彼からのメールや電話に振り回されるのは、もうイヤ

「声聞きたい」
「髪切って、すごくいいかんじ。好み!」
「ひさびさに遊ぼうよ。会いたい」
「話したい。今すぐ話したい」

そんなメールに浮かれてる時の私は、10cmくらいは宙に浮いてると思う
何度も携帯メール見て、ドキドキして・・・
彼から電話があるのを待って・・・・・

それなのに電話に出た途端
「彼女がさぁ~」って

その言葉を聞いた私は一気に急降下

最近は、彼の言葉が何も信じられない
電話口では「そっかーそれはパピーが悪いょ」とか言ってるけど
電話を持つ指先はびっくりするくらい冷たいし、同じくらい心も冷たい

頭の中は「どうせ私に電話するのは、彼女とケンカしたからでしょ」
「私じゃなくてもいいんでしょ」って嫌な言葉が駆けめぐっている

彼女ができたって知る前は、あんなに楽しかったのに
ねぇ、戻れないの?
あの頃に戻ろうよ?
戻れないなら、一緒にいるほうが辛い
彼には、母親がいない。
幼い頃、両親が離婚して、父親と再婚した母親、
祖母と暮らしている。

きっと彼が人一倍さみしがりやで、甘えたがりなのは、
家庭で素直に甘えられる存在がいなかったからだと思う。

いつ頃からだろう。
彼は、私のことを「マミー」と呼ぶ。
そして私は、彼のことを「パピー」と。

下の名前で呼ぶほどは、私たちの関係は親密ではなく、
名字を呼び捨てにするほど、遠くもない

ほかの同級生とは明らかに違う
けれど彼女とも違う
そんな変なポジションにいて、私はどこか情けないような、
誇らしいような、そして絶対失いたくないと思っていた。
今、心からあなたに会いたい。

携帯からあなたの名前を選び出して、
プッシュすれば、あなたの声が聞けたのに
今はもう。。。

あなたとおしゃべりをするのが楽しくて
夜が明けてしまったことも

あなたとの長電話をしかられないように
寒い冬空の中、ベランダに出て、
足先をプルプル震わせながら
あなたと話していたり

もう、戻れない

あんなにそばにいたのに

手紙やメール、電話じゃなく

もっと、もっと、もっと顔を見て、話したかった

あなたが好き、大好き
私と彼の大事な人は同じ塾に通っている。
彼と付き合うまでは、まったく知らない人だったのに、
彼と付き合い始めてからは、よくすれ違うようになった。

きっと私が意識しているからだろう。

友だちといるカノジョ

教授室で先生に相談をしているカノジョ

塾の前で誰かと待ち合わせをしているカノジョ

・・・・・だれを待っているの・・・?

彼がくるの・・・?

彼は今日は塾にはきてないよ。

だって昨日ひどい風邪で、電話口で鼻をすすっていたもの。

喉まででかかった声を無理矢理押しとどめる。

カノジョは私が彼と仲がいいことを知っているのだろうか。
週に3回は電話で話しているし、毎日のようにメールをしてる。

ただの女友達だと思って、油断をしていたら、知らないよ。

こんな汚い心の私。
愛されなくて当然だ。
私が通ってる塾は、すごく変な場所にある。
川を挟んで、大きな塾が、6、7軒立ち並ぶ塾エリアと
川沿いの木がうっそうとした感じのラブホ街があるのだ。

変なの。しろって?!?!(苦笑)

制服だって、スカート短くするなとか、
化粧をするなとか、禁止ばっかりするけれど、
夏服の白シャツなんて、すけちゃうし、
すごくやらしくなるじゃない。。。
最初から自由な恰好にさせてくれたら、
自分の身は自分で守れるのに。
禁止するから、スカートだってドンドン短くなるんだ。

でもまだ私はしたことがない。

クラスの女の子だって、してる子は、ほとんどいない。
片手で数えられるくらいだ。

だから焦ったりはしないけれど・・・・

私は、一度、彼を誘ったことがある。

彼に彼女ができたって聞いて、動揺してた1週間
(それからもずっと動揺しているけれど)
塾が始まる前に、彼と一緒にランチする機会があった。
これまでもファミレスやイタリアンや洋食や・・・
一緒にごはんを食べることはたまにある。

