早朝移動の悲劇!!助けてぇ~
で頂いたコメントがきっかけでしばらく思い出すことのなかった、ある衝撃的な出来事を思い出した。あれは確か20年勤務した会社を退社しようかと悩んでいた頃だった。
月に一回開催される「幹部会議」。社長を中心に全国から幹部が集まる緊張感に満ちた大会議。幹部の他に本社勤務の課長職以上も参加が義務付けられていた。当時私は本社勤務だったので、私の部下の課長職3人も同席することになっていた。緊張感のある会議、多くの人は開始30分前に入室している、10分前をきって飛び込んだにも関わらず3人のうち一人が来ていない。
幹部席は前方、課長職以上の中間管理職は後方と席が離れているため、前方にいる私は何度も振り向いて彼を探したが見つけられなかった。胸騒ぎがした。その彼は悩んでいた。私はそれを感じていたので怖かった。一年ほど前、大好きな同僚がストレスからうつ病を病み、苦しんだ末、朝の通勤途中で電車に飛び込んで自殺してしまった。だから、妙に胸騒ぎが止まらなかった。
会議は進んでいく。とんでもない緊張感。でも胸騒ぎは止まらない・・・。会議開始から1時間半ほど過ぎた頃、私の携帯がブルブルと揺れた。きっと彼からだ!そう思って発信番号を見ると見たことのない番号だ。更に心臓がバクバクする。私は迷いなく会議を抜け出し廊下で電話を取った。背中に社長のまなざしが痛い。
もしもし、どなたですか?
こちら新宿駅○番ホームの警察です。
う・・・・。は・はい。
申し訳ございませんが、これからこちらにお越しいただけませんでしょうか?急用なんです。
ハイ!行きます!
途中のことは何も覚えていません。ホームの端っこに掘っ立て小屋のような部屋があり、鉄の階段を登って警察の詰め所に入った。「poochaさんですね。お話したいことがありますのでこちらへどうぞ。」パイプ椅子と事務机が置かれた部屋に通されおそるおそる警察官が話し始めるのを待った。
○○○○さんの上司でいらっしゃいますね。お名刺いただけますか?
実はまことに言い辛いんですが、・・・・。彼が電車の中で悪質な痴漢行為を働いたとして被害者の女性の通報をうけ、現在拘束しております。・・・・・・・・。
あ、生きてるんだ・・・。
初犯でもありまずは身元引受人さえあればお帰りいただいても良いか、身元引受人になってくれる人はいませんかと、彼に話したことろ、妻には知られたくないといいます。でも上司も女性なので許してくれないかもしれないとずっと悩んでいました。そしてやっぱりpoochaさんに連絡して見れくれと言うのでお呼びたてしました。・・・・。
難しい書類にサインをして、身元引受人の責任について説明を受け、すべての手続きを終え、彼の釈放を待ちました。
静かの喫茶店を探し話をしようとしました。でも彼は泣きじゃくって泣きじゃくって話などできません。30分ほどたってやっと話せる程度に落ち着いて彼が言ったことはこうでした。
悩みました。poochaは僕がしっている誰よりもこういうことが大嫌いな人じゃないですか。かと言って妻に頼れば信頼のない僕は今後ずっとこのことを背負って蔑まれながら生きなくてはならない。どうしよう。と。考え抜いた後、どっちが僕を信じてくれるだろう、と考えたら、ごめんなさい、poochaだったんです。
本当のことは言わなくて良いよ。ただ、元気を出して。今日はもうどこかで時間をつぶして気を晴らして、ゆっくり休んだ方が良いよ。私は信じるから、騙されても別に良い。だから今日のことはなかったと思って明日からまたできるだけ楽しく過ごそうよ。
そう言って喫茶店を出るしかできなかった。今度は私の方が涙が止まらなくなった。山手線の中でオイオイ泣いた。なんでこんなことになるんだろう。何で奥さんではなくて私を選んだんだろう。そんなに辛いならなんで言ってくれなかったんだろう。・・・。
彼はこの事件があった数年前まで、社員にとってスターだった。私とは同い年。だけど輝いていてみんなの憧れだった。私など声もかけてはもらえなかった人。
それがあっという間に逆転している。さぞかし辛かっただろう。そんな気持ちを私はわかってあげていただろうか?時の流れと男の弱さを心底感じた出来事でした。
元気にしているかなあ?
私が退社するとき。おい、自分の後任を誰にするかくらい決めて辞めろよ。との社長の言葉に私は彼を指名した。「駄目なところいっぱいあるとお思いでしょう。でも、もう一度輝けるチャンスを上げてください」
私の意志が通り、私の退職後の後任として彼は任命され、昇格しました。でも残念なことにたった半年で、役職に相応しいだけの資質、実力なしとみなされ、あっという間に降格されてしまいました。退社後のことなので事情はわかりませんが、何とか悔しさをばねにがんばってほしかったのでとても残念でならなかったです。