整体に通ううち、右膝が痛くなったので、また何かあるのか気になって整体の先生に聞いた。
今まで喘息(トランペットで治す)、心の病(できる範囲の規則正しい生活と服薬でやりくり)、乳癌(…手術、抗がん剤、放射線治療をできるところまで)を患ったが、まぁ、満身創痍で、耐えた。
その変なものが出ていく過程だそうだ。喜んで良いようだ。
意識が病気を捨てようと決めた。
新しい意識と肉体が一致するのに痛みや時間差を生じるようだ。
先生「せっかく良くなってるのに、また引き寄せる人っているんだよね。
病気が趣味になっちゃってる人。病院が好きなおばあちゃんとかね。」
ぽんこ「…(汗)」
先生「大丈夫。コンスタントに通って、こんなにスイスイ治る人も珍しい。満身創痍になる迄の歪みが出てきた。出て行っている時の痛みだね。」
いや、頭のてっぺんに穴があいて、何かスースーする快感を味わって帰宅した。
しばし、内省した。
ぽんこ自身には、トランペットを吹きたい欲求が強いが、なぜ病気になる必要があったのだろう。今は、ただただ元気になりたいだけだ。
しかし現実には、病気にどっぷり。本心から、馬鹿馬鹿しいと思う。病からも学べるが、できるなら、それより、料理の楽しさや仕事の楽しさで学んだ方が幸せに違いない。
精神科の先生に左側のしこりが気になるから、検査を早くしようかと相談したが、やめた。
「検査予定日も決まっているし、その時手遅れだったら、それで良いです。」
楽に治りたいのが本心だ。しかし、先生は
「達観していますね。」
達観というより、仕方ないから諦める他にないだけです。
もう高価なサプリを探して買うなど無理したくない。安いウィッグにはまってみたり、100均でつけまつげに挑戦したりが意外に楽しかった自分を発見した。
万が一再発したら、つらい治療費にお金を払うより、できるだけ、私なりに充実した余生をいききるだけのこと。
というか、再発したら、大変と聞いただけで、もうけっこう。整体(代替医療)と西洋医学(病院)の薬等、医者ともよくよく相談して、何とかうまく調整していく。
私は私。
既にプライベートは人間関係では、ダイレクトに会いたい人にだけ会っている。
癌は、長い付き合いの友人の一部に伝えてあって、だから。
「長生きして、一緒にあの場所(近所)を散歩したいね、素敵なおばあちゃんになりたいね」と言われて、私は既に実現したかのような楽しさを味わっている。
私の目は常に先を向いている(つもり)。向いていない時もあり、心のクセも知っている。
ビジネスとは違う夢を持っている。
家族や、心楽しむ友人との約束を果たさないでいられようか。
素敵なおばあちゃん。何でもできる、と信じていたら強い。
私の子供だった時、おじいちゃんおばあちゃんだった人達は、原爆を2つも落とされて頑張って、焼け野原だった日本を経済大国にした。
ブラックマンデーなどなぜ怖がる必要があるのか。
皆で力を合わせたらできた。何かあったらまた皆で力を合わせていくだけだ。ぽんこは個人的に多少厳しい中で力を合わせて曲なり作品なりを完成させるのが好きだ。
心の豊かさが次の時代に来た。
金さえあれば何でもできるわけではない。バブルの時代、貧乏学生だった私は、バブルのめちゃくちゃな風潮にうんざりしていた。
男と遊んで子供ができたら堕胎するのが当り前など、本当に恐ろしい。
今は、また経済。
だが、金の為だけに働く人生って、少なくとも私は、つまらない。
焼け野原から立ち直った日本人のDNAを持った私達は、支え合って、真剣に生きた。せっかく人間という生命を持ったのだから、あまりにプライベートを優先するのはつまらない。
私は、他人様への礼儀正しさが物を言うと思っている。見かけだけではなく、自分にも他人にも心を込めて向き合い、付き合いたい。
整体の先生が
「おかあさんへの親孝行は、満身創痍になって果たした、と思っていいよ。」とおっしゃって下さった。
変な母親だから、娘が癌になってやっとつきものが落ちて溜飲が下がったに違いない。解放されたのは私の方だ。
「許してね、許してね、本当に許してる?」とちょっと用事で電話したら、泣いて電話をかけてくる実母。
何度許すと言わせんだ。
実母は、自分が不幸だと長年騒ぎたてたが、幸せになりたければ、幸せになりゃ良いだけじゃないか。
悲劇の主人公になりようのない幸せな母に、私は病気だらけで羨ましい存在だったのかもしれないが、悪徳業者や悪徳医者に縁を持っては私をノイローゼに追い込み、といった一連の事実をいつまでも悩めないくらい私は色々と忙しかった。
別居できてお互いに楽になった。
カルマの法則や、因果応報といった概念が実在なら、母は、生まれ変わり、同じような思いをするかもしれない。私もそうだ。同じ人間だ。
しかし、過去は終わったことだ。
治療と並行して、やりたいことをやる。
料理の素材も、勉強しないと。世界情勢の知識も必要だが、楽しい。地元は、農家が多く、近くの温泉には品質表示からして、近くのおいしく作った梅干しが売っている。
少なめに安全な物をおいしく食べたい。生産地、信用のあるメーカー。
心身ともに健康であること。
それだけで、幸せなことだ。もっと幸せになれる。
楽しむことだ。
今の状況を。
やらなければならない義務を、仕事を楽しむことだ。
自分に言う。
癌病棟に、政治から、厳しかった漁師の生活や、軍人だった時代を話し、自らの体の状態をよく把握しながら、堂々として揺るがないお爺さんがいたことを忘れるな、と。
大人物だ。私のようなタヌキ(癌は癌でもタヌキ腹のぽんこ)にさえも、挨拶したら、快く話の仲間に入れてくれた。
器が大きく、自らのことを把握しながらも嘆きとは無縁。
堂々とした、暖かいあの人柄が、ぽんこバージョンではあるが、理想なのだ。
痛みのない時に悩まない。痛い時は痛い痛いと言って耐え難いなら、痛み止めを飲む。治療を受ける。
愛する家族と仲良く、大好きな友達と仲良く。大好きなトランペットと仲良く。仲間を重んじる。
たくさんある試練の意味はいずれわかるだろう。
生まれ変わるたびに、ソウルメイトと呼ばれるような幸せな人間関係を増やしていくだけの人生を重ねていきたい。