その日は、ラブホ街の近くにあるファミレスで、
私はパスタを、彼はハンバーグを頼んでた。
美味しそうに食べる彼。
話もはずむ。

「私と会ってるの彼女は知ってるのかな」
「こんなに楽しそうなのに私じゃだめなの・・・」

楽しい気持ち半分、悲しい気持ちが半分。

彼がチョコレートパフェを頼む。
チョコレートが好きなのは、チェック済み。

バカね。口の周りにチョコが付いてる。

面白い顔だからって、彼のパフェ顔をカメラで
撮っちゃう。

カシャッ

この音と一緒に、あなたのことを自分のものに
できたらいいのに。
写真を撮った瞬間、そんな気持ちがむくむくと
湧き上がってきて、止まらなくなってくる。

食事が終わって、塾の講義がはじまるまで、
あと30分。

もっと、もっと一緒にいたいのに・・・・
時間がたつのが恨めしい。

ファミレスを出て、塾の方向へ向かう。
ラブホエリアから、川向こうの塾エリアに行くには、
橋を渡らないといけない。
橋の途中で、一緒にいたくてしょうがなくなった私は

言ってしまった。

「ねえ・・・・・しようよ」

私のすぐ隣を自転車が通っていく。

数歩前を歩いていた彼が振り返る。

『おまぇさ~そういうのは大切にしなきゃ』
『好きな奴とするんだよ』

「冗談だもん。塾はじまっちゃうしさー
チョコパフェを口の周りにつけちゃうような人と
したいわけじゃないじゃん」

顔を見られたくなくて、彼の横をすり抜けて、
前を歩く。

恥ずかしかった。
初めて誘った大好きな人に、好きな人とするんだよって。
あなたのことが好きなのに。。。

恥ずかしすぎて、その日の授業は耳から抜けていくようだった。
心がはじけそうになる瞬間がある。

体育祭に彼の大切な人が来ていた。
白くて、華奢で、切れ長の目の彼女。

私が彼に想いを伝えられないでいるのは、
数年前から彼が彼女と付き合っているから。

初めて、そのことを知ったのは、女友達からだった。

「彼、塾に女の子と来てたよ。あの女子校のコ」

はぃ?なんの冗談???
昨日の夜、電話で話したんですけど・・・・・・

彼に冗談めいた口調で
「彼女できたらしーじゃーん」と聞けたのは、
1週間後だった。

素直に喜んでる彼の声を聞きながら、
目の前が真っ暗になる気がした。

「私のほうが仲がいいじゃん」
「私のほうがずっとずっと前から好きだった」
「私のほうが彼女よりあなたのこと大切にできる」

心に渦巻く声を胸におさめながら、彼ののろけ話を
笑いながら聞いてあげた。

あの時と同じ気持ち。
体育祭で盛り上がっている中、彼女と歩く彼の姿が
目に入る。

「見たくなかった」

正直な気持ち。

まだ二人の姿を暖かい気持ちで見ることができるほど、
私の心は強くない。

彼女の場所にいるはずだったのは、私なのに。

汚い心が、彼への想いを強くする。
そんな自分を嫌悪する。

こんなツライ想いをするなら、出会わなければよかった。
そんな一人きりの夜。
週末、大成功に終わった体育祭☆

こんなに熱い気持ちになれて、心から涙が出ることって、
1年間でたった1日だけ。

一年間構想を練って、夏の間、高校1年生から3年生まで、
一緒になって木を切り、ペンキを塗り、組み立てて・・・・
下から自分の手で作ったビル3階の高さもある櫓を見た時、
誇らしい気持ちでいっぱいになった。

ギシギシと音をたてる足場を上がっていく。
櫓の一番上に上がると、風がサヤサヤと当たり、頬の産毛がたってくる。
きっと風のせいだけじゃない。
心が騒ぐから、カラダ中の毛がけば立つんだ。

校庭がすべて見渡せる櫓の屋上まで上がる。
ここは、櫓の人だけの特権の場所。
校庭の真ん中に建てられた、たった3日だけの建物。
体育祭が終われば、すぐに解体されてしまう。

櫓の端に腰をかけて、足をブラブラとさせながら、
夕日に照らされるマスゲーマーやチアガールの姿を眺めて、
友だちの姿を探す。

必死で後輩に檄を飛ばすマスゲーマーの友人。
手でリズムを取りながら、裸足で駆け回る彼女。
マスゲーマーは、百人単位で人の動きが合わないといけない。
上から見ると、遅れているコ、ダンスを間違えたコ、
立ち位置の違うコがよく分かる。

校庭の陰になったところには、チアガールが練習中。
ポップなチア曲は、友人がTSUTAYAで何曲も何曲も聴いて
選んだ至極の一曲だ。
カラフルなポンポンを持ち、一番上でポーズをとる友人。
3人も上に乗せながら、微動だにしない一番下の友人。


ぁっ 飛んだ

一番上でポーズを決めていた彼女が、後ろにスローモーションで落ちていく・・・・


ナイスキャッチ!

