サイショモンドダスト★の嗚呼、素晴らしきダメ映画

サイショモンドダスト★の嗚呼、素晴らしきダメ映画

映画の魅力は、傑作映画だけでは語れない!?

華々しい映画史には絶対に残らないトホホなダメ映画こそ、真の映画好きにとっては珠玉の嗜好品。

そんなダメ映画の数々を、映画のソムリエ、サイショモンドダスト★が愛をこめて紹介!

~序文~

皆さんこんにちは。

映画のソムリエ、サイショモンドダスト★です。

1893年、映画というものがこの世に誕生してから、数々の傑作が映画史に刻まれてきました。
その傑作映画たちは人々を笑わせ、泣かせ、多くの人間の愛を育み、さらに多くの人間の孤独を癒してきました。

私は、基本的には映画というものは人を幸せにする素晴らしいものだと信じています。

ですが、果たしてそれだけでしょうか。

僕は常々思うのです。
本当の映画への愛。
これは、実はどれだけダメな映画を見ているかによって決まるのではないか。どれだけ映画館で「金返せ」と思ってきたかによるのではないのだろうか。

映画通たちは、悔しい、金と時間を返せ、と憤慨している心の奥底で、実は映画への深い愛を育んでいるのです。

しかしながら、ダメ映画と分かっているのに、そんな映画を観て貴重な時間を無駄にするのはナンセンス。
間違ってそんなダメ映画をカップルで見てしまった日には、破局さえしかねませんしね。

そこで私サイショモンドダスト★は、映画の真の魅力を知ってもらうために、そして、あなたの健全なラブライフを守るためにも、この場を借りて、華々しい映画史には決して残ることのないダメ映画を紹介していこうと思った次第です。
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映画のソムリエ、サイショモンドダスト★の紹介するダメ映画の第二弾はコチラ!

「TIME/タイム」です。


$サイショモンドダスト★の嗚呼、素晴らしきダメ映画

監督は、僕が生涯好きな映画ベスト3に必ず入っている映画「ガタカ」の監督アンドリュー・ニコル。

結構最近の映画なので、覚えている人も多いと思いますが、この映画のダメポイントは、「面白そうではある」ことです。

あらすじはこんな感じです。

「科学技術が進歩したことにより老化現象を解決した近未来、25歳で生体の成長が止まると余命はあと1年という社会が構築されていた。富裕層は寿命を気にしなくていい一方、貧しい人々は寿命を延ばすためにあくせく働き続けなければならなかった。貧しい青年のウィル(ジャスティン・ティンバーレイク)は、時間と引き換えに裕福な男性を殺した容疑を掛けられ、追われる身となってしまい……。」

どうでしょう。
この設定、わりとSF好きには「おっ」と引っかかるものがあります。

それだけにめちゃくちゃ期待していったのですが、見事に裏切られたのを覚えていますね。



ここからちょっとネタバレになってしまいます。

まず、主人公にお母さんがいるんですね。
母子家庭の、貧乏母子という設定です。
お母さんと言っても、25歳で成長が止まっているので見た目は25歳です。
かなりホットなお母さんです。

$サイショモンドダスト★の嗚呼、素晴らしきダメ映画

ちょっとホット過ぎやしませんかね。
まぁ、この世界の異質な面を表現しようとしていると思うのですが、着ている服は明らかに貧乏人の服ではない。
僕らへのサービスのつもりなんでしょう。

このお母さん、主人公が大量の時間(大金)を手にした直後、時間切れで死ぬんです。
値上げしたバス料金を払えず、歩いて(走って)帰った結果、時間切れで死にます。

ちょっとウッカリさんなんです。

バス料金の値上げくらい、どうせ一ヶ月前くらいから告知されてたんだろ~?
そうじゃなきゃ訴えて勝てるぜ主人公!


こういうSFというのは、いかに現実に即するか、つまり「あー、こういう未来、有り得るんじゃないか」と思わせられるかどうか、というのが重要だと思うのです。

「ガタカ」はそこが上手かった。
ほんと、みんなに見て欲しい、「ガタカ」!!

一緒に見に行ってくれたカワイコちゃんに、散々「この映画は監督が良いから絶対面白いって!」と豪語した結果、観終わった後ビミョーな空気になってしまったのは僕だけではないはずだ。


話を元に戻そう。


この映画、全体的に、なーんか設定に現実感が足りないんです。
さっきのお母さんの死ぬところもしかり。
主人公が膨大な寿命(金)を手にして、行き当たりばったりにポーカーやって勝って、捕まりそうになったらそこにいた美人人質にして逃げて、美人といい感じになって、二人で銀行襲って、義賊みたいになって…。

わぁ、ご都合主義にも程があるぜ。

主人公がポーカーが得意だって描写も全くない。
たぶん、貧乏人だから、やるのすら初めてなんじゃねーか?
ハリウッド映画の主人公だからポーカーが上手くて当たり前、みたいなストーリーで騙せるのはアホなアメリカ人だけだろ。


で、当然警察に追われるわけなんですが、この宿敵の警察が最後死ぬ原因も、時間のチャージを忘れていたがための時間切れです。

$サイショモンドダスト★の嗚呼、素晴らしきダメ映画
「あれ?俺チャージ忘れてね??」

$サイショモンドダスト★の嗚呼、素晴らしきダメ映画
「うわぁっ死んだーっ!!」


ここにもウッカリさんいたー!!

