町田市の最高峰草戸山(364m)に登った後、バスで町田街道を通って横浜線の相原に出ようと思っていたのですが、バスの時間と合わなかったため、引き続き多摩丘陵の野や沢を越えて歩いてみようと、館ヶ丘団地までやって来ました。
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草戸山に源流がある境川沿いの町田市相原からは、丘を越えた八王子市側になります。
こちらは、1889(明治22)年の町村大合併で、南多摩郡の散田村、下長房村、下椚田村、館村、寺田村、大船村の6村が合併して、横山村となっています。1955(昭和30)年になってから、横山村は八王子市に編入されました。
八王子は、甲州街道最大の宿場町で、また江戸の防御拠点として千人同心が配置されるなど、古くから都市的要素を持っていました。加えて、明治以降は生糸・絹織物産業の産地として発展した上、輸出港である横浜とを結ぶ中継地としての機能も果たしました。多摩地区でも最大の町場であった八王子ですが、一方現在の市域の中には、かつては人煙も稀な丘陵や、その中に点々と散在する村から成る地帯も含まれています。
多摩丘陵は、高尾山から南東に向かって広がる丘陵で、大雑把には多摩川をはさんで武蔵野台地と向かい合っています。多摩市の「聖蹟桜ヶ丘」の「聖蹟」とは、明治天皇がたびたび兎狩りに訪れたことを指しているように、元々人よりも動物の方が多かったような土地で、戦後になってもその雰囲気はあまり変わっていなかったようです。そうしたところへ、東京に集中する人口の受け皿としての大規模宅地開発や、大学キャンパス移転の対象地となり、やがて鉄道路線も輸送力が増強されたり、新線が開かれたりして、丘陵は削られ、沢は埋められ、地形の大改造が行われてきました。横山村の横山とは、多摩丘陵のことを指すとも言われており(横に長い山だから)、中世の武士団である武蔵七党のうちの横山党の名前にも使われており、多摩地区ではたいへん由緒のある名前です。
この旧横山村の区域には、浅川の支流である湯殿川が北側を流れ、そのさらに支流である殿入川、寺田川、兵衛川などが丘陵を開析して沢を形成し、そこに集落が連なるといった景観だったところに、主に丘の上で地形の改変を含む大規模な開発がなされてきたのです。西から順に、拓殖大学(湯殿川の西)、東京医科大学八王子医療センター、東京都立翔陽高校、館ヶ岡団地(以上が湯殿川と殿入川との間)、トヨタ自動車大学校、ゆりのき台住宅地区、穎明館中学・高校(以上が殿入川と寺田川との間)、グリーンヒル寺田、パークヒルズめじろ台(以上が寺田川と兵衛川との間)などが造成・立地してきています。

 

館ヶ丘団地から、殿入川の沢に下りて、さらにそこから丘を越えて、グリーンヒル寺田を目指すことにしました。旧館村から旧寺田村に向かう道になるでしょうか。

 

殿入川に架かる殿入橋と、その奥の殿入中央公園。丘越えの起点です。
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殿入川の谷地を望む。丘の上には館ヶ岡団地。
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公園の横の坂道を登っていきます。
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テニスコートを過ぎると、道は平坦になってきます。丘の上に出たということでしょう。
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やや不穏な雰囲気。この道は、地図を見ているうちに、行けるんじゃないかと思ってたどってみましたので、この先がどうなっているか、今一つよく分かっていませんでした。
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畑地もありますが、枯れ草が生えているだけの広大な未利用地も。
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丘が連なっている様子がよく分かります。向こうの丘の上には、グリーンヒル寺田の高層棟が見えます。
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兎追いもできそうな雰囲気。丘越えをしてみて、多摩の原風景に巡り合った気がしました。
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めじろ台駅からバスに乗って、法政大学に向かった道に出ました。向かって右側がグリーンヒル寺田のある丘になります。
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寺田川に沿って通っている、旧寺田村を行く「旧道」です。
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グリーンヒル寺田には、このような坂道を登っていきます。もしくは階段による直登です。館ヶ丘団地は、バスが丘の上まで来るのですが、グリーンヒル寺田は、谷の下に幹線道路が通っているので、丘の上の街区に住むのは、歩きだけの人にとってはけっこうきついかも知れません。
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それでも、丘の上に登ってくると、低層の住宅が並ぶ、たいへん良好な環境になっています。落ち着いた気持ちを修養して、心静かに暮らすことができるのであれば、このような所に住んでみたいです。
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高層の棟もあります。
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グリーンヒル寺田の幹線道路と同じ高さの住宅街区もあります。
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幹線道路とセンター地区。
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センター地区は、少し寂しい感じは否めません。
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ここからバスに乗ってめじろ台駅に出て、新宿末廣亭で正月初席の寄席を見ました。第三部のトリは桂文治師匠で、演目は松山鏡でした。山登りの疲れも吹き飛びました。
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