浜名湖の北部には猪鼻湖(いのはなこ)の別名があります。
浜名湖とは幅120mほどの瀬戸でつながっているだけで、別の湖のようになっていることが地図を見るとよくわかります。
その猪鼻湖と浜名湖がつながるところに突き出た岩に祀られているのが猪鼻湖神社です。
瀬戸橋から猪鼻湖神社全景。奥が猪鼻湖、写真後ろが浜名湖になる。
岬の先端の岩が神社なので、町中の神社のようにいわゆる境内や社殿はない。
個人的にこういう特別な地形に対して、祀るというか「なんかしたくなる」のはよくわかるので、その気持ちがずっと昔の人も同じであるのはうれしい。
対岸(西)からみた猪鼻湖神社。
参道は神社の南にかかる瀬戸橋のたもとから階段で下りて岸辺を歩く。
別のルートもあるが、この参道がサイコーなのでこちらをおススメする。
鳥居をくぐって猪鼻湖神社近くから。
岩と陸地の間に神橋がかけられているが、砂州ができているので下を歩いても渡れる。
神橋か東から正対。流石にこれ単体ではちょっと記事にできない。
しっかり銘板があり、「神橋」「しんはし」と「昭和四十七年二月」が二枚。
これが昔から架け替えられてきたのか、この時初めてできたものなのかはわからない。
岩の上には新し目な祠が安置されていた。
西側にしめ縄がかけられた岩があるのでこれが由来となった猪鼻岩だろう。
この向き(東から)でもイノシシっぽく見えるが、あるいは湖側というか瀬戸を通る船から見たのが命名のきっかけかもしれない。
猪鼻湖の説明看板。
これによると獅子岩の別名もあるようだ。
猪鼻湖神社は式内社で祭神は武甕槌命、市桙姫命。
創建は不明だが『延喜式神名帳』に記載されているので、延長五年(927)には知られていたことになる。
延喜式に記されているのは周辺の別の神社だとする説もあるが、まぁ素直にここでいいんじゃないだろうか。
また祭神についても猿田彦神とされた時期もあるようだ。
個人的には、そういう神話が整理される以前から近くの人に祀られていたのではないかと思う。
あと面白いのが猪鼻湖神社の住所が陸続きの大崎ではなく、西岸の下尾奈の飛び地となっていること。
現在は橋がかかっているので陸路でも参拝できるが、かつては尾奈村から船でやってきたという。
そこから考えると、この瀬戸を船で通る人々によって祀られたのが始まりなのだろう。
社前から猪鼻湖の眺め。
次回以降紹介の瀬戸橋と新瀬戸橋。