ある意味、PASMOの残高不足で改札引っかかる感じに近いから、現実っぽいっちゃ現実っぽいですが。
命かけすぎでしょ。


伏線も、いろいろ張ってはいるのですが、どれも投げっぱなしになっていて、「ガタカ」好きからすると、「ほんとどうしちゃったんだ、アンドリュー!?」といった感じです。

いつか会う機会があったら小一時間問い詰めたいですね。


まぁたぶん、ブランデーのグラス持った映画会社の重役か誰かに、
「アンドリュー君さぁ、最近ヒットしてないじゃない?ちょっと一本生きのいいやつ頼むよぉ。ほら、『ガタカ』みたいなさぁ…。あれ、何年前だっけ?15年?」
とか言われて、
「俺だってその気になったら『ガタカ』みたいなのもう一本作れらぁ!」と焼酎片手に書いた脚本なんでしょう。


何度も言うようですが、大好きな監督なだけに、非常に残念な映画でした。

この映画観て失望した人は、ほんと「ガタカ」観て欲しいですね。
あと、彼が脚本を書いたジム・キャリー主演の「トゥルーマン・ショー」も良い映画だからオススメです。
さあ、記念すべき第一回。

そんなダメ映画の名誉に選ばれたのはコレ!

$サイショモンドダスト★の嗚呼、素晴らしきダメ映画

「スーパーマンⅢ~電子の要塞」です。

スーパーマンって言うと、わりとメジャーな映画のイメージありますが、それはⅡまでの話。


Ⅲ以後、監督が替わってのこのクオリティの落ちぶれっぷりはヤバイです。


まず、簡単なあらすじを。

「ハローワークに来た浮浪者が紹介されたプログラミング会社で、めちゃくちゃな文字列をキーボードを打ち込んだ結果、偶然スーパーコンピューターが誕生。そのスーパーコンピューターと悪い奴が手を組み、スーパーマンを懲らしめる」

どうでしょう、この昔の映画であることを差し引いても訳のわからないトンデモ設定。

コンピューター黎明期ならではの時代にありがちなストーリーですが、この映画のスタッフ、たぶん誰もコンピューター詳しくないです笑。


さあ、このスーパーコンピューター、超頭いいから、スーパーマンの弱点をすぐに見抜きます。
クリプトナイトという石を使うのですが、それによってスーパーマンがどうなるかというと、
ちょっと悪い奴になります

その悪いスーパーマンが、これです。

$サイショモンドダスト★の嗚呼、素晴らしきダメ映画-飲んだくれ

飲んだくれとるー!

何この演出!無精髭とちょっと薄汚れたユニフォームで、スーパーマンの荒んだ精神を表現しているつもりなのでしょう。

この悪いスーパーマン、もちろんただ飲んでいるだけではないです。

$サイショモンドダスト★の嗚呼、素晴らしきダメ映画-ピーナッツ

手元のピーナッツを持って…

$サイショモンドダスト★の嗚呼、素晴らしきダメ映画-指で弾く

指で弾く!

スーパーマン、力強いですからね。

$サイショモンドダスト★の嗚呼、素晴らしきダメ映画-瓶

ピーナッツが当たった瓶が粉々に割れます。

子供か!

$サイショモンドダスト★の嗚呼、素晴らしきダメ映画-バーテンダー

バーテンダーも大慌てです。
スーパーマンに飲ませたコイツも悪いとは思いますが。

そして、店を出たスーパーマン。

$サイショモンドダスト★の嗚呼、素晴らしきダメ映画-絡む

「何を見てる!」と街の人に絡みます。
まぁ、悪い奴というよりは嫌な奴ですね…。


さあ、悪いスーパーマン、これだけではありません。
ピサの斜塔をまっすぐにしたり、ちょっと悪い女の子と一夜を共にしたり(笑)、
かわいい悪行の限りを尽くすのです。


このあとスーパーマン、無事に良い奴に戻り、例の並外れた頭脳を誇るスーパーコンピューターと対決します。

スーパーマンとコンピューターが対決?一体どうやって?
と思われるかもしれません。


この映画は、ことごとく僕たちの想像の斜め上を行ってくれます。

これが、スーパーマンとコンピューターの対決シーンです。

$サイショモンドダスト★の嗚呼、素晴らしきダメ映画-対決

なんと、コードを触手のように動かして、スーパーマンを自身の本体の中に閉じ込めるのです。
頭脳、ぜんっぜん関係ない。


ていうか、ニッパーとか持ってたら一般人でも勝てるんじゃね?

ちなみにこの戦い、スーパーマンのパワーはあんまり関係なく、コンピューターは水みたいなのがかかって死にます笑。
ダメ映画の悪役の名に恥じない最期と言えるでしょう。


そしてエピローグ。
コンピューターを倒したスーパーマンは、世直しとばかりに再度イタリアへ行き、ピサの斜塔を元に戻します。
しかし、その頃にはイタリア人たちは真っ直ぐになったピサの斜塔を新しい観光名所として売り出していたのです。

$サイショモンドダスト★の嗚呼、素晴らしきダメ映画-イタリア

イタリア人、良いスーパーマンにカンカンです。

善悪って何だろうという難しい問いと屈託のない笑顔を投げかけスーパーマンは去り、映画は終わります。


主演のクリストファー・リーブは、こんな内容の映画で大真面目にスーパーマンをやらされてよっぽど辛かったのか、次回作である「スーパーマンⅣ~最強の敵」では、原案から関わっています。


ただ、残念ながら、その「スーパーマンⅣ」もⅢに負けずとも劣らないダメ映画となっているので、いずれこのブログでも紹介できたらと思っております。