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ハローグッバイ


今日は朝から天気がよくて

風は今年一番に強かった。


あなたからの電話で急いで支度をして

あなたとあたしの煙草を買った。


いつもみたいに、
ゆっくり自転車をこいだ。


あなたの部屋は、
あたしの知ってる部屋なのに。

なのに、
もうあなたの匂いは少しもしなくて

空っぽの部屋にはふたりの声だけ目一杯に響く。


重たさだけが違う煙草を向き合って吸い込んだ。


ねえ、
本当に居なくなるのかな。

明日からは

この部屋には誰も居ないんだよね。


春が来たら、
誰かふたりの知らない人が
ここで暮らすのだろうけど

たった4ヶ月のあたしたち以上に
優しい気持ちで向き合うことは、
きっとないのだと思った。


たった4ヶ月だよ。
たった4ヶ月で、
あたしはあなたがとても必要だと解ったの。


あたしは泣いてしまいそうだから、

窓を開けていいかとあなたに訊いた。


強すぎる風に顔をしかめて、
乾いたそれに感謝した。


あなたがお風呂に行っている間、

あたしは
歌を歌った。

よく響くこの部屋で、

あなたがいつも褒めてくれた声を鳴らす。


あたしをそうして、
少しも忘れないで欲しいと思った。


あなたは面倒くさそうにスーツを着て、
煙草を吸う。


あたしはただ、
初めて出会った日のことばかり考えていた。

なんだか違和感ばかりのスーツ。

ヒゲの無い顔。


あなたは
その華奢な体にベースがよく似合うのに。


ふたりで最後に、
あの玄関を出た。


やっぱり風は強くて、
自転車は上手く進まない。


あの道で、
本当に最後のさようならをした。


あたしは
あなたから預かった

サッカーボールと
時計と
灰皿と
ポスターが

邪魔だけど、


愛しかった。


涙は昨日枯れてしまったから、

だから、
今日は大丈夫。


大好きだよ、
あなたが。


愛とか恋じゃないけれど、

もうずっと、
誰よりも愛してるの。


大好きなの。




明日から、
あの部屋は空っぽで


びりびりのベッドカバーも、

煙草を吸う時は必ず扉を開けるルールも、

わがままなあたしの真夏設定も。

もう、
何も無いけれど。

だけど。


ハロー、
グッバイ。


今度逢うときは、
あたしはもっと素敵に歌うの。


出逢えてよかったよ。


ハロー、
グッバイ。

最愛の人。


おきにいり

070129_0425~01.jpg
最近バックに入れてるお菓子。


生ぐみはおいしすぎる(´ω`●)


癒しやね。

声を

あの人の声で、
充電完了。


久しぶりに声を上げて泣いた。


あの人の前では、
こんなあたしでもいいような気がする。


ダメなやつだ、
と笑いながら、

それでも電波は繋がっている。


そんなあなたが、
あたしを知っていてくれるから、


なんとなく、
それでいいんだと思った。


それだけであたしは、
今日をちゃんと生きていける。
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