きっと下で支える人を信頼しているから、あんなにも当たり前のように
落ちていけるのだろう。

バレーコートでは、昔の不良学生のような長ランの応援団が、
腰を落としながら、声を出している。
何時間もああやって、精神を鍛えている。

大道具の人たちは、渡り廊下で最後の仕上げに入っている。

衣装は、マスゲーマーたちの衣装を直すのに懸命だ。

誰もが汗を流し、ベストを尽くしている。

あと半年もすれば、大学受験が始まる。
きっと一人きりの戦いになるだろう。
けれど、今は、一人だけじゃない。
みんなで、一緒だから、頑張れる。

そして迎えた当日。

すばらしいマスゲーマーの演技に涙をこらえることが出来なかった。
頑張っている姿を見ていたからこそ、終わった時、花道を通って
戻ってくる友人を拍手と涙で迎えた。

チアガールの演技が終わった時、最後まで笑顔で踊る友人を
誇りに思った。

櫓を解体する時に、残念そうな後輩の顔を見て、心から、
櫓でよかったと感じた。

私にとって一瞬一瞬が、すべて大切な出来事で、
きっとこの日のことは忘れられないと、予感する。

愛すべき友人たちと、夏の間ついてきてくれた後輩たち。

心からの感謝と・・・・・おつかれさま♪
メールの絵文字の使い方でしばし悩む・・・。

気づいたら、彼へのメールはハートばっかり。

ひかれたら嫌だから、最初のハートと3ツ目のハートは、
(^_^)マークとクローバーマークに変更しよう。

すごく好きな気持ちを伝えたい。

でも上手くいかなかった時、今の関係が終わってしまう
そのほうが怖い。。。

メール送信☆

学校のこと、体育祭のこと、先生のこと。
たわいもないメールの行間に想いを込めて。。。

ちょっと前なら、手紙で想いを打ち明けていたのだろうけれど、
今は電子も想いを運ぶ。

メールの返信まだかな☆
体育祭の準備が佳境を迎えている。
私が通う高校の体育祭は、駆けっこや玉入れではしゃぐ
イベントとはひと味違う。
ウォーターボーイズ顔負けの熱いイベントだ。
(ドラマ化すればいいのに!!)

高校1年生から3年生まで全生徒が、チアガールや応援団、
マスゲームや櫓(ヤグラ)、大道具、衣装のパートに分かれ、
1年間かけて、たった1日のその日を迎える。

高校1年生の時に、私はマスゲーマーだった。
あれほど必死になった夏はない。
けれど、今年の私は、マスゲームで汗を流してはいない。
体育祭に欠かせない「櫓」という大きなお城を造っている。

なぜって、運動神経がなかったんだもの。
絵を描くことが好きな私は、ダンスよりもこっちのほうが向いている。

それに・・・櫓になったら、また彼に一歩近づける。

手先な器用な彼は、渡り廊下の向こうで、大道具を造っている。
汗でTシャツを貼り付けながら、木材を切っている姿がチラッと見える。

何かと用事をつけては、廊下を渡って、彼のところへ。
軽口を叩ける時もあれば、彼のことを見るだけで満足することも。
こんなことで満足できる私は幸せなのだろう。

明日も暑くなりそうだから、アイスの差し入れを持って行ってあげよう。
渡り廊下のバナナも色づいてきたし、あのバナナの木の下で、
冷たいアイスを食べながら涼もう。

廊下を15歩も歩けば、あなたのところに行けるのだし。
『胸がおっきくて、切れ長の目をした女の子はいいよな』と彼が言う。

なんですと!!!

胸のおっきいのはまだしも、二重の目が美人顔の必須条件だと17年間ずっと信じてた。
誰にも言ったことがないけれど、二重でクリッとした私の目は、ちょっとイイと自慢だったのに。

顔が濃い彼は、薄い顔に憧れるのだろうか。
彼の一番の魅力は、きれいな二重だ。睫毛が濃くて、長くて。
彼のかけている眼鏡をはずして、その柔らかそうな睫毛にいつか触れたいと思ってる。

彼好みの顔になれば、両思いになれるのなら・・・・
そう思って、鏡の前で二重の目を無理矢理、一重にしてみる。

いつもよりひとまわり小さい目の私がそこにいた。

プチ整形で一重から二重になるコはたくさんいるけれど、
一重にするコはいるのだろうか。
そんなことを考えながら、一重の目でじっと自分を見ていると、
なんだか悲しくなってきて、目がパシパシした。

たまらなくなって、まばたきをすると、いつもの二重の目に。
彼の好みじゃない目に戻ってしまった私は、やっぱり片思いのままだった。