つづき。

交渉の心理学の本から、自分なりに重要と
感じてインプットしていた内容。

・とにかく傾聴

・相手の承認欲求を満たしてやり、相手に

   好かれろ

・相手が、自分の決断した内容でよかった

   と思うようにしろ

・相手に優しくして欲しいときは「あなた

    は優しい」と言え(相手が優しくない

    行動を取りづらくなる)

・相手に貸しを作って断りづらくしろ


これを頭に思い浮かべて被告人劇場に
ひたすら耐える凝視

被告人が一通り話し終えた後、私は話を

元に戻した。

「それにしてもほんと、離婚する方向で

考えてくれてありがとう!

このままだと、もう調停、裁判やることに

なっちゃうのかなって思ってたからさ。

そうなると、お互いが嫌な感じのドロドロ

憎み合う感じになっちゃうから、それだけ

は絶対に避けたかったんだよね。」

なにげに牽制する。こんなデメリットが

あるんだよと。


被告人

「離婚協議書ってどんな内容だったの?」


きた。用意周到な、打算的な雰囲気を

出さないよう注意を払う。


「んー、なんかね、ネットにあったやつを

ほぼそのまま使ってるから、きっと

一般的な項目なんだと思うんだけどね。

親権は私が欲しいよって話と、養育費は

1人月に3万でどうですかって案と、んー

面会交流はある程度あらかじめ決めた

ルールでどうですかって案でしょ、

あとは、財産分与は現預金と有価証券は

半分こで、あ、家はさ、子供達の環境を

とにかく変えたくなくて、住所も

苗字も変えないように、このままここに

住ませてもらえたらと思ってるんだ。

離婚についても当面は言わないで被告人

くんの単身赴任で通し続けたいなって

思ってて。子供が小さいうちは離婚の

こと言わないでこうするケースって

まあまああるみたい。

マンションは、もちろん被告人くんの

分の残ってるローンは私が引き受けて

払ってくから、借金はゼロになるよ。

ちなみに私も、子供のために旧姓に戻さ

ないでこのままでやってくつもりだよ。

あとは、離婚協議書を公正証書にし

ましょうって話とか、細かい話だけど

被告人くんの保険金の受取人を、最後まで

養育費が必要な下の子に変えてもらえない

かなっていうお願い事項だったかな?」


被告人

「なんか...ほんとに色々考えてくれて

たんだね...ほんと、ごめんね。」


「まあ前向きに話し合ってくれたら嬉しい

です。」


被告人

「それにしても優しすぎない?財産分与は

半分こです、ローン引き受けます、子供に

普通に会わせてくれますって。」


私、「ん?そうかなあ?」


おお、なんと。

第一印象めちゃいいじゃないですか。

そんなふうに受け取ってくれるのか......。

マンションのお前の持分、ただで

もらおうとしてますけど。

このまま弁護士相談にいかれずに

条件面が合意できたら最高すぎるんだが...


ここからは一問一答形式で。

ちなみに、被告人が菩薩モードに入って

いるので、私もかなり菩薩モードで回答。


被告人

Q.これから、色々決まるまでどんなふうな生活スタイルがいいか希望ある?俺はなるべく皆が寝てから帰った方がいいとか。

A.変な話、離婚に向けて建設的な話し合いをしてくれるのなら、ある程度はまあ大丈夫かな。


被告人

Q.俺はいつまでこの家にいていいのかな?離婚届出したらすぐ出てけなのか、離婚届出す前から出てけなのか。

A.まずは引越し先見つけないと、期限は何とも言えないんじゃない?おうちがないのに出てけなんて、さすがにそこまで鬼じゃないよ!おうちをなるべく早く探してもらえれば。


被告人

Q.面会交流は私ちゃんも参加するのかな?

A.え、それはないよ。

(きっぱり。そんなことがあってたまるか。

顔も声も無理です。)


被告人

Q.子供達にはいつ頃離婚のこと話すの?

A.何ともわからないけど、中学なのか高校なのか、大学生とかかな?子供にとって親以外の存在の比重が大きくなって、親とほどよい距離感ができてきた時なら、ショックは今話すよりは緩和されるんじゃないかな。


被告人

Q.私ちゃんはどのタイミングで旧姓に戻すの?

A.死ぬまでだよ。離婚後も苗字をそのまま使う届出を出すと、もうそんな簡単に変えられないらしいから。そういう覚悟でだよ。

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被告人、2時間話して満足げである。

「話し合い、かなり前進したよね?」


「うん、おかげさまでかなりしたと思う

よ!あ、この流れで、明日の午前中に

離婚協議書みながらまた話し合ったり

してみる?ひらめき


被告人

「まあ今だいたい話せたから、明日はいい

んじゃない?あ、いや、やっておくか。

子供達が家にいないうちに。」


なんか、明るい兆しが...!