始している人ばかりであろう。
けれど老人の今日には
何も変わらない

無機質で無感動な日常があるだけだ。
昨夜、不意に
どうしても娘に逢いたくなって
涙声を張り上げて天に駄々をこねた。
そして気が付いたら

深夜、
電気とテレビが点いたままで
曜日が変っていた。
春なのに、心寂しい。
春なのに、心が重い。
春なのに…