沖縄のディスコの調理場で仕事も慣れた頃 従業員入口の鍵を渡された。
仕込みの為に一番に店を開ける
鍵を開けて狭い階段を降りフロアの小さな照明を点けて調理場に行くはずが その日は少し違っていた 薄暗い照明の向こうのレコードをかけるDJブースの中に黒人らしい人影がある事に気付き 俺はDJブースに向かって歩いている間も 人影はしゃがんだり立ち上がったりしている。
DJブースにたどり着き「なにしてるん?」と覗き込んだら 誰も居ない。
鍵は俺が開けた 練習の為に泊まり込みか?
あまり気にせず調理場に行き一通りの仕込みを済ませた頃に他のメンバーが出勤して来た。
メンバーにその話をすると
ロッカールームからフロアで映ったメンバーの集合写真を持って来て「この人か?」と指を指した黒人の顔が同じだった。
「あぁ こいつこいつ」...「そうか~」...少しの沈黙の後に 「こいつは イタズラ好きな奴で お客さん用のエレベーターで遊んでいて3年前にエレベーターに挟まれて亡くなったさ」それを聞いた俺は怖いとも思わなかったが それが又不思議だった。
他のメンバーも時々見るらしい。
他の日にも お客さん用入口の受付の前に大きな姿見の鏡があって 見方によってはロッカールームの入口が映る。
仕込みが終わり受付の女の子と話しているときにも その鏡に映るロッカールームの扉が少し空いたままになっている事に気が付いた 話をしながら鏡を見ていると扉の中から黒人の手首だけが出てきてドアノブを掴んで扉を閉めるのが見えて 女の子との話に詰まってると 女の子が「見た?」 「んっ」 「手首見た?」「うん」「みんな見てるさ いつもいるみたいよ」とみんなは気にする様子も無いようだった
特に怖い話では無いが こんなにホンワカする霊もあるもんだ。
怖くなくてスマン...が 明日は怖いどーっ
ほなっ