そうして今年も歳を重ねた。
自分の中ではほんのちょっぴりだけ特別な日で、でも普段とはあまり変わらない日なのだと、そう思っていた。
いやしかし、やっぱり嬉しいものだなあ、おめでとうってしてもらえるの。
今年はケーキもなければごちそうもなくて。
1人でただただ放浪しているだけの1日で。
でも、アチコチからおめでとうって言ってもらえたり、プレゼントを贈ってもらったり、その気持ちが何よりも嬉しかった。
そのうえさらに、学生時代からラブコールを送っていた方から特別に小説を書いてプレゼントしてもらえるとか。
好きなものをそのまま好きだと言いつづけていただけで、こんな幸せな目にあってしまってよいものなのか。
紡がれる物語も、散りばめられた優しい言葉たちも、そのお気持ちも、どれもこれもが幸せにしてくれる…最高すぎる。
いくつになっても、お祝いしてもらえるのはやっぱり嬉しいし、こういう機会に自分のことをそっと思い出してもらえるだけでも、本当にありがたい。
次の一時帰国となる4月には会おうって言ってくれて、すでに集まる日にちやお店を選んでくれているのも嬉しい。
会えるんだ。
日本に帰ったら、当たり前のように、みんなにまた会えるんだ。
ケーキも4月に作ってもらうの。
さいきんでは、1年も2年も大して変わらないから、たったの数ヶ月なんて大差ない。
嬉しいなあ。
幸せだなあ。
こんなに幸せにしてもらって、それじゃあ私はどれだけの幸せが返せるのだろう。
なにか、なにか1つだけでもよいから、ほんのちょびっとだけでもよいから、私も幸せを渡したい。
そういう歳を重ねていきたい。
今年で32歳になりました。
どんな32歳になるだろう。
どんな32歳にしていこう。
「いま」があるのは、いまこのときだけ。
幸せにするのは自分次第。
幸せになるのも自分次第。
とびっきりの幸運でなくてもよい。
願わくば、小さな幸せの欠片がひとつひとつと積み重ならんことを。